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がんも非がんも、脱水は友

2012年05月27日(日)

最近、どこに行っても「脱水はいけない」という論調の世の中だ。まあそうなのだが・・・
昔、バレーボールをしていた時は「水は絶対飲むな」と言われたがあれは何だったのか?
昨日の産経新聞兵庫版に連載中の「平穏死シリーズ第4回」は脱水について書いてみた。
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平穏死シリーズ 第4回    終末期の脱水は友

                          自然な省エネモードを見守る勇気

 

 現代人は「脱水=悪」と刷り込まれすぎているように感じるのは私だけでしょうか。というわけで今日は脱水のお話です。たしかに今年の夏は節電の影響で脱水対策が以前にも増して重要でしょう。脱水は時に命に関わるため適切な対応が必要です。但しあくまでこれは元気な人、これからまだまだ生きる人における話です。すでにがんや老衰で不治かつ末期の状態になりこれから平穏死に向かおうという場合、脱水は悪くないと思います。脱水状態では体全体が省エネモードになります。まず心臓に負担がかからず心不全になりません。ベッド上でも呼吸が楽です。それに浮腫みが少ない。胸水や腹水に悩まされることがほとんどありません。よく「胸水や腹水を抜く」と言いますが、水分と一緒にアルブミンという貴重な蛋白、栄養素も抜いています。赤血球を除いた血液を抜いているようなものです。血液を沢山抜けば当然弱ります。抜いても抜いてもお水はすぐにまた貯まってきます。抜いた分だけ点滴することが多いようです。しかしそれでは何をしているのかサッパリ分かりません。


 大きな病院から「週3回2ℓずつ腹水を抜かなければならない末期がんの患者さん」の在宅医療を依頼されました。訪問するとお腹はパンパン、ゼイゼイ呼吸で苦しそう。胸水もありました。もちろん食事は食べられません。多くの医者は本能というか性というか、そこで必ず点滴補給をしたくなります。しかしそこをグッと我慢して利尿剤を使いながら様子を診ます。そもそも人間の生存には水分は必須。もし口から水が飲めないのなら、体内にある水を使うようになります。幸い胸やお腹の中には何ℓものお水が「貯水」されています。しばらくはその水を使って生きられます。食べない、飲まないのに尿は結構出ます。1週間たつと果たして胸水・腹水はかなり減り行動範囲が増えました。もはや胸水を抜く必要が無くなりました。患者さんもすっかり「水を抜く」ことを忘れています。脱水のおかげでお腹の中も消化管粘膜の浮腫みも取れました。全身の浮腫みも取れて、心不全、呼吸不全、腸閉塞が改善され、また少しは食べられるようになりました。そう胸水・腹水は「ラクダのコブ」だったのです。「脱水は友ですよ」、「胸水、腹水、慌てて抜かなくても大丈夫!」などと毎日どこかのお家で言っています。

 
 在宅現場では胃がんや大腸がんによる「がん性腹膜炎」でも患者さんは最期の日まで食べています。腸管の浮腫さえ取れれば腸も少しは動くのです。ついでに言うなら脱水のみならず「貧血も友」です。がん細胞に供給される血液が減るとがんの進行も遅くなります。沢山のお水や栄養を人工的に入れれば、がんが急成長するだけでなく、胸水・腹水、腸閉塞、嘔吐、呼吸困難などの苦痛が増すだけです。在宅での最期がすべて平穏な理由はここです。もちろん、緩和医療をしっかり行うことは言うまでもありません。


 すでに省エネモードに入った臨終期の患者さんに多量の点滴をすることは、苦痛を増すだけで利益はありません。しかし脱水を黙ってただ見守ることは、現実には結構勇気が要ることかもしれません。平穏死の条件、4つ目は「脱水は友、胸水・腹水慌てて抜なかい」です。

 

キーワード がん性腹膜炎

主に腹部原発のがんが播種性に腹膜転移した結果、腹水貯留、腸閉塞、尿管閉塞などを引き起こす病態。胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓、子宮、卵巣などのがんの終末期に多く起こる。

 

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