地下鉄サリン事件の容疑者。
いまなお苦しんでいる被害者がいる。
恐ろしい事件を実行した人間の罪は免れない。

菊地直子が指名手配されたのは、平成７年５月。
私が開業したのも、平成７年６月１日。
阪神大震災の直後、ちょうど同じ時期。

偶然にも同じ１７年を過ごしてきた。
それも在宅寮長という同じフィールドで
働いてきた、いわば同職種だ。

彼女は逃げて逃げてきた。
私は働いて働いてきた。
どこか同じような１７年間に重なる。

優秀な陸上競技の選手だったという。
きっと正義感も強かったのだろう。
どこでどう間違えて洗脳されたのか。

私も一歩間違えたら同じようにしていたかも、
なんて心のどこかで考えてしまった。
まあ洗脳されるほど純粋な人間ではないが。

彼女を洗脳した人間にこそ、責任の大半があるのでは。
彼女の半生をみれば誰でもそう想うのではないか。
実際、彼女の周囲にいた人からの評価は高いという。

１７年という歳月の重さ。
竹内まりあの曲を想いだした。
なんとも言えない時間という悪戯。

見る影もないくらい、１７年で人は変わる。
菊地も長尾も変わった。
もう昔には戻れない。

１７年という数字がやけに気になる今夜。