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いまこそ「在宅診療科」の新設を!

2012年06月24日(日)

今度は、今週発売の「医療タイムス」に連載中の拙文を転載させていただく。
「在宅医療なんて古い」なんて書きながら、「在宅診療科の新設」なんて矛盾してる?
まあ、いいんじゃない。ええかげんな町医者が好きなこと、書かせて頂いている幸せ。
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冬の時代の診療所経営6月号  
いまこそ「在宅診療科」の新設を!  長尾和宏

 http://www.nagaoclinic.or.jp/picture_library/media/iryotims120618.pdf

 2006年に「在宅療養支援診療所制度」が新設され、全国10万軒の医療機関のうち1万2千軒が登録しました。しかし年間に1例でも看取りをしている診療所が半数にも満たず、それらは「名ばかり在支診」と指摘されました。あれから6年が経過。今春には「機能を強化した在宅療養支援診療所制度」が新設。「常勤医3人以上」との条件は、複数の診療所のみならず在宅療養支援病院(在支病)との連携でクリアしてもいいとの通達により、全国各地で在宅医療の診診連携が模索されています。地域医療連携の推進という観点からは、ある程度の効果が得られそうな予感がします。ただし高い診療報酬を頂く強化型在支診は、医学・看護学教育への参画などの社会的使命をきちんと果たすべきだと思います。

 
 これだけ有名になった「ザイタク」という言葉です。しかし「在宅医療」はいまだに国民、医師会、永田町では全くと言っていいほど認知されていないと感じます。まず在宅医療の診療報酬が、一般の外来診療と区別されていない点を指摘します。高点数を根拠に行われる個別指導は、当然、在宅医療を行う施設が上位に並びます。これだけ強烈な在宅誘導政策を打ち出す一方、厳しい個別指導に晒される在支診を、「飴とムチ」という冷めた目で見ている医療者が大半を占めています。政権が変わってもこれだけブレない医療政策は珍しいとも言えますが、肝心の土台作りがまだ完成していないという現実が残念でなりません。病院勤務医から見れば、どの診療所が在宅医療を行っているのか全く知る由がありません。病院医療者でさえそうなのですから、一般市民からみれば全く「ザイタク」の情報が無いのが現状です。理由は単純です。「在宅診療科」という目印が無いからです。


 いまこそ在宅診療科の新設は時代の要請ではないでしょうか。レセプト単価の高い透析科と同様に保険審査も「在宅診療科」というカテゴリー内で行うべきではないでしょうか。患者目線からしても「在宅診療科」新設の意義は明らかです。自分が在宅医療を依頼しようと考える診療所が果たして従来型在支診、単独型強化型在支診、連携型強化型在支診の一体どれであるのか、誰もが知りたいところでしょう。なぜなら医療費が、各々でかなり異なるからです。日が暮れてから急な発熱で往診を頼んでも、普通の診療所、従来型在支診、強化型在支診では、自己負担が最大2倍も違ってきます。市民から「一物二価」とのそしりを受けないような工夫が必要ではないでしょうか。そのためには、せめて「在宅診療科」という看板を掲げることを真剣に議論すべきではないでしょうか。


 都市部ではサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が続々と建設されています。在宅療養の場は、住み慣れた我が家、サ高住、グループホームや有料老人ホームなどの施設系の3類型に多様化しています。もはや「在宅医療」から「地域包括ケア」と呼ばれる時代です。「ザイタク」という概念は、時代とともに常に変化しています。


 いまこそ「在宅診療科」の新設が必要であると提案します。地域包括ケアを本物の「システム」として持続させるためにも、また在宅療養という口実で病院を追い出されて彷徨う患者さんのためにも、在宅医療を正しく認知してもらえる方策が急務であると考えます。

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