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「長尾先生、平穏死って知っている?」

2012年07月02日(月)

ある大きな病院の院長先生から電話があった。
「長尾先生、平穏死って知っている?」と聞かれたので
「知っています」と素直にお答えした。
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その院長先生は、
石飛先生の「平穏死のすすめ」と
中村先生の「大往生したけりゃ・・・」を読まれたそうだ。

90歳代後半になる自分の身内が入所する特養に
「平穏死って知っているか・?」と聞かれたそうだ。
全員が、「そんなものは知りません」との答え。

そこでその大先生は、「この本のとうりにやってくれ!」と頼んだそうだ。
食べられなくなっても人工栄養を一切せず、自分の口から食べることに拘る。
すると枯れるように何の苦痛も無く、旅立たれたそうだ。

「平穏死って、本当だね、長尾君。 あれはいいな!
 その特養では、「平穏死第一号」だったんだ」

その先生は、私の本性を知らずに無邪気に話を続けた。

「ところで長尾君、平穏死を知っている特養ってどれくらいあるんだ?」

私は、「さあ、まだ1割も無いんじゃないですか」と答えた。

するとその院長は、
「実は俺も調べてみたんだ。でも嘱託医は誰も知らないな」

この院長先生は、さすがに勘がいい。

「長尾君、老健って知っているか?」と来た。

「知っていますよ」と。

「長尾君。老健での平穏死はどれくらいあると思う?」と来た。

「さあ、ほとんど無いんじゃないですか?」

「そんなんだ。俺も調べてみたけれど、誰も知らないんだ。
みんな救急車で病院送りするっていうんだ。
送られても困るんだけどな」

なんだ、答えも知っているじゃん。
要は俺をテストしていたわけか。
まあ、それでいいや。

「うちの病院の医者にも平穏死を勉強ささんといかんな」と来た。
この先生の凄いところだ。

こういう病院は伸びる。
実は、もの凄く伸びている。

こんな素直な感性が大好き。
知らないことを知らないと言える、おおらかさ、謙虚さ。

最近、こういう質問をしてくる病院のトップが増えてきている。

実は、7月17日に出る「平穏死の10の条件」は、医療者に読んで欲しい。
もちろん、その院長先生には、最後に種明かしをしたら、驚いておられた。

医療者がまだ全くしらない、「平穏死」。
石飛先生の本がいくら売れたといってもまだまだだ。
何せ、100人の医者の1人も知らないのが、「平穏死」。

どの医者も「嘘」だと思っている。
嘘でもなんでもない、真実なのに。
医者が知らないのだから、市民が知るはずがない。

というわけで、2週間後に出る本はできるだけ多くの人に読んで欲しい。

イタリアのフイレツエに「ガリレオガリレイ博物館」があった。
当時、地動説を唱えたガリレオは囚われの身になったそうだ。
実は、これくらいインパクトのある本を出そうとしている。

私も投獄されるかもしれない。
しかし多くの人に知ってもらえたら、投獄されてもいい。
全てを失ってもいい。

そう思いながら、「平穏死10の条件」を書きあげた。
その院長先生には一番に読んで頂きたい。
そして職員全体に勧めて欲しい。

医療が変わる時とは、こんなものなんだろう。
あと何年かかるか知らないが、一石を投じたい。
私は、そのために生まれてきた、と思うから。

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この記事へのコメント

先生は確信犯ですか・・・。
それでは我々在宅患者とその家族みんなで先生をかくまわねばなりませんね。
アマゾンのURはまだなんですね。楽しみにしております。

Posted by チズ at 2012年07月02日 08:11 | 返信

昨日、やっと、「医者は病気を、どう推理するか」NHK総合診療医ドクターG制作班編幻冬舎刊¥1300を、購入しました。医療監修は、洛和会音羽病院院長 松村理司(ただし)氏です。2012.6.25日発行です。
長尾先生の「平穏死、10の条件は、西宮や茨木の、講演会に参加しないと、手に入らないのですか?その講演会に参加すると、なんだか、長尾先生が蓮ホウ議員に取り込まれたように、私達も、何かに取り込まれそうで、怖いです。

消費税に関しては、週刊エコノミスト2012.6.19世界史で学ぶ経済のP20,国債に歴史「国債は民主主義の健全性を映す。教訓は(税金でしか返せない)」中央大学法学部教授富田俊基説が妥当かなと思います。ただ、過去に、税金で裏打ちされない大量の赤字国債を誰が、誰のために発行したのか?という疑問は残りますけどね。
宗教や、党組織に入ってないと、何から何まで、自分で、購入して、自分で考えなきゃ。いけないので、疲れます。

Posted by 大谷佳子 at 2012年07月03日 11:37 | 返信

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