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認知症の方の服薬管理
2012年08月18日(土)
特に地域包括ケアと服薬管理の関係が重要になる。
今朝の産経新聞・兵庫版から転載させていただく。
産経新聞在宅療養シリーズ第7回 認知症の方の服薬確認
お薬の管理は多職種連携で
オリンピックでの日本人選手の大活躍の余韻に浸ったお盆でした。さて今回は、認知症で在宅療養している方の高血圧と糖尿病管理についてのお話しです。2人に1人ががんになる時代、これは事実です。加えて私は「2人に1人が認知症になる時代がもうすぐ来る」、と勝手に思っています。それ位、認知症の方が急増していると感じます。認知症の方の高血圧や血糖の管理は、それ以上、認知機能を悪くさせないためにも、また脳卒中を防ぐ意味でも大変重要です。もちろん抗認知症薬や興奮を抑えるお薬を飲まれている方も沢山おられます。病院では種々のお薬を出せばそれで終わりかもしれません。しかし在宅医療ではちゃんとお薬を飲んだかの確認が重要です。これが意外と難しい。そもそも「服薬確認」が何故重要なのか?高血圧や糖尿病のお薬は、結構な劇薬だからです。もし誤って何度も飲むと重篤な副作用を引き起こすかもしれません。
実際、在宅現場における認知症の方の服薬管理は難しい課題です。医療機関から沢山出されるお薬を誰がどのように管理するのか?ヘルパーや訪問看護師が毎日入れるケースは稀です。ご家族が同居か近くに住んでいても仕事などで毎日、決まった時間に服薬確認できないことがむしろ普通です。介護スタッフがお薬袋に一所懸命セットしてくれても、飲んだのか飲んでいないのか全く分からない時がよくあります。もし血圧の薬を飲み過ぎれば、血圧が下がりすぎます。もしインスリンを打ったことを忘れてしまい何度も打てば低血糖を起こして転倒します。もし発見が遅れた場合、最悪、遷延性意識障害に至る場合もあります。病院ではインスリンの4回打ち、3回打ちが普通ですが、認知症の在宅療養ではとても出来ないことがよくあります。2回ですら難しい。インスリンはご家族は打てますがヘルパーは打てません。そこで、在宅ではいろんな工夫をこらし、より簡便な治療法に変更します。ちなみに私の場合、DPP-4阻害薬という飲み薬や、持効型インスリンを土台に据えた飲み薬主体の治療(BOTといいます)に変えていきます。在宅医療では、良好な血糖管理より低血糖発作を確実に避けることを優先します。
そもそもお薬とは、種類が少なくて、飲み忘れがない飲み方が一番です。私は可能であれば、朝1回にまとめて飲み忘れが無いように工夫します。一方、現在4種類ある抗認知症薬も1日1回タイプと2回タイプ、そして張り薬といろいろな剤型があります。いずれも最小量から開始して徐々に増量するものであり、服薬確認が重要です。
最近は、ご自宅を訪問してお薬の説明をしてくれる薬局の薬剤師さんがいます。夜中に痛み止めの麻薬を持ってきてくれる薬剤師さんも。薬学部が6年制になり在宅現場に興味を持つ方が増えています。なかでも認知症の方の血圧や糖尿病の管理には、薬剤師さんを含む多職種の連携が欠かせません。できればケアマネに頼みご自宅で「ケア会議」を開催してもらいましょう。御家族と医療・介護スタッフが腹を割って話し合う機会を持つことが大切。その場で腹を割って充分に話しあい、できるだけお薬を減らして、楽しむことを優先したいものです。在宅療養の目標は「いかに生活を楽しむか」だと信じています。
キーワード DPP-4阻害薬
血糖降下作用を持つ消化管ホルモン(インクレチン)の分解を阻害することにより、インクレチンの血中濃度を高め、血糖降下作用を発揮する飲み薬で現在5種類が発売されている。単独投与では低血糖を起こしにくい。
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