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3時間待ちの3分診療

2012年10月07日(日)

病院はめんどくさい。長く待たされても診察はたった3分。
これは30年前から変わっていない。
昨日の産経新聞朝刊には「なぜ3時間待ちの3分診療なのか」について書かせて頂いた。
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第4話 長い待ち時間

    3時間待ちの3分診療の理由

 

 病院に行くとなると、待ち時間が気になります。大きな病院では、予約があっても2~3時間待つことがあります。それを見越して読みたい書籍を持っていく患者さんがおられますが賢い判断です。昔から大きな病院は、よく「3時間待ちの3分診療」といわれます。これだけ言われ続けているのに改善できないのは何故でしょうか?今日は、その理由を考えてみましょう。

 
 結論から申し上げると、日本のお医者さんは1日に診る患者さんが異常に多いのです。おそらく世界最多。欧米のお医者さんは、日本のお医者さんの数分の1しか診ません。「1日にこれ以上は診られませんよ」と制限しているのです。日本は国民皆保険制度の上に、フリーアクセスです。さらに応召義務が加わります。患者さんは、お医者さんを自由に選べるのでドクターショッピングを繰り返す方もおられます。一方お医者さんは患者さんを選ぶことができません。寿司屋の頑固親父なら「お客さん、うちの店にはあわないから帰って下さい」と、また数量限定の蕎麦屋なら「すみません、今日は売り切れました」で済むかもしれません。しかし医療機関はそうはいきません。一人一人丁、来た人全員を丁寧に診なくてはなりません。1人5分で診ても1時間に12人、午前中に36人しか診ることができません。1人5分といっても、呼び入れる時間や着替える時間を差し引くと正味3分です。3分の中で、診察、説明、カルテ記載を終えなくては時間通りに進行しません。もちろん現実には、そのように進行せず遅滞は増幅する一方です。初診なら問診だけで15分はかかりますし、話の長い患者さんなら15分喋り続けられます。「2時間も待たされた」と開口一番、文句を10分間喋り続けると、それだけですでに、2人分の遅れが発生します。ですから、午前中に約30人診察しようとしたら、丁寧に診察すればどうしても終了時刻は、1~2時間は遅れてしまうのです。また高速道路と違って多くの町医者は一車線なので、ひとたび事故が発生すると大渋滞に陥るのです。

 
 昔、勤務医だった時、診察が早い先生がいました。もの凄いスピードで診察されます。その代わり患者さんの話はほとんど聞いていません。一方、患者さんの話を丁寧に聴く先生がおられました。その医師の待ち時間は、おのずと3時間超えになります。医師は昼飯も食べず夕方まで診察していました。実は開業医も同じです。半日に30人診るとして、時間通りに進行してほとんど待たせない町医者と、じっくり診察するのでどうしても待ち時間が長くなる町医者がいます。かかりつけ医が、どちらのタイプか知っておくことが大切です。話をよく聴いてくれる町医者の待ち時間が長くなることは、必然なのです。

 
 最近、待ち時間に外出できるように携帯電話のような呼び出し器を受付で渡すクリニックがあるそうです。商業地にあるクリニックなら、待ち時間を利用して買い物ができるかもしれません。また完全予約制の医療機関には、待ち時間問題はないはずですが、まだ少数派です。患者さん側の自衛策としては、人の多い時間帯を避けることでしょう。先週書いたように、雨の日と夕方6時が狙い目です。

 

キーワード 応召義務

医師法19条には「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあつた場合には、正当 な事由がなければこれを拒んではならない」と定められている。しかし医師が病気や体調不良の時は適応されない。

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この記事へのコメント

応召義務というものがあるんですね。大変ですね。
こちらではお医者さんを探すのが大変です。
「1日にこれ以上は診られませんよ」があるので、評判のよいお医者さんは新規の患者さんを受け付けていないからです。
同じ病院なら、先生が違っても同じぐらいの質の治療が期待できるかというとそんなことは全然なくて(笑 すみません、でも本当なんです)、やっとこさ探したお医者さんが大はずれで途方にくれたりします。
それでも、健康保険が購入できていざというときにはなんらかの診療が受けられる立場にあることは、貧富の差がとても大きいこの国においてはとても幸せなことです。

Posted by ノンノン at 2012年10月08日 05:07 | 返信

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