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施設に看取りの文化を
2012年10月25日(木)
国を挙げて、施設の看取りが謳われている。
しかし現場の人間からみると、看取りの文化とはほど遠い施設が一部だろうが、ある。
悪くなればは救急車を呼んで、「看取りは病院で」が当たり前の施設もある。
朝一番から入る電話は、施設からが圧倒的に多い。
バイタルサインを、繰り返し、
「それがどうしたの?」と聞くと
「一応、報告です」とのこと。
「こちらも人間ですから、そんなことでいちいち電話しないで」と言うと
「こちらも仕事ですから、報告はさせてください」と怒って返ってきた。
介護職員は、報告しないと不安なようだ。
何も無いのに、朝一番から何度も起される。
日々、おちおち寝れないのが、これは私の要領が悪いからなのか。
携帯電話の半分は、極く少数の不安症の施設のヘルパーからの電話だ。
なんとか勘弁してくれとお願いしても、また新しいヘルパーが電話してくる。
彼らは「いいことをしている」と無条件に信じているようなので心苦しい。
施設の看護師は、昼間だけ。
企業内の形だけの訪問看護が入っていることもある。
明らかに企業営利だけの看護らしく、「私たちは何もできませんから」と最初に釘をさされる。
「看護師はいるが看護無し」、としか言えない施設もある。
結局、当院の看護師がボランテイアで入るしかない時もある。
亡くなったあとも、ある施設では、異様な雰囲気に包まれたことがあった。
大往生なのに、大きな事件があったかのような空気に、凍りついている。
そんな「施設」に、看取りの文化を根ずかせるための活動を続けている。
ミニ講演会など、臨機応変に、時間が許す限り啓発に努めてきた。
まだまだ未開の施設もあることに驚くばかりだ。
しかしスタッフたちは、看取りに興味が無いように感じる。
看取りは、救急車で病院送りだと信じている職員もいる。
病院の医者から見れば、「在宅=ギリギリで病院に丸投げ」としか見えない。
平穏死したひとを、病院の医師が見ることはなく、見るのは丸投げ症例のみ。
施設で看取るのは、正直迷惑なようだ。
看取る医者を恨んでいるようにも感じる。
もちろん、私の平穏死の本など興味が無い。
拙書を読んでくださいと薦めても反応が無い。
天国に一番近いひとたちが暮らす施設が、
天国に一番遠い場所になっている不思議。
「施設での看取り」と簡単に言いがちだが、
看取りの文化がない場所での看取りは、極めて困難だ。
厚労省も現場の実情をを知らずに言っているように感じる。
救急車に丸投げなど、施設での看取りには、さまざまな問題がある。
ごく一部とはいえ、それを直視しない看取り政策は、まさに絵餅になる。
以上は、都市部において私j自身が見たり聞いたりした施設での在宅の現状だ。
もちろん積極的に看取ってくれる施設もどんどん増えてきており、嬉しいことだ。
ただ極々一部に、モラルハザードを逸したグループが存在するのも
まぎれも無い事実なので、敢えて指摘をさせていただいた。
私が言いたいことは、文化とモラル。
そして在宅(医療・介護)規則の改変、簡素化だ。
くれぐれも誤解なきように。
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この記事へのコメント
私も一度近くのグループホームに看取りを進めましたが、??な顔してました。「慣れていないから~~」と言ったので、うちに研修においで、年間10人以上看取ってるから、それなりに勉強になるよ。と誘ってみたが、一向に返事なし・・・・・諦めました(T_T//)
Posted by べひん at 2012年10月25日 03:14 | 返信
べひんさん、残念ですね。
三好春樹さん責任編集の『ブリコラージュ』今月10月号に、「澄江さんの死」という
レポートがあります。
澄江さんという97歳の入所者さんを、職員さんが「看取り合宿」と名付けて、泊まり込みで
看取り、お亡くなりになった後の「お骨あげ」までしています。
涙なしでは読めません。
Posted by 花へんろ at 2012年10月25日 09:05 | 返信
いつも楽しく読ませていただいています。
ただ、施設往診をしている在宅医療機関が患者売買をしているような記事はやめてもらえませんか?
自分がかかわっていないことに対して嫉妬されているようにも感じますが。
Posted by 偏っていませんか? at 2012年10月26日 11:21 | 返信
私の家の近所にも、有料老人ホームができました。見学に行くと、居室は居心地良く素晴らしいものでした。食事も素晴らしい。ただコンシェルジュが「御病気になられますと、一階の保健室に移って頂きます。病院に入院しなければいけない状態のなりますと、提携しています病院に入院して頂きます」と仰っていました。日本で超一流と言われる、有料老人ホームでも、そういう事情です。
施設でも、石飛先生や中村仁一先生みたいなお医者さんが居て下されば、最高ですけど、有能なお医者さん一人雇うと、それだけ、入居金が高くなります。
しかし、例えば、お年寄りが施設で、亡くなった時、遺族が「どうもお世話になりました」と言ってくれれば、全てが上手く行きますが、あの角田美代子さんみたいに何でも、ねじ込んでくるオバちゃんがいると、老人ホームの一つや二つは直ぐ吹っ飛んでしまう化可能性があります。
長尾先生は単に、夜中であろうと、明け方であろうと、携帯を鳴らすワーカーさんに腹を立てているだけなんだと思います。これは、ワーカーさんでは無くて、施設が、責任を長尾先生に(丸投げ)しているのでしょう。
施設で、お年寄りが突然亡くなった。大往生なんだけど、それを、遺族が美代子オバさんみたいに、ねじ込んで来たら、どうなるのか?
これまでは何事も無かった。でも、こんなに不景気が続くと、いろんな人が出てきます。
在宅医療は家の雰囲気も分かり、家族とも、息の通った話ができて、スムーズに行く可能性が大きいと思います。
でも、施設にお年寄りを預ける家族と施設側がどういう話をしているのか?
長尾先生と家族はお年寄りの亡くなり方についてよく、話し合っていらっしゃるのか?
家族と何の会話も意思疎通も無いのでしたら、ちょっと辞めておいた方が無難かなと思いました。私は施設の医療の法律には詳しく無いので、大げさに考えているのかも知れませんけど。
Posted by 大谷佳子 at 2012年10月28日 02:16 | 返信
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