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気仙沼からの便り
2013年01月02日(水)
気仙沼の面瀬中学の仮設住宅の集会場で寝泊まりしている黒田裕子さんから電話があった。
7人の東京の大学生とともに、ボランテイア活動を続されている。
一方、12月に気仙沼と女川でボランテイアをされた、O栄養士さんからもレポートが届いた。
元旦から到着され、少しお話をした。
その他、泊まりこんでおられる看護師さん2名ともお話しをした。
看護師さんや学生たちが頑張っておられる。
一方、知り合いのO栄養士さんから届いたメールにも心を打たれた。
被災地でも口から食べることを、継続支援なされている。
気仙沼まで行ける人は少ないだろうが、このような活動が行われていることを
多くの方に知って欲しい。
こうした地道な取り組みが、明日の日本を作るものと確信して応援している。
以下の文章は、書かれたO栄養士さんの許可を得て、転載させていただく。
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さて、12月23日~25日に宮城県気仙沼市と牡鹿郡女川町へ行ってきましたので報告します。
今回は、仙台から女川、気仙沼とレンタカーで一人で被災地をまわらせていただきました。
人目につかないところにがれきは山積みされている事、女川原子力PRセンターで地元の初老の男性がコンパニオンに原発について語っていた事、牡鹿半島一周し海が一番きれいに見える観光地だったはずの公園が今もなお廃墟となっている事、女川熊野神社から一望する女川漁港に船がたくさん戻っている事、いろいろなところで復興を願い懸命に働いている工事現場や商店街の方々、いろいろな映像から今を感じていました。
そして、女川の施設の方や気仙沼の宿泊先の女将さんと昨年の3月11日から今についてお話も聞かせていただきました。忘れて良いことと、できるなら忘れてしまいたいこと、忘れたくないこと、忘れてはいけないこと・・・
いろいろ環境で生きる人の「忘れる」の意味を感じていました。そして、最期まで尊厳ある「生」を追求してみたいなと改めて考えていました。
今回の目的はF先生率いる気仙沼口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート(通称ふるふる隊)のサポートを受けて特養と昨年4月に日本ケアマネ協会の指示で女川支援に入ったのですが、その時の仲間で作っているチームひだまりのサポートを受けて特養おながわに入ることでした。
ふるふる隊の活動報告ですが12月25日に春圃苑へお邪魔しました。昨年の8月頃に初めてお邪魔させていただき、今回で3回目です。初回は施設栄養士さんと全利用者さんをまわりケアプランと栄養ケアマネジメントと口腔環境を御一人ずつお話しながら確認し施設での栄養ケアマネジメントを展開したら良いかを検討した事を覚えています。当時は、震災から5か月ほどたちBMIは改善傾向にある中で口腔内に痛みを訴えたり高血圧や不眠の利用者さんが多く不安定な栄養状態だったことを覚えています。
今回はS栄養士の栄養ケアマネジメントとM看護師の摂食嚥下や身体機能に関する課題がリンクする利用者さんと一緒にお話しながら介護方法を検討していきました。
不穏な方や口腔内の疼痛や不衛生な方も殆どおらず、震災の影響と思われる二次的低栄養の方はいないなと感じました。特養の特徴かもしれませんが、脳血管疾患等の後遺症による口腔機能低下よりも先に意欲や認知機能低下による摂食嚥下困難な方が非常に多く結果としていつの間にか心身機能低下となり摂食嚥下機能低下し胃瘻リスクが高い方が多いようでした。昨年の震災後に一気に栄養状態が悪化し胃瘻になったままの人も多いようでしたが、その中でも、座位保持が可能で隣の人が食べているのを羨ましそうに眺めていて会話可能でも胃瘻のままの方もいました。
経口摂取を検討中とのことで握力やRSSTや頸部聴診等で簡易に確認し
M看護師さんに既往歴やバイタルを確認しながらS栄養士とNCMの確認が出来ました。
また、半固形化栄養材(市販)の利用者の方の逆流性誤嚥の可能性が高い方の対応も検討しました。
(逆流のリスクの高い方への胃瘻の水分出納管理について分かりやすいサイトがあったのでご紹介します。
http://www.peg.or.jp/paper/article/semi-solid/32.html)
特養のような専門的医療視点が乏しい介護環境は在宅にも通じるところがあります。食べられなくなる入口いわゆるK先生の言われる「ロンリーマウス・シンドローム」の早期発見をすることで、特別な医療的手技が無くとも急変とされなければ食べられる支援を通じて最期まで食べられる人は
実は多いのではないかと感じています。その早期発見にNCMを役立てたいなと思うのですが、目に見えない変化がなければ気付きにくく残念ながら施設ケアプランの立案にまでなかなか至りません。
専門職云々ではなく誰もが尊厳ある食を維持する事に貢献できるチームケアを特養でできないかとM看護師やS栄養士とお話をさせていただきました。ただ、施設や病院、在宅関係なく食への温度差があるのは仕方なく最初は協力者がいなくとも実践を通じて顔の見える関係作りから行う必要があるねとそんな話もしていました。
今回の訪問で一番うれしかったのは、今年8月に初めて出逢ったS栄養士は不安を全面に出していたのですが、「やるしかないですからね!もう、開き直りました(笑)」と表情明るく話してくれたことでした。
施設栄養士業務は一人職場で目に見えないところで苦しい事も多く理解されない事も多々ありますが、開き直ればこれほど楽しい職種はないと私は思っています。今回は、お忙しいところM看護師とmailで事前に情報交換させていただきまた、S栄養士が事前に栄養情報をまとめていただけたおかげで利用者さんの生活がとても分かりやすくなっていました。本当に感謝申し上げます。今後ともお付き合いいただけたらと思っています。
K苑を後にしリンデンヴィラのK看護師兼ケアマネさんに少しだけご挨拶したく訪問したところ非常に困っている症例を紹介してくださいました。
栄養状態を一緒に確認し脱水の可能性も高く低栄養状態で口腔環境も悪化している方で、ただ、指示はなんとなく入るし嚥下状態も悪くないと言われ栄養改善する事で継続的な経口摂取は可能と感じました。翌日にT大の勉強会に出す症例し、更にK先生が27日に訪問予定だとのことでK先生に栄養状態等の簡単なメールをさせて頂き専門的口腔ケアをお願いをしました。私も非常に知りたいところでしたが、27日までは流石に気仙沼に滞在は難しく断念、、、。K先生からの情報によると開口、口腔清掃、舌リハ、間欠チューブ栄養法のプランニングまで行ったとのこと。
多職種連携って素晴らしい!!と感激です。
女川の事もご報告したかったのですが、例のごとく長文ですみません・・・^_^;今から主婦っぽく年末のお掃除が終わったら訪問栄養に行きますので続きはまた後日(^^)/
追伸:
ステキな報告会が企画されています。お時間のある方は是非参加されると良いと思います。参加される方よろしくお願いいたします!
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すでに厳寒期に達しているような寒さの今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、「口から食べる」ことは、人間のもっとも根本的な活動であり、また権利でありますが、近年、特に高齢者や障がいをもつ方において、「口から食べられないこと」は大きな問題になっていて、全国各地でこの問題に対する取り組みがなされています。
もともと高齢化率の高い、南三陸・気仙沼地域においてもこれは同様であり、しかも、東日本大震災の大きな被害を受け、さらに顕在化してしまった部分もあります。
しかし、当地域では、震災のつらい体験のなかから、外部のサポートを受けながらも、この問題につき、病院・施設・在宅の各方面で前向きに取り組んできて、現在、全国のなかでも特記すべき「地域一体型」の活動になっています。
このたび、これまでのおのおのの分野・施設の経験をもちより、共有・論議することにより、さらなる研鑽を積み、また広く宮城県内、東北、全国の仲間を得て、なによりこの問題に直面して、悩み困っているかたがたのすこしでもお役に立てるために、このような報告会を企画しました。
どうか多くの方のご参加をいただきたいと思います。
職種にこだわらず、一般の方のご参加も歓迎いたします。
==企画==
気仙沼・南三陸「食べる」取り組み報告会
日時 2013年2月10日(日曜日) 13:00-17:00
場所 宮城県歯科医師会館
仙台市青葉区国分町1-5-1 TEL 022-222-5960
主催:気仙沼歯科医師会
気仙沼・南三陸「食べる」取り組み研究会
開会の辞:菅野 健(気仙沼歯科医師会長)
ごあいさつ:細谷仁憲(宮城県歯科医師会長)
司会:古屋 聡
(気仙沼口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート)
発表(すべて1題15分)
1)震災後の、気仙沼・南三陸地域の「食べる」取り組みと支援状況の概況
気仙沼口腔ケア・摂食嚥下・コミュニケーションサポート 古屋聡(医師)
2)気仙沼市立病院
3)大友病院 (気仙沼市)
4)恵潮苑 (特養:気仙沼市)
5)恵風荘 (特養:気仙沼市)
6)リンデンヴィラ (老健:気仙沼市)
7)歌津つつじ苑 (老健:南三陸町)
8)南三陸訪問看護ステーション・金沢歯科医院 (在宅:気仙沼市)
9)谷 恭子 (歯科衛生士:JRS/KCS/チームオレンジ)
10)安西秀聡 (医師:チームオレンジ)
11)札幌西円山病院 (言語聴覚士:KCS)
12)鶴見大学 (歯科医師)
13)一瀬宏隆 (歯科医師:JRS/KCS/チーム東海/チームオレンジ)
質疑応答
指定発言:川島 実 (医師:本吉病院)
講評: 小山珠美 (看護師:東名厚木病院/チームオレンジ)
まとめと終わりの言葉:金澤 洋(気仙沼歯科医師会地域連携室長)
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