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認知症と骨折

2013年01月07日(月)

この季節になると、認知症のひとは、みんな調子が悪くなる。
深夜に徘徊して近所から苦情を言われた、と飛び込んでくる家族に対応する。
あるいは、激しく転倒したことをすっかり忘れている患者さんに振り回される。
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寒い、暗い。
夜が長い。
陰の極。

認知症のひとは、調子を崩しやすい。

夜間は別の人間に変身する。
独居のひとは、正月は家族が泊まり込むが、今日あたりから悲鳴を上げる。
デイサービスやショートステイの相談で日が暮れた。


胸が痛い!と叫ぶ高齢男性。
心電図は正常。
しかし寝返りも打てないという。

何度聞いても、胸をぶつけていないという。
胸部レントゲンでも、異常を認めないので
神経痛として痛み止めを処方した。

翌日、また家族に付き添われて来院。
痛みは変わらないと顔をしかめる。

「絶対に転んだりして、打っていませんか?」

「絶対に転んでいないし、絶対に打っていません」と
私の目を見て、しっかり言い張る。

首をかしげながら、レントゲンとCTを追加した。
写真を見てビックリ。
胸骨が、ボッキ!と折れている!

見事な骨折、だ。

転倒して、思い切り胸部を打撲しているはずだ。
それでも、転んでいない!と言い張る。
独居なので、誰も知らない世界だ。

痛みの原因が分かり、私も本人も家族もひとまず納得した。

「ひにち薬ですね」

認知症のひとは、とりつくろうので、鵜呑みにしないことだ。
初診でそれを見抜けなかった自分を恥じる。
まだまだ甘い臨床能力。

認知症のひとは、不安になる。

普段、強気一本で言うことを全く聞かないひとが、
突如として不安で一杯になる。
昨日までと全く違うことを言いだす。

「来るな!」と言っていたひとが、「すぐに来てくれ!」に変わる。
「死んでも入院はイヤ!」と言い張っていたひとが、
「どこでもいいからすぐに入院させてくれ」に変わる。

人間は変わる。
1日で180度変わる。
昨日のNOは、今日のYES.

「先生、ここに泊まってくれへんか?」と、くる。
誰でもいいから、そばにいて欲しいのだ。
気持ちは分かるが、そうもいかない。

こんな時、あったらいいな、とは、
緊急添い寝おばさん、や
緊急ショートステイだ。

そんなことを考えながら、遅くまで認知症の往診をしていた。

太陽の季節、ならぬ
認知症の季節、なのだ。




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