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雪の金沢

2013年02月21日(木)

日本静脈経腸栄養学会に参加するため金沢に来ている。
簡単に言えば胃ろうとIVHの学会なので、大切な学会だ。
大阪からのサンダーバードは琵琶湖を過ぎれば雪一色だ。
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明日22日の「日本人の胃ろうを問う」という
シンポジウムで登壇する予定だ。
電車の中で一生懸命、スライドを作っていた。

医学会での専門家による真面目な議論も大切だ。
一般書での発信だけでは批判を浴びる機会も無い。

胃ろう中止例を、日本老年医学会のガイドラインと
尊厳死法案の両面から検討した研究発表をする。

医学会でもちゃんと議論しておきたい。
一流の学者さん達と一緒に登壇する。

今日の夕方、第一会場での「緩和医療と栄養管理」という
シンポジウムを聴いているが頭の中に、?マークが飛び通っている。

「最期までの栄養管理が大切」と訴える管理栄養士の叫び。
栄養士と看護師の連携が今後の課題だなー、なんて思い知らされされている。

その辺までは、充分、納得できる。
個人的には最期くらい何を食べてもいいと思いながら・・・

しかし
「最期の最期まで高カロリー輸液でしっかり栄養管理をして
 QOLを上げながら看取ることが大切」だという医師の講演。

最期の最期まで、高カロリー輸液??????

私が毎日のように講演していることと真反対のことが医学会で啓発され、
それに異論を述べる医療関係者が一人もいない専門家集団・に驚いた。

栄養のための栄養の学会、のように感じた瞬間。
こんなオッサンにも、まだまだやることがあるんだなー、と実感する瞬間。

さらに、司会をされている病院の先生のコメントを聴きながら、腰を抜かした。

「在宅でも緩和ケアができるんですね?」

ええー!!!!!

「看取りは、がんを発見した外科医がするものだと思っていたが、
在宅でも看取るんですね」
という発言には、さすがに、唖然。

やはり病院と在宅の差は、日本とアトランテイス大陸くらいの
差があるんだな、とあらためて思った。

末期がんへの高カロリー輸液は禁忌だと思うが、
この学会では、真反対のことが肯定されている。

ここまで来ると、もう発言する気にもならない。
医師や看護師や栄養士の発言が、すべて
すべて「オリの外から動物を診る」ような議論。

「チーム医療」や「NST」という言葉だけが
まるで呪文のように一人歩きしている、病院中心のこの学会。

今夜、懇親会か飲み屋で出会えたら、
東口理事長に尋ねてみたい。

ビックリするくらいの温度差を感じただけでも
診療を休んで、金沢まで来た甲斐があったな。

専門家集団がこれだから、私のような町医者が
まだまだやることがある。そんな気がした。

ついでに言うなら、このシンポでも
「家族とは何か?」が話題となった。

今日の続きは、6月21、22日の日本緩和医療学会でやろう。

金沢は大雪で真っ白。
滑って歩けない。

懇親会が楽しみ。

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この記事へのコメント

介護施設で終末期を迎える経管の患者さんの中には、手足は枝のように細くお腹まわりにはたっぷり脂肪が蓄積している方がいます。栄養たっぷりで褥瘡はないかというと、そうでもなく大きいのがしっかできています。

介護施設で終末期を迎える方は昨日今日寝たきりになった人とはわけが違います。一番大きな違いは筋肉の量が本当に少ないということです。しかし栄養士はそんなことは知りません。元気な西洋人のデータを基に確立されたハリス・ベネディクトの式を使って年齢、性別、身長、体重でエネルギー消費量を機械的に決めます。寝返りはできず、一日中意識もはっきりせずに寝ているような状態なので、カロリー的には過剰投与でどんどん脂肪が蓄積します。

この体重増加は褥瘡に対して2つの面でデメリットになります。どちらも接触圧が高くなることと関係しています。

1つは体重増加により体型が丸くなるので、ベッドとの接触面積が狭くなります。その結果、単純な体重増加以上に身体のベッド面への接触圧が高くなります。
もう1つは体が重いので、ベッドの縦方向への移動介助が十分できないので、不適切な位置でギャッジアップされるようになります。本来股関節が来るべきところに腰が来てしまい、仙骨がベッドにつきささるように食い込みます。さらに体型が丸いので姿勢が崩れやすいために、姿勢の崩れが仙骨にねじれ力として加わります。

不必要な体重増加が褥瘡の原因のすべてではないのですが、重要な要因の1つであるのに、褥瘡が出きるとさらに高カロリーになります。

最近丸々太った終末期の人を見るようになりました。おかしな事が起きているように思います。
ついこの間まで元気で、脳卒中か何かの病気で寝たきりになった人と同じ栄養管理が、長い時間をかけて機能が低下した認知症終末期の人にも本当にあてはまるのでしょうか?

Posted by taku at 2013年02月21日 10:00 | 返信

「最期の最期まで高カロリー輸液でしっかり栄養管理をして QOLを上げてから看取ることが大切」?? ん~~~ ???
QOLとは「患者の 生活機能ができるだけ保たれ、人間らしい生活を続けられること」or 「『生活の質』と訳され、人間らしく、満足して生活しているかを 評価する概念」であります。
ならば「QOLを上げてから看取る」って、どういう意味なのでしょうか。
QOLが上がるということは総合的に心身の状態が良くなるということですから死ぬ方向には行かないですよね。だから看取れない。こういったわけのわからないことが日本の医師の集会で講演されている???
素人なりに推測しますところ、この「最期の最期まで高カロリー輸液でしっかり栄養管理をしてQOLを上げてから看取ることが大切」だという医師は、「QOL」をデータのみで捉えているのだと思います。胃瘻やIVHで栄養を入れている老人の好調な時は顔色良くふっくらしている、とよく言われるそうです。そういった好調時の血液検査等々ではおそらく良い数字が並ぶのでしょう。
ですからこの医師は、「患者の様々な検査数値が良くなる(=その医師にとっての『QOLが上がる』)ように栄養剤を流し込み続けることが自分たちの使命である」とお考えなのではないかと推測します。
その患者が、食べ物を味わうこともなく、暑い寒いも言えなくて、痒いところがあっても手が動かないからかけない、それでも、この医師にとっては一向に構わないのです。彼らにとって患者は「肉体」であって「人間」ではない。そんな「お医者様」がたくさんいる日本。

長尾先生のサイトにお邪魔していますと、なんとなく、「そんなに医者を疑わなくてもだいじょうぶなんだ」という暖かい気持ちになってしまうのですが、やはり「お医者様」に対峙する時には、足元をすくわれないようにいつもいつも用心していなければならない、と思います。改めてガードを固くしました。

Posted by komachi at 2013年02月21日 11:00 | 返信

管理栄養士の 尊厳死会員を 増やしています。
訪問管理栄養士と 在宅医師との 連携もしたいです。

その前に 多忙の医療スタッフに ファスト フード 以外の 普通のご飯が食べられる環境を。

Posted by kayabuki110 at 2013年02月21日 11:54 | 返信

長尾先生にはブレーンが沢山おられるので、今更新しい情報ではないかもしれませんが
将来も冬場の講演多いようでしたら
スノウタイヤの靴版といった「スタビル アイサーライト」¥3000位なんかお役に立つのでは?
どんな靴にでも簡単に装着と。滑り止め機能の為、浸み込みには効かないかも。

東北の実家訪問時に有効では、と通販カタログでマークしていたものですがまだ買ってません。
既にお使いの方、経験談お願いします。

Posted by 梨木 at 2013年02月22日 02:00 | 返信

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