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街中に見る精子たち

2013年05月02日(木)

尼崎という街は、とても奥が深い町だ。
ハッキリ言って、面白すぎる。
そこに集う人たちに、人間の原型を見ることがある。

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車谷長吉氏が「赤目四十八瀧心中未遂」という
有名な小説を書いている。
映画では寺島しのぶさんが脱いだことで有名だ。

http://www.amazon.co.jp/%E8%B5%A4%E7%9B%AE%E5%9B%9B%E5%8D%81%E5%85%AB%E7%80%A7%E5%BF%83%E4%B8%AD%E6%9C%AA%E9%81%82-%E8%BB%8A%E8%B0%B7-%E9%95%B7%E5%90%89/dp/4167654016/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1367477143&sr=1-1&keywords=%E8%B5%A4%E7%9B%AE%E5%9B%9B%E5%8D%81%E5%85%AB%E7%80%A7%E5%BF%83%E4%B8%AD%E6%9C%AA%E9%81%82#_

その舞台は、阪神出屋敷駅から国道2号線の間だ。
私はちょうどその小説の舞台でクリニックをしている。
高度成長期の尼崎の街、その光と影が描かれている。

上に示した本のURLをウリックしてほしい。
そして「中身拝見」を押すと、最初の10ページまで読める。
10ページ目の最後に「阪神出屋敷駅・・・・」というくだりが出てくる。

背中に龍の刺青を入れた女性の話が登場するが、
私たちは、ほんとうにそのような中で、在宅医療に従事している。
その意味で、車谷さんの本はとても身近に感じる。


私のクリニックの近くに、いわゆるポルノ映画館がある。(まだあるのだ)
ポルノ映画館?
いまの若い人は、そんなモン、知らないだろうな。

その映画館の周りに在宅患者さんが何人かおられる。
その関係で、毎週、その映画館の前を歩くことになる。
歩きながら映画館のポスターに群がる人を観察する。

ヌードポスターは毎週、貼り変わる。
おそらく30年前のものを貼っていても、誰も分からないだろう。
まるでデジャブそのもののポスターの前にはいつも老人がいる。

後期高齢者の男性たちがポスターの前に立ち尽くしている。
少し離れたポスターには別の男性が同じように立ちつくしている。
彼らにはAVでもITでもなく、やはり映画、なんだろう。

このポルノ映画館に群がる高齢男性が、年老いた精子に見えて仕方がない。


私のクリニックの裏には、遊郭がある。
兵庫県が公認とされる遊郭3つのうちひとつがすぐ裏にある。
夜の訪問診療や往診でその前を、よく通る。

昼間は誰も気が付かないその場所は、夜になると怪しく光を放ちはじめる。
大阪の飛田新地の美しさにには遠く及ばないが、充分あでやかである。

いわゆる、やり手おばさんが、若い男性客を案内している。
中では綺麗すぎるお姉さんが「おいで、おいで」をしている。

吸い寄せられるように入っていく若者はあまり見ない。
大半は、どうしようかうろうろしているように見える。

遊郭の前には、20歳代の若者が、集団でどこららか集まってくる。
風俗雑誌やその世界ではきっと有名な場所なんだろう。

彼らは特に物色する様子でもなく、ウロウロしている。
深夜まで、ウロウロとちょっとした賑わいは続く。

それらを遠くから見ると、明かりに吸い寄せられる虫のようだ。
あるいは私には、その若者たちが精子に見えてしょうがない。

老いた精子と違って、若い精子はよく動きまわる。

在宅診療の合間に、人間の本質を感じることができる。
性欲は大切なことだと思う。

精子の向かう先には卵子がいる。
精子の数に比べて極端に少ない。
何十対1という、圧倒的な数の差。


さて、

この世は卵子のために回っている。

ここから、さらにおかしなことを書く。

Y染色体は毎年短くなっている。
何年後には絶滅機種らしい。
私は本当だと思う。

卵子を支えるためだけに、Y染色体が要る。
女王ハチに仕える働きバチの様子は、毎日、
在宅患者さんのおうちで、沢山見ている。

そうそうお腹の中にいる女の赤ちゃんのお腹の中にも
もう卵子があるという。

つまりこの世に生まれてくる以前から、卵子にはすでに次世代の卵子が
内包されている。

なんてことだろう。

一方、精子なんて儚いものだ。
何百万、何億個のうち、たった一つか二つしか役に立たない。

99.9999%は、無駄死に。
はっきり言って、不要なのだ。

それだけの難関を突破したとしても、所詮、使い捨てでしかない精子。
この世のすべては、卵子のためにある。

尼崎の街に、精子と卵子を見ている。
実に、分かり易い、生命の原型がそこにある。


PS)
最後に、SMでもない、SFでもない、
「奇怪」という言葉しか似合わない、トンデモ本を紹介したい。

「家畜人 ヤプー」

沼正三の世界は、すごくエッチでグロテスク。
近未来の女性上位、白人上位の社会を描いている。

http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%B6%E7%95%9C%E4%BA%BA%E3%83%A4%E3%83%97%E3%83%BC%E3%80%88%E7%AC%AC1%E5%B7%BB%E3%80%89-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B2%BC-%E6%AD%A3%E4%B8%89/dp/4877287817/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1367463065&sr=8-1&keywords=%E5%AE%B6%E7%95%9C%E4%BA%BA%E3%83%A4%E3%83%97%E3%83%BC+%E6%B2%BC%E6%AD%A3%E4%B8%89

三島由紀夫が絶賛したという。
GWに倒錯の世界にトリップしてみるのも悪くないかも。

スミマセン。
ちょっとヘビーすぎましたか?

GWに免じてお許しを。

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この記事へのコメント

楽しい観察です。生きているときは楽しいのが一番。ありがとうございます。

Posted by 異端者 at 2013年05月02日 11:02 | 返信

日本は、ILO国際労働機関の常任理事国で、拠出金だけは多く出しているそうですが、条約は締結していないので、批判されているそうです。
特に、男女差別は微妙に実施されていて、住友商事や、驚くほどの大企業の婦人労働者が、賃金差別をILOに訴えて出て、勝利しています。
「家畜人ヤプー」は、私の中学校か、高校時代に売り出した本で、長尾先生はその頃はタネにもなっていらっしゃらなったのでしょう。今頃、何処の古本屋から、引っ張り出されたのか、なつかしいですね。
女性上位の世の中だったら、職場のセクハラや、遊郭なんかある筈がないと思いますけど。
男女平等は、学園の中だけ、公務員の世界だけのユートピアだと、私は思います。

Posted by 大谷佳子 at 2013年05月03日 03:24 | 返信

すみません。
「住友商事」ではなく「住友電工」の間違いでした。
お詫びして、訂正致します。

Posted by 大谷佳子 at 2013年05月04日 04:53 | 返信

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