尊敬する長尾先生。
私は満州生まれの引き揚げ者の息子で大阪で育ちました。
常々、父母から言われてきたことは、「日本では終戦という美しい言葉でごまかしてきた。実際は戦争に負けた。しかも戦後、引き揚げで多くの民間日本人がロシア兵に
レイプ、射殺されてきた。私も生まれたばかりで栄養失調で佐世保に着いたときは
息も絶え絶え。しかもひどいのは関東軍の兵隊が民間人を置き去りに我先に日本に帰って、民間人は満州荒野に置き去りにされた。」
多くの悲劇が生まれた戦争を真正面から捉え、事実を隠さず、きれいごとを言わず、問題解決しようとすれば、彼の発言は理解できます。
彼はアチコチに媚を売る政治家ではなく、問題を正面から捉えて発言するため、当然、多くの方々から批判を浴びることは承知しています。驕りでは無いと思います。

慰安婦問題は、それまでの男尊女卑思想が大前提にあり、男性が兵士として命を賭す戦争という狂気の中で、男性が必要悪として作り出したものだと思います。

戦争中も戦後も、命を繋ぐために慰安婦と同じような生活を送ってきた日本人女性はたくさんいます。身を売ることを免れた女性達も、敗戦時には、ソ連兵や米兵が入ってきたらレイプされるから、その前に舌を噛み切って死ぬのだ、と言って、舌を噛む練習をした、と聞いています。
ですから、私は、橋下氏の「なぜ日本の慰安婦問題だけが世界的に取り上げられるのか。日本は「レイプ国家」だと、国をあげて強制的に慰安婦を拉致し、職業に就かせたと世界は非難している。その点についてはやっぱり、違うところは違うと言わないといけない。」
この点には、私は全く同感してしまうのです。

しかし、「あれだけ銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、そんな猛者集団というか、精神的にも高ぶっている集団は、どこかで休息をさせてあげようと思ったら慰安婦制度は必要なのはこれは誰だってわかる」という内容になると、まるで、戦争で戦うことに価値があるかのように戦争を肯定し、猛者集団すなわち兵士のための慰安婦制度を必要なものとして肯定しています。

さらに、米軍沖縄海兵隊に（民間人へのレイプ行為を抑えるために）「もっと風俗業を活用しろ」という発言に至ると、結局は男性論理、命のやり取りをする職業軍人のために風俗業が必要だと言っているわけで、職業軍人の存在を認め慰安婦（現代では風俗嬢）が必要であると認めているので、やはり多方面から非難を浴びることになると思います。

私がいつも感じることは、日本政府は、口下手で外交下手で他人にアピールすることが下手だということです。日本は、コツコツ頑張っていればそのうちわかってくれるだろうと黙々と韓国に経済支援し続けてきた、しかし、一方、日本から支援を受けながらその事実を国民に明らかにしない韓国は、米国系韓国人を組織して米国人でさえ、慰安婦問題で日本を非難するように世論操作しているのです。
現在問われているのは、日本政府の外交手腕だと思います。
そこへ、勇猛な兵士には慰安婦制度（風俗業）が必要だというような発言をすると、これは、戦争肯定、慰安婦肯定と受け取られ、事態を悪化させるだけです。

私は橋下さんは嫌いではありませんが軽薄なところがあると思います。立場を考えて発言なさるべきです。

彼は生き方の上手な政治家の一人でなのでしょう。彼の後ろには噓が山のようにたまっています。彼がまったく相容れない主張を次々に行いその中で民衆に受けたものに乗ってゆくという才能が有るからだろうと私は思っています。