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幻視や万引きへの対応
2013年05月19日(日)
5月18日の産経新聞兵庫版は、幻視への対応について。
認知症ケアシリーズ第9回目であるが、16回まだ続ける。
以下、産経新聞より転載させていただく。
産経新聞認知症ケア第9回 幻視や万引きへの対応
否定ではなく、受け止める姿勢
「そこに知らない男の人が立っている」とか「壁に綺麗な色の虫が見える」と言われると、介護者はドッキっとします。実際にはそんなものはありません。こうした「幻視」といえば、レビー小体型認知症が有名ですが、アルツハイマー型認知症でも結構、みられます。またアルコール依存症や薬物中毒でも、さらには若い人でも病院の集中治療室に長く居ると、やはり幻視が出てきます。視覚は脳で認識していますから、脳の機能が低下すると幻視が見られやすくなります。監禁されたような状況や寝たきり状態で移動が制限された時、また季節でいうなら日照時間が短い冬、時間帯でいうなら夜に起こり易い現象です。こうした「幻視」に接した時に、介護者はどう対応すればいいのでしょうか?これは認知症の人を在宅で診ていて、ご家族からよく聞かれる質問です。
私は、まず「本人には本当に見えているんですよ」と説明します。ですから「そんなものはありません」とか「気のせいですよ」とかいって否定したところで、なんの解決にもなりませんよ、と。否定や説得は、逆効果です。むしろ幻視の訴えを、素直に受け止めてあげることが大切です。もし人が居るというなら、その人に話しかけてみましょう。もし虫が居るというなら、その虫を団扇や新聞紙で追い払う仕草をしてみましょう。相手の世界に合わせることが大切です。そうすれば本人は納得し、不安も軽減します。
介護施設などでもスタッフによく聞かれます。多くの介護施設は、鍵をかけて認知症の人を閉じ込めているような状態になりがちです。そうした状況に置かれたら、幻視が見えるほうがむしろ当然の反応かと思います。スタッフは幻覚を気持ち悪がり、それを抑える薬を出してくれ、とよく要求されます。しかしそこできつい向精神薬を飲ませるのは、最後の手段であると考えています。
昼夜逆転への対応も同じことです。家でも施設でも、昼寝ばかりしていたら夜に眠くならないのは当然です。夜中に「家に帰る」という人には、「そうですね。でも今日は泊って下さいね」となだめたり、「お茶でも飲みましょうか」と受け止めましょう。責めたり、無理やりに布団に押し込んだり、理屈で説得しても昼夜逆転は改善しません。日中はなるべく活動して眠らせず、少しでも日光を浴びることがなによりも大切。自然に眠たくなるようなリズムを作りましょう。私は「放っておいたらそのうち寝ますよ」と説明しています。
認知症の人の窃盗や万引きなどの、いわゆる「問題行動」への対応も同様です。彼らには、万引きが反社会的行為であるという自覚はまったくありません。ですから一生懸命に叱っても効果はありません。一方、施設では介護スタッフが本人になり代わり、また在宅なら家族が本人になり代わって買い物(?)の代金を支払いに行ってあげましょう。予め、お店に少量のお金を預けておくという方法もあります。
いずれにせよ、幻視も万引きも、本人が悪いわけではありません。脳がそうするのであって、仕方がないのです。むしろその人の心の叫びを受け止める、という姿勢で対応するべきです。
キーワード レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とあわせて、三大認知症とも呼ばれる。生々しい幻視が特徴的である。日によって症状に変動が大きかったり、パーキンソン病と同様な症状がみられ易い。
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この記事へのコメント
その人の身になるのが一番で、それ以外に方法が無いと私は思っています。
Posted by 異端者 at 2013年05月19日 05:44 | 返信
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