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在宅医療と漢方
2013年06月21日(金)
大半は学術講演だが、最後に「地域包括ケアと平穏死」についても言及した。
柏市医師会や行政関係者と深夜まで暑い議論が続いた。
以下、今日の朝日新聞アピタルから転載させていただく。
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在宅医療と漢方
昨夜は千葉県柏市で「在宅医療と漢方」で講演しました。
サブタイトルは、「地域包括ケアから平穏死まで」でした。
このような演題で講演するには、これで4回目です。
珍しい演題名だと思いますが、結構気にいっています。
私は漢方薬が大好きで、毎日、いろんな薬を使っています。
「プライマリ漢方研究会」という勉強会も主宰していました。
超高齢社会を迎え、多剤投薬が問題になっています。
内科に行くと、15種類の薬が出た、とか
3つの科にかかったら、合計20種類のお薬になったとか。
加齢に伴い病気が増える上に、医療が専門分化するので、
多剤投薬は、ある意味、時代の必然かと思います。
私自身は毎日、他院から出ているお薬を減らすことが仕事。
そんな中「漢方という思想」はひとつの解決策になり得ます。
一人の患者を臓器や病気の集合体と考えるか、
一人の人間として大きくとらえるかで大きく変わってきます。
腰痛、頻尿、かすみ目、皮膚掻痒感、手足のしびれと冷え
を訴える90歳の男性が来院されたとしましょう。
西洋医学では、10種類以上の投薬になってしまいます。
しかし漢方では牛車腎気丸という一剤で済む可能性がある。
同様に、高血圧、不眠、抑うつ、イライラ、肩コリ、
結膜充血、胃腸障害を訴える方なら、釣藤散という一剤に。
西洋医学に凝り固まっている方にすれば、
目からウロコかもしれません。
そう、漢方という思想は、多剤投薬の解決策のひとつです。
実は、漢方は在宅医療ととても相性がいいのです。
寝たきりの方のお薬も、漢方薬1剤に集約できます。
胃ろうの管からも、注入可能です。
話は変わりますが、超高齢・多死社会は、病院や施設という
ハコモノだけでは数的に対応できないことが分かっています。
そこで、地域包括ケアという思想が提唱されています。
実は、柏市は、日本の地域包括ケアのひとつのモデルです。
既に有名ですが、医師会、介護、福祉、行政、大学、企業が
まさに産学一体となり街を病院化することに取り組んでいます。
そこでのキーワードは、多職種連携と「まじくる」です。
「まじくる」とは、ごちゃまぜになる、あるいは、交わって
狂う、という意味も含まれています。
白い虚塔に象徴されるヒエラルギーでは、これからの日本は
乗り越えられない、という話をしました。
まさに、釈迦に説法なのですが。
さて、漢方薬は、何種類かの生薬の混合体です。
痩せ薬で有名な防風通聖散は、18種類の混合体。
まさに生薬が、多職種連携して人を元気にするのが漢方。
生薬が、「まじくって」、患者を元気にします。
地域包括変ケアの中に漢方という思想が見えますか?
漢方の中に、地域包括ケアの将来が見えてきますか?
私が言いたかったのは、そのようなことです。
2時間の講演のあとも、医師会や行政の方と1次会、2次会
と地域包括ケアの話題で、大いに盛り上がりました。
ホテルに帰ったら、午前3時前。
今日からは、横浜で開催される日本緩和医療学会です。
明日は、基調講演や座長を依頼されています。
横浜の町を、少しでも楽しみたいと思います。
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