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なんだかなー

2013年07月24日(水)

東京から何人か取材に来られて必ず聞かれる質問は、1日のタイムスケジュール。
24時間365日の人間にとっては、タイムスケジュールなど無いのだが、どのように
説明すればいいのか、いつも迷ってしまう。

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朝一番からケア会議に来るようにという連絡に
従いある在宅患者さんのお宅を訪問。

しかし居るのはケアマネさんだけ。
たった2人だけのケア会議。

介護が無い介護の方に、いろいろお願いしようと思っていたのに、、
相手がいないので諦める。

その後、数人を訪問診療し、あるグループホームを回診。
薬剤師さんや看護師さんが介助してくれるので、10数人いてもすぐに終わる。

診察室に入ると、いつものカルテの山。
おなじみの患者さんに加えて、新患さんや急患さんが混じっている。

風邪や生活習慣病なら早いが、末期がんの相談や
延命治療の相談には、どうしても時間がかかる。

特に、末期がんへの高カロリー輸液や老衰への胃ろうの
是非に関する重い相談には、言葉を選びながら慎重に話合う。

昼休みは院内の様々な会議か、来客対応をこなす。
昼飯は車の中。

午後一番には、まだ若き状態の悪いがん患者さんの往診した。
本人、家族といろんな相談をするが、駐車禁止取り締まりが心配。

その後、状態の悪い高齢者の家を回り、ご家族といろんな相談。
血液検査の結果を丁寧に説明し、治療方針、見通しを話す。

その後、医師会のある委員会に滑り込む。
咋年まで4年間委員長だったが、今年からはヒラ委員になりようやく肩の荷が降りた。

中座して、ある企業の産業医業務に出務のため移動。
まずは人事異動で新しく赴任されたエライさんと名刺交換からだ。

安全衛生委員会、その席での質疑応答、個別相談、職場巡視など。
これを、2社、続けてやる。 産業保健のプロなので、現場が大切だ。

やっと自由な身になり、数件の訪問診療や往診を回るが、
ここで溜まり溜まった留守番電話を聞くといろんあな要件がある。

パソコンメールはまだ見れないが、
「まだ見ていないのか」という電話がかかるが、産業医業務中のため出れない。

そこに親しい知人のモデルさんの訃報が入った。
闘病先にちょうど電話をしようとした矢先の訃報。

ショックを受けながら、何も無かったかのように復職面談やメンタル面談をこなす。
心の中で、「生きているだけでいいじゃん」なんて呟いている。

夕方の最後は、また別のグループホームの訪問診療。
介護者は、取るに足りない小さなことばかり聞いてくる。

・微熱がある
・腰や膝が痛い
・背中が曲がっている
・機嫌が悪い
・体が痒い・・・

「全部、俺もそうなんだけどね」なんて嫌味を毎週言っているので
介護職も、それ以上はだんだん言わなくなった。

介護職は、医療者への報告が仕事になっている。
介護が仕事なんだけど、どこから話せばいいのか。

夕焼けっぽくなる中、大急ぎで夕方の診察に戻る。
夕方の外来は夕方で、いろんな患者さんが来られる。

終了間際には、精神疾患の方が集中する。
いきなり禁煙治療したいとか、朝から血便が出ているなんて言われてビックリする。

今日も自分の部屋には一度も入れていない。
携帯電話で事務長と、日々のトラブル処理、労務管理に指示を出す。

理事長兼院長なので、毎日、沢山の相談事や決済案件が舞い込む。
たくさんの人間が集まると、必ず沢山のトラブルが生まれ、必ず巻き込まれる。

医者としての仕事が3割で、管理者としての仕事が7割。
ストレスの度合いを加えると、クレーム処理が私の仕事の9割を占める。

沢山の人を雇用するということは、他人の沢山の欲望のトラブルに
巻き込まれるということ。仕方が無い。

訪問看護師と打ち合わせを終え、夜の往診、訪問診療に飛び出す。
患者さんと話している時間が、一日のなかで一番、心が休まる。

夜は、介護者が夜しかいない家や、死にかけの人や
昼間に回りきれない遠方の方を伺うことにしている。

途中で、またクレーム電話が鳴る。
今夜遅く初回訪問することになった末期がんの方の家族からだ。

今から訪問しようとしたら、「本人とは、話をしないで」と言われる。
本人と話をしないで、初めての診察をどうやってするのだろうか?

私が余計なことを言って本人が落ち込むのが心配だからそう命じるそうだ。
そんなに心配なら、私に訪問の依頼などしなければいいのに。

まだ一度も診たことがない患者さんなので丁重に訪問を断った。
すると、今度は「人殺し!」と言われた。

患者さんに一度も会ったこともないのに、「人殺し」と言われたのは二回目。
会ったことも無いのに、なぜこんな言葉を吐くのだろうか。

家族は、苛立ちを在宅医にぶつけることがよくある。
病院の医師に言えばいいのに、関係の無い町医者に八つ当たりをする。

親を思う気持ちが、から回りしているようだ。
こんな人にこそ、私の親孝行の本を読んで欲しいのだが、そんなことも言えない。

でも最後の患者さんは、私の一番好きな女性。
といっても、100歳に近い独居の方。

歳は倍ほど違うが、心が通じ合っている。
遠くの家族の悪口を、私にはこぼす。

「先生の誕生日は、30日でしたね」と、驚くようなことを言われる。何故知っているのか。
「昨夜は主人ではなく、先生の夢を見ました」なんて話すので、ドキっとするじゃないか。

1日中、人間の欲望のアカにまみれていたが、この在宅患者さんが忘れさせてくれる。
家に帰って飯を食べていると、日付けが変わる。

今日は酒を飲めるかな?
患者さんの具合でワインを飲むかどうかを決めるが、節酒になっていい。

さあこれから、雪だるまのように溜まった原稿と格闘する。
眠くなれば寝る。

どうせ寝ても、すぐに起される。
今朝も6時に起された。

死ねば、ゆっくり眠れるからそれでいい。
今夜はせめて、若くして旅立った知人の顔を思い出しながら、寝よう。

でも、こんな「タイムスケジュール」って、なんだかなー。

こんなアホな説明をするのは時間がかかるので、いつも適当なことを言っている。


講演をしたり本を書いているので
「ちゃんと仕事をしろよ」なんて、病院の先生によく言われる。

またまったく知らない人からも言われる。
「少しは診療をしなさい」と。

当院を知っている人でそんなことを言う人は一人もいない。
90歳を超えた人からもみなさん「おだいじに」と言われる。

看護師はいつも笑っている。
それくらい死にそうに見えるのだろう。

知らない人はみんな想像で、遊びまくっていると思うらしい。
しかし、24時間365日ずっと働いている。

夜は看護婦にもなる。
労働時間だけは、世界一だと自負している。

それが私の唯一の取り得だと思う。
神様はなかなか過労死させてくれない。

自分より若くして旅立っていく人を見ていると、そう思う。




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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

長尾先生の健康を心配いたします。
まだお会いできていない患者さんのご家族から
「人殺し」の一言は、心臓に悪いですね。
色々と家庭内に問題があり、つい他者を誹謗する
言葉がでるのは昨今の風潮ですね。
IT技術の進展の副作用として
「すぐに」「できるだけ早く」「検索すればすぐに出てくる」などと
いつも相手の責め立てる空気が蔓延しています。
或る種の精神疾患のような人間を作り出しているIT。
先生が「待てない」とおっしゃる意味がよくわかります。

Posted by 匿名 at 2013年07月24日 09:39 | 返信

よくは、分かりません、一つには、システムの問題もあるのでは、と思いました。
院長と、理事長を兼務していらっしゃるとの事ですが、医療と経済問題、人事問題に興味を持てる、長尾先生を補佐してくれる方が居れば、理事長をお願いできますのにとおもいました。
ところで、長尾先生が梅ちゃん先生とお呼びになっていた、梅村医師は、長尾クリニックの理事長をお願いできないですかね。梅村先生はもう、就職先はお決まりなんですか。
未だだったら、何かお仕事をお願いしてみたらいけませんでしょうか。
長尾クリニックの理事長の求人がある。梅村先生の求職があるからと言って、二つを一つにはできないでしょうけど。
私も、無い頭を絞って考えました。

Posted by 大谷佳子 at 2013年07月25日 02:19 | 返信

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