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「医療否定をするドクターの責任」
2013年08月20日(火)
これは私の言葉ではない。
ステージⅣの胃がんで療養中のある患者さんの、今日のブログのタイトルだ。
その方と初夏にはじめてお会いした。
若く明るく聡明な方だった。
私の著書「平穏死・10の条件」を読んで頂いたご縁だ。
私は、こんな素敵で知的な患者さんと逢えるなんて思いもしなかった。
これが彼女のブログ、「ミタクエ・オヤシン」だ。
http://ameblo.jp/sonwai/day-20130819.html
私のブログと違い、暖かく、理知的。
さて、彼女が今日書いた、「医療否定をするドクターの責任」
という言葉を、いま噛みしめている。
新聞や雑誌、そして書店に行くと、医療否定本が溢れかえっている。
「医者にかからないほうがいい」という本ばかり。
この路線で書くと、本が売れるので続々と出ている。
しかしこれらの本で患者さんは幸せになるのだろうか?
・重大な病気なのに、なかなか医者に行かない人が増える
・早期治療なら助かったのに、手遅れになってしまう患者さんが増える
・医者を信用しない人が増え、医療訴訟が増える。医療は防戦的になる。
これでは患者さんも医者もいいことは何もない。
両者は相反するものではなく、協働するものだ。
一方、医療を否定しておきながら、自分自身は医療側に身を置き続けている有名先生。
医療で飯を食いながら、医療を否定している自分をオカシイと思わないのかな?
内部告発(?)でお金儲けをしたうえに、本を買ってくれた方から自費診療でさらに儲ける。
本気で医療否定をするのなら自分が医者を辞めないと筋が通らないではないと思うのだが。
はっきり言おう。
「医療否定」を煽る医者は、新興宗教よりタチが悪い。
新興宗教やアコギな健康食品は命までは奪わない。
しかし有名先生は、人の命をなんとも思っていない。
一見のがん患者さんに「治療はすべて無意味」で一喝。
それだけで、普通の人は、ハアーとなるのだろう。
現在の患者医師関係を、平気で分断して、
「早めにホスピスへ行っておけ」でハイ終わり。
たったそれだけで、3万円也。
これじゃ、単なる悪質な詐欺じゃなのか。
書籍で恫喝し、集まった患者さんから高いお金を巻き上げ、他人の命を左右する。
誇大妄想教?
ちょっと理解できない。
しかも、そのあとは一切知らない。
「ホスピスに行け」で終わりだから、自分は責任を負わない。
同じ医師として、信じられない!
怒っている患者さんがたくさんいる。
このブログを読んで頂いている一般市民の皆様。
そんな「医療否定本」は、話半分にしておいたほうがいいと思う。
なぜなら、どこまでいっても「何をしても全部、為意味」という内容しかないからだ。
まるで金太郎飴のような本を、わざわざお金を出して買っても、信じたら後悔する。
たしかに、現代医療は欠点も多いし、反省すべき点が多々ある。
医者にも悪い奴はいるし、至らない医者も多いだろう。
しかし間違いなく言えることは、医療にも、いいところも一杯あるのだ。
功罪相半ばではないが、いいところまで失っては、損をするのは患者さん自身なのだ。
麻原しょうこうのような有名先生の話は、笑って適当に聞き流しておけばいいと思う。
やるべきは、医療否定ではなく親身になって世話を焼いてくれる近所のいい医者を探すこと。
というわけで、今日20日に、また本が出る。
「医療否定本に殺されないための48の真実」(扶桑社)
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%90%A6%E5%AE%9A%E6%9C%AC%E3%80%8D%E3%81%AB%E6%AE%BA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE48%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E9%95%B7%E5%B0%BE-%E5%92%8C%E5%AE%8F/dp/4594068685/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1375199715&sr=1-3
帯には、「がん放置療法で後悔する前に必ず読んでください」とある。
高齢者や全身状態によっては、がんを放置することはいくらでもある。
しかし正確には、放置しているのではなく、監視しているのだが。
いくら現代医療でも、そのあたりの区別は現場で一生懸命やっている。
そんな当たり前のことを知らないように書かれているのがオカシイ。
そもそも、元気で将来がある人の命を助けるのが医療じゃないか。
また、高齢者の老化や進行したがんに「付き合う」という医療もある。
それらのチャンスまで奪っていく有名先生の罪は重い。
医学会が沈黙しているので、町医者の私が声を上げた。
信者さんからは、データが無いので馬鹿にされるだろう。
信者さんは洗脳された被害者なので、私からはなんとも申し上げれない。
それにしても有名先生をここまで思い切り増長させた、マスコミ各社の責任は重いと思う。
自分たちが持ちあげた陰でどれだけ多くの患者さんが泣いているのか知っているのかな。
この際、医療界も思いっきり反省し、修正するのはいいことだ。
しかしすでにこうした医療否定本の犠牲者が出ている事実に、どう対応すればいいのか。。
本当は、これはがんセンターや大学病院のエライ先生の仕事のはず。
患者さんから見れば全く反論しない医学会は、かの有名先生を容認したとみなされている。
何年かすれば、かの有名先生は、麻原某と同じレベルの評価しかされないように思う。
患者さんのためではなく、自分の欲望を満たすためだけにやっているとしか思えない。
医療否定本が乱発される中、唯一、医療肯定本を、恐れず世に問いたい。
有名先生の信者(?)さんも含めて、多くのみなさまのご批判を賜りたい。
私は、医療には、
・攻めの医療と、
・守りの医療、があると思う。
攻めるときは、不確実性を理解して、ともに進む。
しかし守るべき時は、緩和医療という武器を持って、しっかり見守る。
それが医療じゃないかな。
だから、「医療のいいとこ取りプロジェクト」とのコピーも使われている。
彼女のブログに戻ろう。
彼女のブログを読めば、医療否定からは何も生まれないことがハッキリ分かるはず。
有名先生に騙されたら損をすることが、容易に理解できよう。
彼女の言葉の中にこそ、貴い真実がいっぱい詰まっている。
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この記事へのコメント
有名先生の書物を何冊か読みました。それなりに説得性があると思いました。そして、何よりも反論がないことが、それに輪をかけています。
私どもが主催した先日の公開講座で、有名先生の主張についての信頼性を、講師の医師に質問をしました。答は、「何年も前に反論がかなりあったが、いくら言っても、資料の使い方なども含めて、主張が変わらないから、批判が出なくなっている。」とのことでした。なお、講座の中で、「がんもどき」という表現をスライドでも使っておられました。
患者の正しい認識のためにも、反論すべきところがあれば、皆さんが声をあげてほしい・・・その意味でも今回の書物は楽しみです。
でも、ベースには、やはり、「医療への不信感」が強いのではないでしょうか。検査の仕方、治療の仕方、医師と患者とのコミュニケーション、などから始まって、終末期に対する対応まで、市民の目線を踏まえて、医療界が考えていただきたいことが沢山あるように思います。
そして、市民はもっと、自分の命の事を勉強しなければなりません。いい加減に、「死の外注」は止めなければ。
誤解を恐れずに言えば、更には、医療費全体のことにも繋がっていくのでは。 以上
Posted by 小澤 和夫 at 2013年08月20日 11:44 | 返信
今朝、「医療否定本に、殺されない48の真実」が届きました。
癌幹細胞をどう消滅させるかが、これからの課題なんですね。
以前、朝日新聞の、大腸がんの薬か、潰瘍性大腸炎の薬かが、癌幹細胞の効くとか、書いてあった様に思うのですが、新聞の切り抜きを何処かにやってしましました。
近藤誠先生の本も「癌幹細胞が抗がん剤で、死なないので、放置した方が良」言う趣旨だったように思います。
癌幹細胞が撲滅できたら良いですね。
未だ全部読んで無いので、今から読みます。
Posted by 大谷佳子 at 2013年08月22日 02:17 | 返信
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