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午前2時48分
2013年09月02日(月)
町医者をしていると、何ケ月に1回程度、夜中に走ることがある。
若いころはなんでもなかったが、歳とともにちょっとこたえてくる。
それでも目をこすりながら、在宅患者さんの家に向かった。
午前2時48分
2時30分 から下顎呼吸になり
2時45分に呼吸が停止した、 と家族から電話連絡があった
車に乗り込んで時計を見ると、午前2時48分だった
大昔、ピーターという人が歌っていた歌
「夜と朝の間に1人のわたし・・・」が何故か口から出てくる
午前3時は、深夜放送が早朝放送に入れ替わる時間帯
新聞配達人はもう集まって体操をしている
マンションの前には掃除人がすでに朝の準備をしている
なんともいえない不思議な時間帯
今日2人目の看取りになる
行いがいいのか悪いのか、いや、いいんだ。
私を主治医と分かっていない親戚がエレベーターに
一緒に飛び乗り、われ先にと降りて家に入っていく
血縁でなくてもこれほど慌てている
いい家族じゃないか
家に入ると、
果たして、まだ生きている!・・・
つぶらな瞳で私を見つめる
奥さんは、「ちょっと持ち直しました」と照れている
持ってきた死亡診断書を隠しながら、診察をする
お腹は固い
ここまで来るのにいろんなことがあった
現代医療を尽くしたがなんともならなかった
会話は可能だが、恨めしそうに私の顔を見つめる
微かな笑顔が救い
でもまさか自分が数時間後に死ぬとは1%も思ってもいない
まだまだ生きたい
エレベーターの前で、小さな声で家族に今後の説明
これからの麻薬の使い方を解説
でも看護師が先に詳しくやってくれていた
奥さんは、「眠らせてあげて」と懇願
家族もわたしも気持は同じ
睡眠薬で寝てもらおうね
マンションの1階はコンビニ
なぜか午前4時にアイスクリームを食べている
帰りのBGMは、エグザイルとユーミン
空が白んで来る
行きも焦るが、帰りもどこか焦る
どうせ半日後には、ここにまた来る
その時は、本当に穏やかなんだろう
在宅の24時間契約とは、
セコムのようなもの
24時間365日勤務を20年間も続けてきたが
千日回峰行
一万日牢屋
10年後には誰かが走ってくれるかもしてない
という甘い幻想を抱きながらわずかな眠りにつく
1時間もしないうちに、やはり起こされる
55歳のオッサンは、かなりとまどう
60歳でも多分まだやっているだろう
65歳は疑問だ
ひとつ年上の知人が、先日、急逝
ストレスが原因とのこと
午前2時48分
永遠にある夜と朝の間
医師と人間の間
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この記事へのコメント
長尾先生の、最近のブログは、なんか、ユーモアと言うか、笑いが少ないですね。
お疲れなのかな。
他人様のことは言えませんけど。
Posted by 大谷佳子 at 2013年09月02日 11:30 | 返信
長尾先生、フルタイム、全力投球お疲れ様です。
今回の記事は、詩人のようですね。深夜3時前の情景、長尾先生がリアルに目に浮かびました。
Posted by しん at 2013年09月03日 10:35 | 返信
お疲れさまでした。どうかお体をこわす前に、代診もできる体制を整えていかれることを切に願います。
ひとりで在宅介護をされているご家族のように心配です。
Posted by 老険看護師K at 2013年09月08日 06:56 | 返信
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