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否定本の信者さんは読まないでください
2013年09月05日(木)
医療否定本の信者さんは絶対に私の近著を読まないでほしい。
エビデンスがゼロ、データもゼロ、経験だけの本に怒りが止まらなくなるかも。
お金と時間の無駄だし、何の役にも立たず、残るのは怒りと失望の嵐かもしれないから。
エビデンスがゼロ、データもゼロ、経験だけの本に怒りが止まらなくなるかも。
お金と時間の無駄だし、何の役にも立たず、残るのは怒りと失望の嵐かもしれないから。
先日出たばかりの拙書、「医療否定本に殺されないための48の真実」は
4刷りに入った、との連絡をいただいた。3万部。
拙本を読んで今までの疑問が解消したとか、感動したというお便りをいただいた。
「やっぱり長尾先生だ」なんて言ってもらえると、この本を書いてよかった、と思う。
しかしネット上では、強く批判する人が少しだが、おられるようだ。
同じ人じゃないかという意見も頂いたが、少なくとも2人はおられるようだ。
熱心な信者さんが、アマゾンに書きこんでいる。
そういえば「平穏死・10の条件」の時も、実にいろんなことを言われた。
このような人は否定本の信者さんなので、申しわけないことをしたと思う。
絶大なる読者を持つ医療否定本にたてつく本を書けば、袋叩きにあうのは当然だろう。
エビデンスが豊富な否定本に、エビデンス・ゼロで反論するだけでも世間は許さない。
アメリカ軍に竹槍で向かうようなことをしている。
まさに常軌を逸したアマチュア相撲であり、詐欺だ、金返せ、となるのは当然の理か。
以上は、あくまでネット上での話。
リアル世界の反応は、全然違うようだ。
極めて良好な感想ばかりだ。
だいたい、予想通りの展開。
信者さんによるネット上の猛烈な批難は、きわめて自然な反応だと思う。
それだけ信仰心が厚いということか。
エビデンスの意味を知らない人が、エビデンスを論じて、それで断ずる時代。
アカデミアの世界と一般書籍の世界の区別もつかない人が、意見して頂く。
まあ、言論の自由、信仰の自由の国なのだから、それでいい。
健全と言える。
私は否定本の陰で泣いている人や、迷っている人を励ますために、本を書いた。
本当は本まで書かなくてもいいのだろうが、あまりにも困っている患者さんが沢山
おられるので、その人たちに読んでもらうため、元気つけるために敢えて書いた。
あるいは、否定本のおかげで説明やインフォームドコンセントに時間と労力が
かかっている、がん医療の現場の医療者を少しでも助けたいと思いながら書いた。
こんな内容の本は、そのうちに権威ある専門家が書くだろう、と思ってきた。
しかし信者さんから袋叩きにうのは確実なので、誰もやらないような気がしてきた。
だからがんセンターのお医者さんよりずっと暇にしている一町医者の私が書いた。
ただそれだけ。
本当に困っている人、たとえ100人だけでも読んでもらい、役にたてばそれで充分。
実際、放置するかどうかで迷っていたという人は、とっても喜んでくれた。
やっぱりがん検診を受けまーす、という手紙も頂いた。
手術して正解でした!とわざわざ言いに来たひともいた。
この本を出版して本当によかった!
この本を書くにあたって、私には、なんのしがらみもなかった。
どこかの組織や団体の利益のために書いたわけではない。
今まで頂いたすべての本の印税は全額、福島県相馬市の震災孤児に寄付している。
ちゃんと本業があるので、執筆から利益を得ることはないようにしている。
本を買って読んでセカンドオピニオンに来られた方から何万円も取るようなすることはない。
昨日も1時間以上話して、患者負担は270円。
安い!!
私の本を読んで感動して相談に来られたのだから当たり前なのだが。
まあ、実力も教養もたいしたことないので当然だ。
所詮、万年3軍選手といわれる一介の町医者。
しかもこれらの本の内容はすべて患者さんから教わったことばかり。
がんにしても平穏死にしても、全部患者さんと家族が教えてくれた。
何回ももがんの手術で見事生還した人、
抗がん剤でがんが7年間ほぼ消えた人、
がん検診で命が助かった人たちが、身をもって私に教えてくれたのだ。
たからこれを書くのは医師の使命、だと思いながら書いた。
患者さんにご恩返しをするのは当然。
でも、舌足らずだな、アホだな、とも思う。
印税は、いつかエロ小説を書いたときの楽しみに取ってある。
その時こそ、大宴会をしてみたい。
だから、がんの花道も、家族が選んだ平穏死も、医療否定本に殺されない、も
出版記念パーテイは無い。
そんなに売れなくても、いい。
伝えたい人に伝われば、それが一番嬉しい。
それが素人本の楽しみ。
とにかく、否定本の信者さんたちは、私の本は絶対に買わないでほしい。
このブログをお読みのみなさんは、この辺を知ってから、この本に接してください。
信者さん以外には、9月18日に出る「抗がん剤・10のやめどき」も是非読んでほしい。
http://www.amazon.co.jp/%E6%8A%97%E3%81%8C%E3%82%93%E5%89%A4-10%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%82%84%E3%82%81%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D-%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%80%81%E5%BB%B6%E5%91%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B-%E7%B8%AE%E5%91%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B-%E9%95%B7%E5%B0%BE/dp/4893088076/ref=zg_bs_2448223051_6
がんの花道と併せて3冊とも読んでいただいてから、私のがんシリーズの評価を頂けたら嬉しい。
PS)
悪意に満ちた無断転載があるので今後、このブログの転載、引用を固くお断りします。
ブログとは、見てもいいよ、という日記。
転載、悪意利用はどうかしないでください。
オジンが患者さんや友人たちに読んでもらうために短い時間で書いている。
誤字脱字が多いと、これまた怒る人もおられるがその辺はどうかご容赦を。
町医者の戯言を聞きたい人に向けたブログ。
気軽に読み流してもらえれば嬉しい。
まあ、世の中、相当ひねくれたひとがいるものだと、
とても勉強をさせていただいている途中。
当然、そういうひとは 全部、匿名。
複数のハンドルネームを使っているようだ。
匿名社会は、怖い。
だけど実際は、案外、いい人だったりして・・・
4刷りに入った、との連絡をいただいた。3万部。
拙本を読んで今までの疑問が解消したとか、感動したというお便りをいただいた。
「やっぱり長尾先生だ」なんて言ってもらえると、この本を書いてよかった、と思う。
しかしネット上では、強く批判する人が少しだが、おられるようだ。
同じ人じゃないかという意見も頂いたが、少なくとも2人はおられるようだ。
熱心な信者さんが、アマゾンに書きこんでいる。
そういえば「平穏死・10の条件」の時も、実にいろんなことを言われた。
このような人は否定本の信者さんなので、申しわけないことをしたと思う。
絶大なる読者を持つ医療否定本にたてつく本を書けば、袋叩きにあうのは当然だろう。
エビデンスが豊富な否定本に、エビデンス・ゼロで反論するだけでも世間は許さない。
アメリカ軍に竹槍で向かうようなことをしている。
まさに常軌を逸したアマチュア相撲であり、詐欺だ、金返せ、となるのは当然の理か。
以上は、あくまでネット上での話。
リアル世界の反応は、全然違うようだ。
極めて良好な感想ばかりだ。
だいたい、予想通りの展開。
信者さんによるネット上の猛烈な批難は、きわめて自然な反応だと思う。
それだけ信仰心が厚いということか。
エビデンスの意味を知らない人が、エビデンスを論じて、それで断ずる時代。
アカデミアの世界と一般書籍の世界の区別もつかない人が、意見して頂く。
まあ、言論の自由、信仰の自由の国なのだから、それでいい。
健全と言える。
私は否定本の陰で泣いている人や、迷っている人を励ますために、本を書いた。
本当は本まで書かなくてもいいのだろうが、あまりにも困っている患者さんが沢山
おられるので、その人たちに読んでもらうため、元気つけるために敢えて書いた。
あるいは、否定本のおかげで説明やインフォームドコンセントに時間と労力が
かかっている、がん医療の現場の医療者を少しでも助けたいと思いながら書いた。
こんな内容の本は、そのうちに権威ある専門家が書くだろう、と思ってきた。
しかし信者さんから袋叩きにうのは確実なので、誰もやらないような気がしてきた。
だからがんセンターのお医者さんよりずっと暇にしている一町医者の私が書いた。
ただそれだけ。
本当に困っている人、たとえ100人だけでも読んでもらい、役にたてばそれで充分。
実際、放置するかどうかで迷っていたという人は、とっても喜んでくれた。
やっぱりがん検診を受けまーす、という手紙も頂いた。
手術して正解でした!とわざわざ言いに来たひともいた。
この本を出版して本当によかった!
この本を書くにあたって、私には、なんのしがらみもなかった。
どこかの組織や団体の利益のために書いたわけではない。
今まで頂いたすべての本の印税は全額、福島県相馬市の震災孤児に寄付している。
ちゃんと本業があるので、執筆から利益を得ることはないようにしている。
本を買って読んでセカンドオピニオンに来られた方から何万円も取るようなすることはない。
昨日も1時間以上話して、患者負担は270円。
安い!!
私の本を読んで感動して相談に来られたのだから当たり前なのだが。
まあ、実力も教養もたいしたことないので当然だ。
所詮、万年3軍選手といわれる一介の町医者。
しかもこれらの本の内容はすべて患者さんから教わったことばかり。
がんにしても平穏死にしても、全部患者さんと家族が教えてくれた。
何回ももがんの手術で見事生還した人、
抗がん剤でがんが7年間ほぼ消えた人、
がん検診で命が助かった人たちが、身をもって私に教えてくれたのだ。
たからこれを書くのは医師の使命、だと思いながら書いた。
患者さんにご恩返しをするのは当然。
でも、舌足らずだな、アホだな、とも思う。
印税は、いつかエロ小説を書いたときの楽しみに取ってある。
その時こそ、大宴会をしてみたい。
だから、がんの花道も、家族が選んだ平穏死も、医療否定本に殺されない、も
出版記念パーテイは無い。
そんなに売れなくても、いい。
伝えたい人に伝われば、それが一番嬉しい。
それが素人本の楽しみ。
とにかく、否定本の信者さんたちは、私の本は絶対に買わないでほしい。
このブログをお読みのみなさんは、この辺を知ってから、この本に接してください。
信者さん以外には、9月18日に出る「抗がん剤・10のやめどき」も是非読んでほしい。
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がんの花道と併せて3冊とも読んでいただいてから、私のがんシリーズの評価を頂けたら嬉しい。
PS)
悪意に満ちた無断転載があるので今後、このブログの転載、引用を固くお断りします。
ブログとは、見てもいいよ、という日記。
転載、悪意利用はどうかしないでください。
オジンが患者さんや友人たちに読んでもらうために短い時間で書いている。
誤字脱字が多いと、これまた怒る人もおられるがその辺はどうかご容赦を。
町医者の戯言を聞きたい人に向けたブログ。
気軽に読み流してもらえれば嬉しい。
まあ、世の中、相当ひねくれたひとがいるものだと、
とても勉強をさせていただいている途中。
当然、そういうひとは 全部、匿名。
複数のハンドルネームを使っているようだ。
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だけど実際は、案外、いい人だったりして・・・
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この記事へのコメント
私は、医者じゃないので、どのお医者さんが、正しいのか分かりません。
長尾先生も、実力があるから、批判が出るのじゃないですか?
なんだか、ラグビーの早慶戦みたいに、東京医科大と、慶応大の合戦みたい。
妬みや、ちょっとした悪意とか、日常的にある兄弟も、いるんじゃないですか?
いつも姉のボーイフレンドに、憧れる妹とか、兄の婚約者を取ってしまう弟とか。
自分に、力があるから、僻んで悪口を言ってると思って、泰然自若としてればいいと思います。
長尾先生と、近藤先生の対談って望めないのですかね?
近藤先生を、同じ匿名の批判者が攻撃してるかも知れません。
私は「長尾先生のストーカーだ」なんて言われたし、どっちの味方にもなれません。
Posted by 大谷佳子」 at 2013年09月05日 03:18 | 返信
今日もお疲れ様です。
批判ですか・・・・・仕方にですね。てっ、いうか当たり前なんでしょうねぇ~。
看護師になって30年近く・・・・・
病院での死ぬが当たり前と思っていた。
検査・手術・治療件数や病床稼働率を上げること、在院日数を下げることなど数字と働いていました。
勤務している病院宛の母の診療情報提供書とCD-ROMを私はまだ持ち続けている。
どうしても受診できなかった。
エビデンスはない、ただ長年の勘で入院後の経過が想像できた。
日々、退院支援、調整を行うなか在宅死の選択は一度もなかった。勧めなかった。知らなかった。
なのに、母の件では、いろいろ考えて学び、在宅緩和ケアで在宅死を選んだ。
その介護関係で休む日が多くなった。
当直を免除してほしいと言ってしまった。
“私情を職場に持ち込まないで”と言われ、却下された。
その通りですよね。
私のように入院させず、在宅緩和ケアをするため、仕事に支障をきたすものが、たくさんいれば迷惑ですよね。甘い考えでした。仕方ないですね。
今日は引き継ぐためにいろんな整理をしていました。
いつかは‘辞める’時が来るとは思っていましたが、母がきっかけとは思っていませんでした。
でも、今ならまだ母と出かけることも、食事をすることも話もたくさん出来ます。
その機会を与えてくれたと、長ーい休みを頂いたと、ゆっくりしなさいと言われていると感謝しています。
これから何して楽しもうかと思案中です。
職場にはたくさんの迷惑をかけときながら、ちょっと不謹慎ですが・・・・・わくわくしてます。
Posted by らら at 2013年09月06日 01:24 | 返信
悪意には満ちていませんが。
私は、自分のことを「近藤教」だと思っていましたが、近藤先生が「医療が宗教になっている」と書かれていたので、笑いました。私は、いいと思うものの欠点も探しながら、信じています。改宗の可能性だってあります。
知人が乳がんになり、親戚の医師のアドバイスを受けながら、全摘していました。リンパにも転移していないのに全摘したから、助かったと思っている。
でも、親身のアドバイスに違いないので、その医師は多分、友達の専門の医師にも意見を求めて、全摘を知人に勧めたのだと思う。本当に、善良な意見だ。
しかし、近藤先生のところに、知人がいけば、部分切除で、命も助かったと思う。温泉に入れないという知人が、とてもかわいそうです。
長尾先生、近藤先生と対談してください。
ぜひ、近藤先生に、「在宅医、ここにあり」と存在を示してきてください。
また、ホスピスは順番待ちですがら、早めに申し込んでおかないと入れません。近藤先生は、元気な患者さんに「ホスピスの手続きを勧める」のは、しのびないが、と、本に書かれています。
Posted by きらきら星 at 2013年09月07日 03:41 | 返信
明日、9月8日(日)Eテレ(前のNHK教育TV)で、たしか夜の11時頃に、サイエンスなんとかって番組で「癌幹細胞」について、特集があるそうです。
Posted by 大谷佳子 at 2013年09月08日 02:07 | 返信
何か、良く分かりませんでしたが、「癌幹細胞」とか、スルファ.サラジンとか、ヘルペスウイルスから蛋白質を取って作った薬のG47デルタが、悪性腫瘍に効くとか、日本の医学、特に、癌研究の素晴らしさには、頭が下がりますが、これまで、抗がん剤や手術や放射線治療を黙々と受けて下さった、多くの患者さん達、そしてモルモットや動物達にも、本当に感謝の思いでいっぱいです。
近藤誠先生の様に、身内のお姉さまが、乳がんに罹患したなら「もう、癌と戦うな」と言いたくなります。
漢方薬にしても、様々な医療全般は、過去の人苦悩と犠牲のお蔭で、私達現代人がその恩恵に浴しているのだなあと思います。
全ての人類の文化、文明は皆ご先祖様のお蔭で発達したのだなあと思いました。
私も、そんな長い歴史の、鎖や石の一つなんでしょう。
勿論、長尾先生や、多くの臨床や研究に携わるお医者さん達のお蔭なんですけど。
多謝、多謝!
Posted by 大谷佳子 at 2013年09月16日 02:54 | 返信
10月1日(火)の日経新聞の17面に「癌の親玉たたく新薬.慶大が確認、再発.転移防ぐ」と言う記事を載せていました。
慶応義塾大学の佐竹秀行教授と永野修講師らは、癌を生む親玉とされる「癌幹細胞」をたたく新薬候補の作用を胃がん患者の臨床研修で確かめた。大腸炎の治療に使う薬の成分を癌にも応用したところ、数人の患者で癌幹細胞が減ったという。抗がん剤や放射線療法が効かず、再発や転移の元凶といわれてきたが、攻略の糸口をようやくつかんだ。数年内にもがんの根治につながる薬の実用化を目指す。
○ 数年内に実用化目指すーーー
乳がんやすい臓がん、舌癌などでも効く可能性があるという。別の病気で既に使っている薬の成分であり、人体への安全性を確かめやすいのも利点だ。詳細な内容を3日から開く日本癌学会で発表する。
がんは、抗がん剤や放射線を使っても、なかなか無くならない。癌組織の中で、癌細胞を生みだすもととなる癌幹細胞が耐え忍び、再発や転移を引き起こすためと考えられている。最近、がん幹細胞の弱点が少しずつ分かり、がんを元から絶つ治療研究に注目が集まっている。
慶応大などは胃がん患者10人を対象に、がん幹細胞の効く薬の臨床研究を4月に始めた。国立がん研究センター東病院など4施設で、安全に飲める薬の量を調べる。投薬を終えた数人の患者の胃の組織では、がん幹細胞が減っていたという。
研究に使うのは「スルファサラジン」という成分。研究チームは、この薬ががん幹細胞の表面たんぱく質「CD44v」にくっつき、がん幹細胞の防御能力を弱めて死に導くことを培養細胞や動物を使った実験で解明した。がん幹細胞は細胞内で抗酸化物質を大量に作り、様々な攻撃に抵抗する。スルファサラジンは抗酸化物質の原料を取り込む働きを邪魔するという。
データーが月内に出そろい次第、従来の抗がん剤と組み合わせる治療研究に映る考えだ。
近畿大学の清水俊男講師らは、アスベスト(石綿)で発症する中皮腫などのがん幹細胞の増殖を防ぐ薬の治験を、9月から同大学医学部付属病院で始めた。米企業が開発中の薬で、既に3人の患者に投与したが副作用は出ていないという。
半年で投与量を増やしながら、10~20人の患者で安全性を調べる。その後治療効果を確かめて、最短3年で実用化を目指す。欧米などで2~3年前から地検が進む。日本人でも同等の結果が得られるかが焦点だ。
がん研究会の清宮啓之部長は米オハイオ州立大などと共同で、手術が難しい脳腫瘍のがん幹細胞に効く化学物質を発見した。DNAに作用して、がん幹細胞の分裂を抑える。がん幹細胞を脳に植えたマウスに注射すると、病気の進行を抑制した。3年以内に創薬を目指した動物実験に入る。
○ 幹細胞攻略世界が照準ーーー
がんを取り除く手術が成功しても、多くの患者は転移や再発の心配が残る。厚生労働省が今後10年間に取り込むがん研究戦略でも、転移や再発の解明を柱の一つに挙げた。メカニズムを探り、有効な治療法を確立する狙いだ。
がんの克服に向けて、国内外の研究者が、がん幹細胞の攻略に照準を合わせる。米国や英国では白血病。カナダでは脳腫瘍のがん幹細胞を研究している。大日本住友製薬は昨年4月に買収した米バイオベンチャーを中心に、大腸がんのがん幹細胞に効く候補物質の治療効果を調べる治験を、米国とカナダで進める。日本でも5月から治験を開始した。2015年の実用化を目指す。
慶応大の佐谷秀行教授は「あと数年すれば、がん幹細胞を標的にした治療が標準になるだろう」と話す。がん幹細胞に効く薬と通常のがん細胞に効く従来の抗がん剤を併用し、同時にたたくのが効果的という。がん幹細胞をやっつけて、元を絶ち、がん幹細胞に戻る恐れのある通常のがん幹細胞も退治する。
ーーーーーー以上、日本経済新聞2013年10月1日17面より抜粋しました。
Posted by 大谷佳子 at 2013年10月02日 02:47 | 返信
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