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顔や目を見ること
2013年09月07日(土)
認知症専門病院に3年間入院していた認知症の人が自宅に帰ってきた。
入院してすぐに胃ろうが造設され、寝たきりになって手足は拘縮している。
息子さんは、始まったばかりの在宅の医療・介護スタッフをすべて入れ変えたいと言った。
入院してすぐに胃ろうが造設され、寝たきりになって手足は拘縮している。
息子さんは、始まったばかりの在宅の医療・介護スタッフをすべて入れ変えたいと言った。
退院して1週間もたたないうちに、当院に在宅依頼が来た。
前医からの紹介状には、すべて入れ替えたいと言っている、と書いてある。
もしかして、モンスターファミリー??
イヤな予感がするも、紹介状を頂いたので、恐る恐る、そのお家に伺った。
可愛い顔をした寝たきりの老人が横たわっていた。
あー、ウーは言えるが、会話はできない。
息子さんに伺った。
「どうして、医療介護スタッフ、ケアマネを総入れ替えしようと思ったの?」
「本当のこと言っても、いいですか?」
「いいよ」
「来るスタッフ、来るスタッフ、全員、親の顔を一度も見ないのです。
ヘルパー事業所は、親の顔を一度も見ないまま書類にハンコを押せと言った。
医者も入ってくるなり、親の背後にある椅子に座り、いろいろ質問しながら、
パソコンに入力するだけっで、一度も親の顔を見なかった。
帰り際に後ろから、じゃあ帰るね、と言っただけ。
デイサービスも契約時にはあれほど丁寧だったのに、いざ行くと完全に上から目線。
ケアマネもハンコだけをもらいに来る感じ。
みんな何のためにここに来るのだろう、と思いまして・・・
まだ、親の顔を見たひとはひとりもいません。
ちゃんと見てくれたのは、先生がはじめてです」
・・・・・
3年も入院していた寝たきりの認知症には、医者も看護師もヘルパーも
ケアマネも誰ひとり、興味がなかったようだ。
ひたすら、電子カルテの入力と書類のハンコ押しに専念していたようだ。
電子カルテばかり見て、患者の顔を見ない勤務医の話はあまりにも有名だ。
しかしついに、在宅現場も同じようになってきたのか。
有名な在宅専門クリニックなので、ちょとショックだった。
介護が初めてだという息子さんは、こうも言った。
「みんな親のことを心配してくれてるのかな?」
認知症の在宅ケアは、こんな風になっているのか。
自分も気をつけないと、と思った。
長谷川和夫先生はこう言っている。
「認知症のひとの目を見て話せ」と。
しかし、人の目どころか、顔を見て話をした医療者・介護者がゼロだったと
いうわけだから、在宅医療を推進する一人として、とても悲しい現実だ。
患者紹介ビジネスでは、医療者のモラルが問われたが、
今回は医療・介護のプロとして基本的な素養が問われている。
あたり前のことをちゃんとやることは難しい、と感じた。
6~7人連続して、こんな基本的なこともできないのが現実。
実は、この人は、口から食べられる。
胃ろうは要らない。
イタリアンレストトランでパスタも食べられる。
北海道に旅行も行ける。
将来が全部見えてしまうのだが、口に出すのは初回なので、ぐっと我慢。
私自身も初回でチェンジされるかもしれないからだ。
でも、
モンスターではなかった。
むしろその逆で、初々しい介護者からさっそく、いろんなことを教えてもらった。
いい出会いだ。
こんな出会いがあるから、在宅は楽しい。
今日は奈良で、2つ大きな講演がある。
奈良の看護師さん、市民の方と出会うことを楽しみにしている。
前医からの紹介状には、すべて入れ替えたいと言っている、と書いてある。
もしかして、モンスターファミリー??
イヤな予感がするも、紹介状を頂いたので、恐る恐る、そのお家に伺った。
可愛い顔をした寝たきりの老人が横たわっていた。
あー、ウーは言えるが、会話はできない。
息子さんに伺った。
「どうして、医療介護スタッフ、ケアマネを総入れ替えしようと思ったの?」
「本当のこと言っても、いいですか?」
「いいよ」
「来るスタッフ、来るスタッフ、全員、親の顔を一度も見ないのです。
ヘルパー事業所は、親の顔を一度も見ないまま書類にハンコを押せと言った。
医者も入ってくるなり、親の背後にある椅子に座り、いろいろ質問しながら、
パソコンに入力するだけっで、一度も親の顔を見なかった。
帰り際に後ろから、じゃあ帰るね、と言っただけ。
デイサービスも契約時にはあれほど丁寧だったのに、いざ行くと完全に上から目線。
ケアマネもハンコだけをもらいに来る感じ。
みんな何のためにここに来るのだろう、と思いまして・・・
まだ、親の顔を見たひとはひとりもいません。
ちゃんと見てくれたのは、先生がはじめてです」
・・・・・
3年も入院していた寝たきりの認知症には、医者も看護師もヘルパーも
ケアマネも誰ひとり、興味がなかったようだ。
ひたすら、電子カルテの入力と書類のハンコ押しに専念していたようだ。
電子カルテばかり見て、患者の顔を見ない勤務医の話はあまりにも有名だ。
しかしついに、在宅現場も同じようになってきたのか。
有名な在宅専門クリニックなので、ちょとショックだった。
介護が初めてだという息子さんは、こうも言った。
「みんな親のことを心配してくれてるのかな?」
認知症の在宅ケアは、こんな風になっているのか。
自分も気をつけないと、と思った。
長谷川和夫先生はこう言っている。
「認知症のひとの目を見て話せ」と。
しかし、人の目どころか、顔を見て話をした医療者・介護者がゼロだったと
いうわけだから、在宅医療を推進する一人として、とても悲しい現実だ。
患者紹介ビジネスでは、医療者のモラルが問われたが、
今回は医療・介護のプロとして基本的な素養が問われている。
あたり前のことをちゃんとやることは難しい、と感じた。
6~7人連続して、こんな基本的なこともできないのが現実。
実は、この人は、口から食べられる。
胃ろうは要らない。
イタリアンレストトランでパスタも食べられる。
北海道に旅行も行ける。
将来が全部見えてしまうのだが、口に出すのは初回なので、ぐっと我慢。
私自身も初回でチェンジされるかもしれないからだ。
でも、
モンスターではなかった。
むしろその逆で、初々しい介護者からさっそく、いろんなことを教えてもらった。
いい出会いだ。
こんな出会いがあるから、在宅は楽しい。
今日は奈良で、2つ大きな講演がある。
奈良の看護師さん、市民の方と出会うことを楽しみにしている。
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この記事へのコメント
はじめまして。オーストラリアで海外で看護師になる勉強をしています。重度の介護施設、いくつかの病院で実習をしてきました。目は口ほどにものを言うといいますが、患者さんの病状等によって言葉によるコミュニケーションが困難であっても目をみるとその人が何をして欲しいと思っているかほぼ読み取ることができると私は信じています。目をみてかすかに笑顔を返してくれたときに「繋がった」と感じるときがあります。目をみて接することは一番大切なんじゃないかと思います。本質を見抜いている息子さんですね。可愛らしいお顔をしている患者さんは息子さんに大きな愛情を注いでお育てになったのでしょう。先生に巡り合えてよかったですね。
Posted by Ayako at 2013年09月07日 10:32 | 返信
ご無沙汰していました。アピタルを見てメールします。関係なくて、すみません。「映画、サイドエフェクト」見たいです。監督の映画「セックスと・・・」は以前、見ました。とても感じるものがありました。最後の映画なんですね。主演は、ジュード・ロウ。彼が出る映画は、ひとくせありますよね。とてもハンサムですが、変わってる人みたい。私は映画好きですが、もう、映画館にいくのは面倒になりました。家で見たいです。「ナルニア国物語」だけは、足を運ぼうかなと思います。
Posted by きらきら星 at 2013年09月07日 12:57 | 返信
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