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大学病院外来の開業医化
2013年10月16日(水)
ガリガリに痩せていて、まさに老衰としか言いようがない。
要介護5の全介助だった。
これまでの主治医を聞いてびっくり。
なんと、ある大学病院の大教授、それも要職にある医師だった。
数年前から、月1回ストレッチャーに載せて連れていっていたが、
やがて家族受診だけになり、それも面倒になって人に相談して
在宅医療を知ったと。
実は同じようなことが何度かあった。
何年間も家族のお薬受診だけの大学教授の外来。
主治医の意見書をどうやって書いているのか不思議でしょうがない。
家族受診だけで、インスリンを処方し続けている別の大病院。
たまに低血糖の処置で往診に呼ばれるが、大先生には
「まだ在宅は必要ない」と言われているとのこと。
老衰の患者さんを外来で診続ける大学病院って、
いったい何だろう、と思う。
死ぬまで家族受診を続けさせた偉い教授もいた。
病気も見なけりゃ、人も見ない。
見るのは家族の顔だけ。
大学病院は大学病院でなきゃ診られない患者さんを診るところだと思う。
しかし実態は、半数、いや大半は開業医で診られる患者さんを
診ているのではないか。
患者さんの病院信仰、病院志向もあるのだろう。
あるいは、いくつもの科でまとまってお薬をもらえて便利だと
いう声も根強い。
昼間はこんなことをやっていても、夜になれば、
当直医は1人しかいなかったりする。
急変した在宅患者さんの入院を依頼しても専門じゃないからと
たらいまわし。
「この患者だけはここで助けて欲しい!お願いだ!」と懇願しても門前払いをくらい泣いたことが何度もある。
相手が研修医だと、どなりたくもなる。目の前にいる助けられる
患者さんを門前払いで切り捨てる縦割り医療に安住している。
縦割りの陰に隠れて、最初から診る気がない研修医の当直が最悪。
腸閉塞は外科へと言われて、外科に電話すると腸閉塞は内科へ、
と言われ、どうどうめぐりで1時間。
たしかに受け入れ不能もあるだろう。
しかし最初から診る気がない当直医もいる。
すなわち、昼間は開業医で、夜は無医村。
これが大学病院の外来に見えてしょうがない。
ならば、もっと開業医を活用したらどうだろうか。
外国では開業医が大学病院の外来で診療している。
もしくは、大学病院の外来は少し制限すべきではないか。
そんな暇があれば入院患者さんに力を注いで欲しい。
来年から、紹介状を持たずに病院に行った患者さんからは
1万円を取ると聞いた。
ならばついでに、大学病院で寝たきり患者さんの家族の
お薬受診を死ぬまで続けている医者にも、
それなりのメッセージを出すべきではないか。
エライ先生は、地域医療連携や在宅医療にはあまり興味がないのか。
これから量産される総合診療専門医はいいことだろうが、
それを口実に、ますます大学病院の開業医化が進むことを危惧している。
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この記事へのコメント
こういうことを書けるのは長尾先生だけです これからも主張し続けて下さい。
Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2013年10月18日 06:23 | 返信
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