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「末期がんと闘う赤ひげお巡りさん」

2013年11月05日(火)

昨年春に余命半年と告知されたが、6度の手術を乗り越えて1111回の講演を果たした。
去る10月29日の毎日新聞の記事からの引用。
タイトルは「末期がんと闘う赤ひげお巡りさん」。
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直腸がんが分かったのは8年前。
手術をしたが、肝臓や肺にも転移。

しかし6度の手術と抗がん剤治療のおかげで
現在も元気に1111回目の講演を果たした、とのこと。

以上は、私の患者さんの話ではない。

10月29日の毎日新聞で紹介されていた69歳の赤ひげお巡さんの記事だ。
http://www.drnagao.com/pdf/media/related_article/mainiti131029.pdf

普通の方は、いい話だな、で終わりだろう。
しかし私は、ちょっと違った見かたをした。

「抗がん剤をやめた」と書いてあるということは、ある期間はやっていたのだろう。
すなわち、発病して8年間、手術と抗がん剤治療をやり、現在もお元気なようだ。

肺転移や肺転移も乗り越えて、ここまできたようだ。
元々が直腸癌だったことも幸いだったのだろう。

そして抗がん剤もいい時期にやめたようだ。
まさにいい「やめどき」をされたのだろう。

もしこの男性が、手術や抗がん剤を拒否して、「放置」していたらどうなっていたのだろう?
8年後に、こうして元気に活動していることがあったのだろうか?と想像している。

やはり、手術や抗がん剤という現代医療があり、それを支えた医療者がいたから
このお巡りさんは、今こうして笑顔でおられるのではないか。

この記事を書いた記者さんは、正直、そんな見方をされるとは思ってもいないだろう。
しかし私から見たら、こんなことがあるのが「現代医療」なのだと、思わせてくれる記事だ。

がんセンターレベルなら、どこでもこんな症例は数例以上はあるだろう。
私の知る限りにおいては、大腸がんでは決して珍しいことではない。

「医療否定本に殺されないための48の真実」に書いた患者さんと同じように、
誰になんと言われようが、目の前にある「真実」が、毎日新聞にも書かれていた。

若くてがんになった人は、がん放置療法という極論を鵜呑みしないことをお勧めする。
もちろん多くの人はこんな町医者のいうことなど話半分程度にしか聞いていないだろう。

世の中には、有名医師のベストセラーを真面目に信じる人が現実におられる。
そうした患者さんは犠牲者になる可能性があるので、充分に気をつけて欲しい。

この記事の患者さんは、きっと素晴らしい医療者たちが支えてくれているはずだ。
記事の表には出ないが、後ろにいる彼を支えてくれている善意の医療者の姿を想像する。

ただ、「痛みに耐えて」という表現がちょっと気になる。
できれば、緩和ケアのほうもしっかりお願いしたい。

彼らの努力のおかげもあって、半世紀にわたり1万匹の動物の命を救えたのだ。
命を救われた患者さんが、動物の命を救う、という話。

いい記事。
そしてその陰に隠れた”真実”を、見逃してはモッタイナイ。


助けられる命を救うのが医療。

まだ助かる命をみすみす捨てるように促すのは医療ではない。

そして延命治療が縮命治療へと変わる分水嶺を意識しないのも、医療ではない。


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この記事へのコメント

本当にそうですよね。
医療はうまく利用するべきものであってほしいと私も願います。

この記事では、転移があっても手術をしてくれる外科医がいる。エビデンスにない治療を受けることができていたのではないか、抗がん剤治療も、外科医が、ある程度の減量をしてくれて延命できているのではないか。

と、私は考えました。

抗がん剤だけでは生きる期間にリミットがあります。標準的に使ってしまえば、その期間はエビデンスとおりで、副作用が大きく襲い掛かります。

海外でもそういった事例を見てきました。泣きながら苦しむ姿を見てこれが治療なのか?と疑問を持ちました。

ボロボロになって、動けなくなって生きているだけではなく、体にある程度の制限を受けたとしても人間らしくありたい。私自身はそう思って家族の治療を選んできました。

知識を得るためにたくさんの資料を読み、人任せにしない、自己責任を持つことを心に決め、支えてくださる医療者の方々にお世話になってきました。

治療をするかしないか、0か100ではなく、その間があっていいと私は考えます。 それが知識を持つことであり、医療を利用することだと私は思っています。

全ては患者側が決めることですが、0や100からではなく、30から50位から始めてみて、数値コントロールをしてみるのも悪くはないと思います。

Posted by よしみ at 2013年11月05日 12:48 | 返信

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