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回答します

2013年11月19日(火)

今日、3通の書き込みがあった。
メールでも数えきれないほどの質問、相談が来るが、全部を読むことさえできない。
たいへん申し訳ないが、今見たばかりの3人にだけお返事をさせて頂く。
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最初にお断りするが、
●今回、私は週刊文春さんに私の意図とは全く違うタイトルをつけられた。
 勝手に不本意なタイトルをつけられ、勝手に対談をするように迫ってきた。
●仕方がないので往復書簡でやりましょうか、と言ったら、それは断っってきた。
 大切な内容なので、1年間でも費やしてやりましょうと言ったが、答えはNO!

敵前逃亡(?)したのは私ではなく、週刊文春さん。

まず、以上の事実を念頭においてほしい。


今日、頂いた3つのご意見に、順番にコメントする。


【Aさんの書き込み】

長尾先生はじめまして。先生のご活躍に敬意を表しております。さてDEBATEという言葉をご存知かと思います。これは一つの論題に関して全く異なる考え方を持つ人の意見を戦わせて真理に迫るというものです。その場合必ず肯定側と否定側に分かれてある一定のルールのもとで議論を経て「プレゼンとクロスエグザミネーション」より客観的な真実に到達しようというものです。これは欧米先進国では実に普遍的で、互いに右と左「極右極左も含む」に分かれた大統領選挙「党首討論」でも国営放送が担当しこのディベートがなければ国民の審判を問うことはできません。 長尾先生は近藤氏との対談を頑なに避けておられます。その理由は今のところ、 1.見世物になるつもりはない。 2.極限の妄想とどう議論するのか。議論の余地がないので議論しない。 3.教祖が自分の間違いに気がつかない限り何を話すのか。 といったところです。どうにも歯切れの良い理由は見当たりません。というのはこの理屈が通れば世界中にディベートなどそもそも不要になるからです。現在ヨーロッパでは過激な極右政党が躍進していますが左派の施政者でも議論そのものを回避する人物はいません。ディベート回避は当然敵前逃亡と解釈され国民の信頼は得られないからです。 今回長尾先生は近藤氏と往復書簡か携帯電話でなら話をしてもいいとも仰っています。とすると先生のご希望は公の場でリアルタイムでは議論したくないということだと解釈してよろしいでしょうか。もしもそうであればディベート能力欠如者との烙印を受け入れ、この議論を待ち望んでいる国民から信用されることは諦めるべきです。週刊文春の記者さんが「なぜ逃げるのですか?」と煽ってきたとあります。それに対して「私は逃げも隠れもしないし、毎日、講演や学会等で表に出ている。」とありましたがバラエティ番組ならともかくさすがにこれでは答えになっていませんね。 このコメントは通常の方でしたらブログに承認反映されないと思います。しかし先生は清濁受け入れる器量の持ち主だと確信しております。少々お気を悪くされたかもしれませんが承認くださり、そして対談できない真摯な理由をお示しくだされば質問を繰り返すことはいたしません。例えば「学術論争になれば論文評価論争になる。自分は近藤先生ほど資料を持ち合わせていないためそれでは勝ち目はない、ただ臨床医として近藤氏の意見は現実の複数の症例からみて同意できかねる。しかし対談でそれらを証明する万全の準備はできていないため」といった意見でも先の3つの理由よりははるかに説得力があると思うのです。 私の周りでは多くの人間がこの問題の推移を見守っています。先生のご真意を教示していただければとの思いからコメントさせていただきました。この提言はブログに転載していただいて結構ですので是非ご回答お待ちしております。


以下、私の回答

このような人のために本を書いたり取材に応じたのだが、全く理解されないのが残念だ。
デイベートの定義やエビデンンスという言葉に酔い知れている知識人が多いのに、呆れる。

デイベートに値しないので、デイベートしないだけ。
不毛だから、その必要がないから。

当たり前。

だから敢えて「真実」という言葉を使ったのだが、
意図は、なかなか伝わらないのだ。

第一、エビデンスの意味を知らないで、エビデンスという言葉を使う素人が多すぎる。
資料、エビデンス、アカデミア、評論、学会誌、大衆誌などの区別が全く分からない人。

メデイアの人たちは、みんなこう聞いてきる。
「長尾さん、近藤理論のどこが間違っているというのですか?」

「どこがって?・・・」
それって、それが正しいと信じているから出てくる質問なんんだろう。

何度、同じ質問を受けたか。
答えるのが面倒くさいので本を書いたのだが、まだ同じ質問が続いている。


アカデミアという世界を知らないので、仕方がないことなのか。
本当はこんなことは言いたくないが、あまりに無理解な人が多いので書かざるを得ない。

まず、エビデンスとは、5%は間違うこと。
エビデンスを積み重ねたメタアナーシスで、やっと本物の”エビデンス”に近くなる。

世界中の研究者は、そんな世界で勝負している。
みなさんが想像しているものは、エビデンスでもなんでもない。

他人のエビデンスを勝手に曲解することは、エビデンスとは呼ばない。
いちゃもん、という。

いちゃもん言いは、甲子園球場の外に一杯いる。
勝手にヤジを飛ばしている人たち。

いちゃもんをつけるのは勝手。
所詮、場外のいちゃもんなので、そんなことをいちいち気にする選手はいない。

いちゃもんつけが、グランドに立つことは100%ないし、
立つ資格はない。


エビデンスとは、甲子園球場のグランドの上で造られる!
医療という大切な議論は、アカデミアという甲子園球場で行われるもの。

自称知識人は、いちゃもんとエビデンンスの区別がつかないので厄介だ。
そもそもエビデンス、エビデンスと叫ばれる自称知識人さんへ。

がんもどき理論もがん放置療法も、そもそもエビデンスはゼロなのですが・・・・

たから経験に対して経験で返しただけ。
判断は、賢明な読者に任せると。


ただ、今回の騒動で、はっきり分かったことがある。
●文藝春秋や週刊文春の編集者たちは、がんもどき理論や放置療法を
 どうも本気で信じているということ。
 売らんかな、でやっているだけと思っていたのが、彼らはどうも本気で信じている!?

●それ以外にも、熱心な信者さんの数が想像以上に多い。
 過激派信者、大人しい信者、真面目な信者など、
 実に多種多様の信者さんがいることが、あらためて分かった。
 私などがいくら説明しても、所詮、マインドコントロールには勝てないこともよく分かった。


【Bさんの書き込み】
対談対談と患者さんが騒いでいるのはこのことだったんですね そりゃ 精神科医の先生が言われることが正しいと思います。abnormalには勝てないです。

以下、私の回答

極めてまっとうな意見。
これを、本当の知識人という。

医師は、ほぼ100%、この意見であろう。(他意は無い、事実だと思って書いているだけ)
私としては、これ以上、どうやって説明すればいのか言葉が見つからないのが本当のところ。



【Cさんの書き込み】

私は昨夏、中咽頭ガン(ステージ4)と診断され、抗がん剤3種と放射線治療をしました。今年2月のPETCTで再発転移無しと診断されましたが、腫瘍は楕円形でピーク時直径4.5センチありました。治療開始前の血液検査で腎機能が弱いと指摘を受けました。抗がん剤は、第一次世界大戦でも使用されたマスタードガスの成分から製造された猛毒だと環境ジャーナリスト船瀬俊介氏の著作から知っていましたが家族の勧めもあり化学・放射線療法を受け入れました。しかし、抗がん剤はガン細胞をやっつけますが、同時に正常細胞も傷つけます。その副作用を感じながら、死を冷静に受け入れ「遠隔転移・再発リスク」と「抗がん剤による腎機能低下で人工透析リスク」を天秤にかけ、生きて人工透析よりも死んで保険金を残した方が、幸せだと思うようになりました。抗がん剤治療は中断しましたが、放射線治療は貫徹しました。それで、池田清彦氏の近藤賛美説賛成派の私が言いたい事は、「ガンは放置すること」ではなく、自己内観をして生活習慣や思考・行動習慣を改めれば、手術や抗がん剤をすることなく腫瘍退縮に向かわせることが出来る。そのプロセスを経ずに外科手術や化学療法に頼る事は間違っている。自分自身で出来る事を自分で考えて自分で治す努力をする。この前向きな気持ちの起爆剤が無かったら、何をやってもダメだと思います。医者が勧める治療法は二の次、まず第一義は、自分自身の身体がどう感じているのか、自分はそれに対してどうしたいのか?その上で、医師の診断と治療指針は第二義だと受け止める事が大切だと痛感しました。生活習慣を改めなければ、ガンは再発します。切っても切っても心構えを変えなければ体質は変わりません。そのチェンジ・オブ・ペースに、抗がん剤の副作用を利用するのも悪くはないと思います。


以下、私の回答

素晴らしい!
実に現実的、前向きなご意見。

ちゃんと消化、昇華されて、自己決定に至っておられる。
これが、知識人の患者さんだと思う。

しかし、私がAさんに同じように答えても「答えになっていない!」と、
言われるのだろう。


今、正直、迷っている。

世の中に、これだけ多くの本気の信者さんがおられて、
彼らに向かって、ちゃんと理解できる本をさらに書くかどうかについて。

「サルでも分かる、近藤誠理論のここが間違い。
 -近藤誠現象から医者と患者は何を学ぶかー」

なんちゃって。

ちゃんと書いても、どうせまた理解されないだろうな。
書き込みを見ればこの方も重症であると診断できる。

でも自分の大切な時間を、こんなくだらないことに、さらに費やしてなんの意味があるのか。
目の前の患者さんに目を向ける時間にもっと使いたい。それが本分だ。

今日も、100人以上の患者さんを、外来や在宅で診た。
2社の産業医をしたし、理事長業務も院長業務もやった。


もっとも、過去においてきわめて知性の高い研究者が、月刊文藝春秋などで
ちゃんと反論しているのに、自称知識人たちには全く理解されていないからだ。

それも読まないで、教祖本だけを読んでいるので、そうなる。
自称知識人が、一番騙される。

勝っても勝っても、負けと判定される八百長試合ばかりだった。
レフリーも会場もすべて、パトロンに買収されている試合ばかり。

そんなリングに今更わざわざ立とうなんてアホな医師はもういない。
しかし、ありゃ、見ておられないと、無駄な仕事を請け負ってしまった。

神前五郎先生もその一人だろう。
しかし、よほど悔しかったのだろう。

論理的かつ数字もある論文で、真実が書かれている。
このブログでも1週間前にお伝えしたとうりだ。

それだけ長尾が信じられないのに、しかし真実は知りたいという方は、
日本医事新報4671号を買って、神前五郎先生の文章を読まれたい。
http://www.jmedj.co.jp/weekly/view.php?weekly_id=943

ネットで誰でも買える。

たった700円のお金も出さずに、意味不明な要求をする人が私には信じられない。
老医が書いた乾坤一擲の論文を、自称知識人はなぜ真面目に読もうとしないのか。

意図と真逆のことを平気で煽って書く週刊誌の上で、一体何を議論せよというのか。
私には理解できない。

まして私のことを敵前逃亡とは・・・???
まさに、マインドコントロールされた信者さんにつける薬は無い。

ついつい、20年前の、あの事件を思い出してしまった。

もうこの辺でいいですかあ。












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この記事へのコメント

>自己内観をして生活習慣や思考・行動習慣を改めれば、手術や抗がん剤をすることなく腫瘍退縮に向かわせることが出来る。

こんなものも近藤理論と同じくらい愚かではあるのですが、積極果敢に治療を受ける意味に於いてのみOKですが、往々にして、『根性なしだから再発するんだ!』になりがちです

どれほど他の分野で功績、人生経験を積もうと、精神論はがん治療で、手術や抗がん剤に代わるものではないことを、素人さんは知るべきです。メディアは特に、影響力のあるド素人の謙虚さ必要ですね

自己内観はあくまで自己だけに留めて頂きたいものです

Posted by 放射線治療医 at 2013年11月19日 12:36 | 返信

長尾先生!どうかマスコミや一部の偽知識人に煽られて、不毛な議論や異種格闘技のリングに上がらないでください。レフリーまで買収されているような八百長試合に参戦するほど無駄な事は無い‼目の前の患者さんの為に時間を使ってください。お願いしますm(_ _)m

Posted by 患者A at 2013年11月19日 05:16 | 返信

癌の身になってみましょう。私(癌)には未来がありません。死あるのみです。私の宿主様が私(癌)のために死んでも、私(癌)が手術で切り取られて血流が遮断されても、私(癌)には死あるのみです。私(癌)は免疫回避と増殖のためのプログラムを持っていますが、私(癌)にはそれを変更する術がありません。ですから私(癌)はただ自分(癌)の死に向かって増殖するしかないのです。私(癌)をどのように扱うかを宿主様方が様々に考えておられますが、私(癌)には関係がありません。繰り返しますが私(癌)には死しかないのです。宿主様にはどのように生きるかの選択肢が色々ある分だけ私(癌)より幸せです。近藤先生の考え方もありますし、長尾先生の考え方もあります。どちらの先生の考え方が良いとか悪いとかと争いたい宿主様や予定宿様がおられるようですが、私(癌)に関係のない何か別の理由で争っておられる様に見えます。私(癌)を救って下さい。プログラムを書き換えて分化させて下さい。そうすれば私(癌)はもはや私(癌)ではなく、宿主様の一部として宿主様の寿命まで生きられるのです。

Posted by 異端者 at 2013年11月20日 07:18 | 返信

医事新報はむつかしいです。なんとか、読みとれたのは、「近藤先生の癌もどき論は、臨床的でも、学術的でもない」という財前教授の論旨は、理解できました。
私が近藤先生が優しい方だなと思いますのは、やはり、癌幹細胞を消滅させるか、弱体化させる手段の無かった時、抗がん剤を患者さん投与するのは、癌を体中にまき散らして、患者さんを苦しめるだけだったと仰ったことです。
それは事実だったのだと思います。
しかし、NHKや日経新聞のニュースや記事が正しいのなら、現在は癌幹細胞を減少させるスルファサラジンという成分が分かった。癌幹細胞のたんぱく質「CD44V」に、くっついて、癌幹細胞の防御能力を弱めて死に導く事が分かった。
NHKでは、確か胃がんはCD44,大腸がんはCD44と、CD133。乳がんはCD44。白血病はCD34。悪性腫瘍はCD133と言っていたように記憶しています。
しかも、これらの発見は、医療関係者の努力もさることながら、黙々と、抗がん剤や多くに投薬に甘んじてモルモットの様に、試験的に飲んで下さった患者さんがいてこその成果なのではないでしょうか。
ただ全部の癌の病態に対応できるところまでは、未だ到達してないように報じられています。
そうであるにしても、「全ての癌と戦うな」と近藤先生が患者さんのために発言して下さったのは、こういった効果にある薬が発見されるまでは、真実であったし、やさしい指導であったけれど、これからは、癌と戦って勝てる公算が大になってきたということではないでしょうか。
近藤先生が正しいとか、どの先生が正しいとかの問題ではなく、どの先生の結論も、ある段階では正しいが、しかし皆さまのお蔭で、医学が発展していく中で、古い理論となっていくのではないでしょうか?
医学の発展は喜ばしいことです。
素人の私には、そのようにしか理解できません。
間違っていましたら、お許し下さい。

Posted by 大谷佳子 at 2013年11月21日 04:04 | 返信

マインドコントロールについては本来の意味から少し外れて、「洗脳」という意味に取られている事が多いようです。
長尾先生も「洗脳された人たち」と言う意味でマインドコントロールされた人と言われているのだと思いますが、教育も大きな意味では洗脳で、その洗脳によってその人の生き方がその人にとってプラスになるかマイナスになるか、それが洗脳の内容が善であるか悪であるかの分かれ目だと思います。

マインドコントロールを持って議論や批判をされるのなら、長尾先生もこのブログや講演等を通して多くの人を洗脳しているのであり、長尾理論の信者さんを増やされていると言う事を認識されるべきだと思います。
マインドコントロールそれ自体は悪いものではない。
その手法を持って人を善に導いているのか悪に導いているのかそれを知るべきであり、その内容を吟味する賢さが必要ではないでしょうか。
疑問は晴れるまで追及する。
内容が真理なら疑問がnormalである限り、どんな疑問も晴らせる力がある筈だと思います。

Posted by 桜 at 2013年11月21日 08:32 | 返信

非常に多くの臨床試験や国際カンファレンス等を経てガイドラインとして採用されているような治療体系と(失礼な言い方ですが)たった1人の医師の理論を比べたり議論すること自体がおかしなことと思います。

がんもどき理論もやがん放置療法はエビデンスレベルが最低または論外と言われても仕方ない状況かと思います。

Posted by 50代がん患者 at 2013年11月22日 01:05 | 返信

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