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返り血を浴びてでも
2013年11月27日(水)
先日から3回にわたり私のインタビュー記事が掲載されていて医師から多くのコメントがある。
リンクを貼れないので、そのままコピペさせて頂く。第1回目は、返り血を浴びてでも・・・
『「医療否定本」に殺されないための48の真実』上梓のわけ - 長尾和宏・長尾クリニック院長に聞く◆Vol.1
2013年11月19日(火) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
『「医療否定本」に殺されないための48の真実』(扶桑社)を今年7月に上梓した、長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長の長尾和宏氏。この11月の『週刊文春』には、長尾氏への取材記事、『近藤誠先生、あなたの“犠牲者”が出ています』も掲載された。反論の矛先は、言うまでなく、『医者に殺されないための47の真実』(アスコム)などで、「がんもどき理論」に基づく「がん放置療法」を唱える近藤誠氏。
医療界では、この近藤理論に異議を唱えても、公の場に出る医師が少なく中、あえて批判覚悟で反論の矢面に立ったのはなぜか……。長尾氏にお聞きした。話は、長尾氏のライフワークである平穏死まで及んだ(2013年11月7日にインタビュー。計3回の連載)。
――『「医療否定本」に殺されないための48の真実』を書こうと思われたのは、いつ頃からでしょうか。
僕自身、ずっと考えてはいたのです。これまでも反論を試みられた先生はおられますが、なかなか論破できないでいた。そうした時に、扶桑社から連絡があり、「誰も書く人がいない」と。全国のがんセンターの関係者などにも当たったようです。
「長尾先生は、どう思いますか」と聞くので、「(近藤氏の理論は)極論に走っているので、犠牲者がたくさん出ていますよ」と答えたら、「それをそのまま本に書いてくれませんか」と。実は、原稿では最初、「ある人は」としていた。けれども、それでは分からないので、近藤先生の実名を入れた。他にも「医療否定本」を書かれている方はいますが、ターゲットを絞った方がいいと思ったからです。
長尾 和宏(ながお かずひろ)氏 長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長 1958年生まれ。1984年東京医科大学卒業、大阪大学第二内科に入局。1995年兵庫県尼崎市で開業。医療法人裕和会理事長、長尾クリニック院長。常勤医6人、非常勤医7人の体制で、常時約300人の在宅医療を展開。『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)などの著書で知られる。 |
――「犠牲者」とは。
近藤先生は、「がんもどき理論」「がんは放置せよ、早期発見はしなくていい」などと主張している。しかし、ご自身で、「近藤誠がん研究所」を開き、セカンド・オピニオン外来をやっています。30分で3万円です。「抗がん剤治療は無意味だから、やめなさい。ホスピスに行きなさい」で3万円ですから凄い。この外来を受診し、そんなことを書かれた紙を持った患者さんが、当院を泣きながら訪れています。変ですよね。
近藤理論を否定する本を書けば、返り血を浴びることは覚悟しています。やめようとも思いました。けれども、汚れ役を誰かがやらなければと考えた。売れなくてもよくて、まずは言論界に出せば、読む人は読む。中身を読んでいただけば分かりますが、医療者から見れば当たり前のことしか書いていない。でも、間違っていることは、患者に向かって、はっきり「間違っている」と言わないといけない時が来たと。
――当たり前のことを、当たり前に言っただけだと。
そうです。偶然ですが、日本医事新報の最新号(2013年11月2日号)に、「『白い巨塔』の主人公、財前五郎のモデルとなったと言われる、神前五郎・大阪大学元教授が「がんもどき理論」を批判しています。神前先生は、『週刊朝日』で近藤先生と対談していました。近藤先生を支持する立場からは、「近藤先生を認めた、賛同した」といった声も聞かれ、十分に真意が伝わらなかったと考えたため、寄稿されたのでしょう。
神前先生が、言っていることは僕と同じで、「がんもどき理論」は、後出しジャンケンと言っています。幾つかの点を挙げ、医学的にいかに間違っているかを非常に細かく考察され、最後に、「医学の進歩に伴う早期発見・早期治療のメリットを否定し、無理やり100年以上の昔に戻ろうとしている」「がん放置療法に対して、全国の医師たちは断固として拒否の立場を崩さず、間違った行為にくみしないでもらいたい」と結んでいます。
神前先生は、94歳になられます。ご高齢の先生がこんなことを言わなければいけない状況は、どうなのでしょうか。近藤先生の極論は、最近は、がん医療にとどまらず、コレステロールとか血糖にも及んできた。なぜ関係学会は怒らないのか。だから、神崎先生は、「全国の医療者よ、立ち上がれ」と言ったのでしょう。
――「がんもどき」も、中にはありますがが、最初の診断の時点でその見分けが全て付くわけではない。
はい。近藤先生は、「がんもどき」と「本物のがん」しかないと言っている。けれども、実際には、その間にたくさんの状態があり、進行し、状態が変化しているがんもある。そのいずれに当たるかは、診断の時点ではなかなか分からない。だから臨床の現場では苦労をしているわけです。
しかし、一般の方だけでなく、メディアの方も、「がんもどき理論」を信じている人が多いようで、『「医療否定本」に殺されないための48の真実』を上梓した後も、「どこが間違いなのですか?」と毎日のように取材を受けます。がんもどき理論が医療界の常識だと思っている。「医療界では、誰も認めていない」と説明すると、「でも(近藤先生の)本は、100万部も売れているじゃないですか。世間で認められているからじゃないですか」と言う。
言うのは勇気が要るし、実際に返り血も浴びている。僕の人間性まで否定されることもある。それだけ、一般の方は“洗脳”されているわけです。覚悟はしていましたが、本を出して、そのことが改めて分かりました。
――そもそも「医療否定本」と言われる書籍は、何冊も出版されていますが、なぜここまで売れるとお考えですか。
抗がん剤の副作用や精神的な苦しみなど、患者の「トータルペイン」に医療者が寄り添っているとは言えない現実があるからでしょう。がん医療は、患者に寄り添い、二人三脚で行うものです。抗がん剤治療は、医師が思う以上に副作用が出ることが多い。医師はそれでも医学的が見地から、「続けなければダメだ」と言う。その結果、医師と患者の間に溝ができ、「抗がん剤に殺された」と思う患者も出てくる。
そこに「近藤誠」という、患者の代弁者が現れた。「がんもどき理論」や「がん放置療法」が評価されたのではなく、「患者の立場に立って、医師の悪口を言った」ことに意味があった。医師なのに、患者代表として言った。しかし、僕から言わせれば、これは医師の仕事ではない。
「Amazon」のレビューを見ると、多くは、本に対する批評ではなく、自分や家族が受けた医療への不満です。あそこに書かれている膨大なレビューは、現代医療への恨み、つらみ、慟哭のようなもの。その受け皿にたまたま彼がなった。
【掲載スケジュール】
Vol.1◆『「医療否定本」に殺されないための48の真実』上梓のわけ
返り血を浴びても、間違いは正す
Vol.2◆医学の進歩の否定につながる懸念
「患者はもっと賢くなってほしい」との思い
Vol.3◆「近藤誠現象」は検証の必要あり
臨床経験に基づく情報発信を続ける
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