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河内長野市の高齢者徘徊SOSネットワーク

2013年12月16日(月)

昨日は、河内長野市のお招きで認知症について講演し
パネルデイスカッションにも参加。
富岡さんのお話は、強烈だった。

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老老介護ではなく朗朗介護

 

昨日は大阪府河内長野市が主催する

認知症フォーラムで講演させて頂きました。

講演のテーマはズバリ「認知症と平穏死」。

 

その後地元で活躍している訪問看護師さんや

グループホームの管理者、介護者なども講演。

テレビで一度お見かけした方がおられました。

 

認知症を抱える河内長野家族の会の

富岡廣志さんといわれる80歳の方の話にビックリ。

要介護4の認知症の奥さんの介護をされています。

 

彼は毎日のように認知症の奥さまと金剛山への登山を

続けていて2年前に10000回を達成したそうです。

現在は、来年の11000回を目指しているそうです。

 

毎日朝起きたら2人でまず準備体操をされ

そこから片道1時間半をかけて2人で登山をされると。

お二人とも背筋がまっすぐ伸びていました。

 

富岡さんは、介護の秘訣は健康であることと、

楽しむことだ、と仰いました。

老老介護を、朗朗介護にしている、とも。

 

現在、認知症のお薬は飲んでいないそうです。

登山が認知症の進行を防止しているようです。

凄い方と出会いました。

 

比叡山延暦寺には千日回峰業という荒行があります。

しかし廣岡さん夫妻は、ひとケタ違う1万回です。

1回の登山に数時間かかるので凄い記録だと思います。

 

このブログは、たった15分のまだ1000回余です。

その何十倍もの激しい運動を続けておられるのです。

体中からエネルギーが溢れていました。

 

奥さんに「愛してるよ」と1日に何百回も言うそうです。

たとえトイレを失敗しても、「愛してるから大丈夫だよ」

と、すべて受け入れて、笑顔を絶やさないことが大切と。

 

またニコニコ介護の原点は、「健康であること」を

身をもって教えていただきました。

廣岡さんの男性ホルモンは高そうだな、と思いました。

 

女性が男性を介護するパターンが一般的ですが、

男性が女性を介護するケースも散見します。

奥さんをお人形さんのように扱うケースを見ました。

 

しかし廣岡さん夫妻は、どんどん外出されています。

私は、「移動という尊厳」についてお話したのですが、

まさしく毎日、激しい移動をされていました。

 


●徘徊SOSネットワーク

 

大阪府河内長野市は、なんと29年前から認知症

への取り組みを続けています。

認知症家族の会とも密接に連携しています。

 

素晴らしいと思ったのは「高齢者徘徊SOSネット

ワーク」という町ぐるみの取り組みがあることです。

現在は河内長野市だけでなく南河内全体に広がっています。

 

家族の会と行政が連携して市民を啓発している姿は

尊いものだと感心しました。

沢山のボランテイアさんもイベントを手伝っていました。

 

認知症になっても住み慣れた地域で暮らしたい。

誰もがそう願いますが、叶わないことが多くあります。

ともすれば病院や施設に、「収容」されてしまいがち。

 

私がいる尼崎市では地域包括ケアシステムの一環として

「24時間定期巡回、随時対応型訪問介護」を実施中。

私は2名の独居の認知症の方をこのシステムで診ています。

 

病院や施設で大暴れしていた方が自宅に帰ってくると、

ニコニコ、ノビノビ、ルンルンで暮らしておられます。

徘徊も無くなりました。

 

認知症に必要なものは「安心」です。

「不安」が本質ですから、安心を感じることができると、

認知症の方は想像を遥かに超えた改善を見ることがある。

 

尼崎での24時間随時対応の事例は、成功していますが、

本来は河内長野のように街全体が認知症を許容する町に

ならないと、本当の成功とはいえないなとも感じました。

 

いまだ普及が遅れている「介護マーク」の周知も課題です。

特に若年性認知症の方は、一見しても認知症と分からない。

だから街中でも、認知症と分かるような仕組みが大切です。

 

私の認知症の知識は医学部で教わったものではありません。

多くは、家族や介護者から教わったもの。

西宮市のつどい場さくらちゃんの丸尾さんもそう。

 

河内長野市に行って、昨日書いた富岡さんとお会いできて

本当によかった。ひとつひとつ知識が増えます。

今朝は富山県の家族の会の勝田さんともメールをしました。

 

富岡さんの話を聞くと元気になります。

男性介護者の見本です。

司会者が「富岡さんのような夫に介護されたい」と締めました。

 

 

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

12月15日の河内長野キックスでの先生の講演に感動しました。
認知症については正直興味は今ひとつなんですが、意識がはっきりしている時自分の将来のことを家族に話しておきたいと思っていましたが、講演での先生の話を聞いてそのようにすべきだと強く感じました。
尊厳死・自分の考えている事・希望等をまとめておいて来年早い時期に話します。このような話をすると子供たちはどのような反応を示すのでしょうか。また、メールしますので聞いてもらえますか。?
富岡さんの話は2年位前に5~6人の集会で聞いてすごい・素晴らしい人だなと感じましたが改めて人間性・夫婦愛・絆の強さに感服しました。
有難うございました。

Posted by 齋藤克夫 at 2013年12月18日 08:13 | 返信

長尾先生の講演会に参加していい勉強をさせていただきました。
私は、河内長野家族の会の世話人をしています。12月15日で30年を迎えました。
家族の会は30年前、富田林保健所河内長野市所の支所長をしていた故植田豊先生が奔走して発足しました。
このとき、河内長野市や医師会の協力がありました。故植田先生に請われてお手伝いをすることになりました。先生はその後、千早赤阪村で開業された後も、ずーと河内長野家族の会を導いてくださいました。しかし10年前、57歳で急逝されました。
先生は認知症に特化したデイサービスを開設したり、地域医療、訪問看護に力を入れておられた時でた。
先生を失った家族の会は途方にくれましたが、世話人が力を合わせて先生の遺志をなんとか引き継いできました。そんな活動の中から、富岡さんがクローズアップされました。富岡さんが家族の会をPRして下さり感謝です。
長尾先生のブログにも感謝しています。ありがとうございました。
長尾先生の尼崎での奮闘記が故植田豊先生の地域医療とと重なって感慨深いものがあります。

Posted by 田中米子 at 2014年01月04日 07:43 | 返信

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