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ノロウイルス流行中

2013年12月28日(土)

現在、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行している。
本日の産経新聞兵庫版には、ノロウイルスについて書いた。
療養期間については、かかりつけ医や職場の上司とよく相談してほしい

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産経新聞ウイルスシリーズ第3回 ノロウイルスによる胃腸炎

                手洗い励行で集団感染の予防を

 

いよいよ年の瀬ですね。「吐き下し」をするウイルス性の胃腸炎が流行しています。インフルエンザも少し出はじめましたが、それより患者さんがずっと多い。おそらく多くはノロウイルス感染であると思われます。ノロウイルスは1972年に電子顕微鏡で発見されました。最初はノーウオークという名前でしたが、2002年の第12回国際ウイルス学会で現在のノロウイルスと改名されました。ノロウイルスは、たった10~100個のウイルスで感染が成立するほど感染力が強く増殖も速い。低温や高温にも強く大変しぶといウイルスです。下痢便や吐物のなかに大量にいるウイルスが手に付着して口から入って人から人への感染が成立します。潜伏期間は1~2日で、軽度の発熱を伴うことが多いです。冬に嘔吐、下痢、腹痛を訴えて受診される方はたいていノロウイルス感染。しかし現場では感染性胃腸炎ないし急性腸炎として扱われます。

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎には特効薬もワクチンも無く、吐き気止めや消化剤などの対症療法のみです。ウイルスなので抗生物質も意味が無い。また下痢だからといっても強い下痢止めはお勧めしません。ウイルスを体外に排出するのを止めれば治癒が遅れるからです。私はよく「2食抜いて、スポーツドリンクだけチビチビ飲んでね」と指示しますが、たいてい2~3日で自然に治ります。ただ、脱水に陥り易い小児や高齢者は注意が必要です。よく老人施設での集団感染が報道されるのは、胃ろうをしている高齢者が嘔吐した場合、それを誤嚥して窒息したり誤嚥性肺炎を起こした場合です。普段元気な人ならそんなに心配することはありません。しかし感染力が強いので職場や家庭や学校などでの集団感染があり得るので、その予防が重要です。

 一方、ノロウイルスが身体に入ってきても症状が出ない人もいます。こうした不顕性感染が3~6割あると言われています。また感染者は症状が治まっても2~4週間、ウイルスが排出されています。よく「治癒証明書を書いて」という方がいますが、完全治癒までは相当な時間がかかるので書きにくい。「そんな証明書より、下痢が止まれば出社していいですよ。でも手洗はしっかりね」と説明しています。 インフルエンザの診断と同様に、便を「迅速検査キット」でノロウイルスがいるかどうか調べてくれという人もおられます。

 しかし私は特別な理由がなければやりません。なぜならノロウイルスと判明しても特効薬が無いので、わざわざ検査をする意義を感じないからです。インフルエンザですと抗ウイルス薬を使ったり、学校を休む根拠になるので迅速診断キットは意味があります。しかしノロウイルスの場合は、偽陰性のこともあるし、余分な医療費もかかるし、あまり必要性を感じません。ただ食品関係に従事している方でどうしてもという人だけ調べることはあります。

 ウイルス性腸炎には、ノロウイルス以外にもロタウイルスなどもあります。またウイルス性腸炎以外には細菌性腸炎もあります。私はノロウイルス対策で大切なことは集団感染の予防だと思います。寒くなり、風邪やインフルエンザも流行しています。どうか手洗いやうがいを励行してください。トイレに行った後や調理や食事の前のこまめが手洗いなどがなによりも大切です。


 私ごとですが昨年来、7冊もの著書が出ました。たくさんのご支持を頂いたことにこの場をお借りして深く感謝申し上げます。では、よいお年をお迎え下さい。

 キーワード 迅速診断キット

便中の「ノロウイルス抗原検査」を検出する検査キット。3歳未満、65歳以上、抗がん剤治療中など人には健康保険が適用されるがそれ以外は自費となる。またノロウイルスに感染していても陽性とならない場合もある。

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