このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
近藤誠本を2冊読む
2014年01月04日(土)
久々に本屋に行って、近藤誠氏の近著を2冊買って、じっくり読んだ。
「がんもどで早死にする人、本物のがんで長生きする人」と「文藝春秋の1月臨時増刊号」。
私なりに感想文を書いてみた。
「がんもどで早死にする人、本物のがんで長生きする人」と「文藝春秋の1月臨時増刊号」。
私なりに感想文を書いてみた。
本屋の正面にこの2冊が置いてあった。
売れているのだ。
恥ずかしながら私の本などどこにも置いてなかった。
結構大きな本屋さんなのだが、残念ながら発見できなかった。(悲)
「がんもどきで早死にする人、本物のがんで長生きする人」
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%81%A7%E6%97%A9%E6%AD%BB%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%80%81%E3%80%8C%E6%9C%AC%E7%89%A9%E3%81%AE%E3%81%8C%E3%82%93%E3%80%8D%E3%81%A7%E9%95%B7%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA-%E8%BF%91%E8%97%A4-%E8%AA%A0/dp/4344024842/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1388755956&sr=1-1&keywords=%E8%BF%91%E8%97%A4%E8%AA%A0+%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%81%A7%E6%97%A9%E6%AD%BB%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA
タイトルが抜群にいい。
ナイスコピー!
知識人やがん医療に関係しない医療・介護関係者は必ず手に取りたくなるタイトル。
もちろん、がん医療者やもう素性を知ってる人は絶対に手に取らないし、買わない本。
私は、「近藤誠現象」の考察のために、この正月には必ず読もうと思っていた。
読んだ感想をそのまま言えば、3割正しくて、7割が間違った本。
言い方を変えれば、正しいところもあるが、間違ったところのほうが多い本。
もっと大雑把に言えば、半分は当たっているが、半分は大間違いの本。
ページを見開くたびに、論理のすり替えや飛躍が、それぞれ数ケ所ある本。
それが気になって気になって、先に進むのが辛い本。
論理のすり替えや飛躍とは、
AはBである。
CはDである。
よってAはDである、みたいな文章。
あるいは、
AはBである。
BはCである。
よって、AはDである、みたいな意味不明の文章、のオンパレード。
素人や一般市民は簡単に騙されるだろうが、少なくとも私のような頭の悪いものでも
がん医療に携わっている医者には、おそらく数ページも耐えられないのではないか。
それくらいヒドい、論理の展開が延々と続き、
特に目新しいことはなにも書かれていない本。
がん幹細胞やiPS細胞など最新の話題にも一応、触れてはいるが、意味不明。
その論旨は、私には全く理解できなかった。
以前も書いたが、大学での論理学の実習に彼の本は最高の教材として使える。
ところで、半分正しくて、半分間違った本って、世間でどのように評価されるのだろうか?
常識的には、悪書であるか価値が無いので、全く売れない本となり、無視されるはず。
しかし彼の本は100万部を突破し、ミリオンセラーになり、人気が持続している。
全部正しい本はまず売れないし、全部、間違った本もまず売れない。
大衆市場では、きっと半分正しいトンデモ本が、一番売れるの世の中ではないか。
なによりも患者の医者や医療への恨むつらみが気持ちがいいくらい書かれている。
正しい半分が、間違った半分を200%カバーしているようにも感じる。
正しいというのは、患者の想いを代弁して、終末期の過剰医療に警鐘を鳴らした点だ。
では間違っている点とは?
がん医療とそれ以外になるのだが、がん医療に限れば少なくとも以下の点。
それは、「がんもどき理論」と「がん放置療法」という極論部分である。
ここに関しては、もはやコメントしない。
というかコメントする気もおきない。
致命的ともいえる根本的な誤りがある。
おそらく彼もまだ気がついていないのだろう。
さて、もう一冊は、文藝春秋臨時増刊号
「何度でも言う、がんとは決して闘うな」
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%87%E8%97%9D%E6%98%A5%E7%A7%8B%E5%A2%97%E5%88%8A-%E4%BD%95%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%82%82%E8%A8%80%E3%81%86-%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E6%B1%BA%E3%81%97%E3%81%A6%E9%97%98%E3%81%86%E3%81%AA-2014%E5%B9%B4-01%E6%9C%88%E5%8F%B7/dp/B00GO9IM42/ref=pd_sim_b_2
「何度でも言う・・・」とのことだが、吉本漫才で言うなら、
「あんた、いったい何回おんなじこと、言いうてんねん!」という感じ。
売れるから何度でも同じような本が出て、それぞれがまた飛ぶように売れる好循環。
おまけに関係の無いタイトル便乗本まで売れている。
この本には、有名人が対談相手として出てくる。
五木寛之氏
立花隆氏
上野千鶴子氏
山崎章郎氏・・・
など、そうそうたる論客が近藤氏と対談されている。
それぞれが、近藤理論をヨイショ!するような編集になっている。
おいおい、本気かよ、誰かちゃんと言ってやれよ!みたいな感じだが、所詮素人ばかり。
正確には、山崎章郎氏は素人ではなく、元外科医だから現場をちゃんと知っているのだが。
あとは、評論家や遺族や文藝春秋の御用ジャーナリストばかり。
よく見ると、1996年や1998年など、2000年以前の対談が多い。
要はカルト化、極論化する前の彼との気を使った対談記事ばかり。
最近もものは関係者というか内輪の人の論評ばかり。
そこは舞台が文藝春秋だから、ヨイショしかできない。
御本尊さんの○○さんを持ちあげる芸能人や業界者ばかりが登場する本に似ている。
それも20年近く前の対談記事が亡霊のように登場する奇妙な増刊号なのだ。
要するに、これは単なる宗教の本のようだ。
別に宗教の本が悪いとは言わないが。
しかしこの増刊号を買って良かったのは、
冒頭に近藤誠氏の半生記が書かれている点。
私には、この記事が一番面白かった。
人間のすべての激しい行動には、必ずそのモチベーションがある。
教義そのものより、そこに至った経緯にこそ、最大の興味がある。
近藤氏のお父さんは板橋区(中板橋)の町医者だった。(私も大山に住んでいた)
彼は医者になりたくなかったが、成績が良かったのでシブシブ医者になったそうだ。
医者になるのが、イヤで仕方がなかったのに首席で卒業し、医者に。
でも内科や外科は忙しそうだから、一番暇そうな放射線科に行ったと。
彼は、1学年上の女医さんの卵と23歳でできちゃった結婚。
そして、40年間、その青春のアパートから出ていないという。
朝3時に起きて、4時に出勤するという常同行動が持続できる驚異的に勤勉な人。
また自分のことを、医者ではなく、研究者だとも言っている。
たしかに、正直で素朴で、真面目で清貧で一点の曇りもない人生を歩んでおられる。
自分で言うののなんだが、全てが私とは正反対の人生を歩んできた人。
教授や講師や慶応大学や書籍がどうしたこうしたの話は別にして、
才能と努力が結実し、実にいい人生、幸せな人生を送られていると感じた。
そして患者のためには命を賭けて闘うとまで言われて、
私も爪の垢でも飲まないといけなのかな、とも思った。
私なんかとは比べ物にならないほど優秀で純粋な人間だ。
それは彼の周囲のひとからも常常。聞いている。
しれし彼は、純朴さと引き換えに、いくつかの大きな過ちを故意に犯している。
それは、おそらく彼自身も知りながら、わざとやっているようだ。
自らも医者という肩書を名乗りながら、
自分以外の医者=金儲け目的で、製薬会社や政府と癒着、と信じ込んでいる(フリ?)点。
医者を極悪人と言うのは患者側がすること。
医者ならば自分の力で医学界を変えなければ。
そう言うならば、自分こそ、文藝春秋社はじめ大衆出版界と大いに癒着して、
捏造記事を堂々と書き続けていることにはまったく無頓着であるのが不思議。
万年講師であったルサンチマンを、大衆扇動という間違った手法で満たそうとしている。
「文藝春秋に論文を発表する」と勘違いしている。おいおい、論文は医学雑誌だろうに。
がん医療を否定しながら、「近藤誠がん研究所」を造り(放置なのにいったい何を研究?)
30分3万円という高いお金を取りながら、一部の患者さんを泣かしている事実。
http://www.drnagao.com/pdf/media/related_article/tousyo131202.pdf
藁をもつかむ気持ちで、高いお金を払って来られた患者さんに対して、
「名前を売るために極論を書いたんだ」だけでは、ちょっと可哀そうすぎないか。
そもそもこんな泣き言が私のところに届くこと自体、どこか道を間違えたと思う。
「がんは治療せず、放置に限る!」と弱い患者や大衆を煽る一方、
乳房温存手術や放射線治療だけは勧める、という自己矛盾。
要するに彼はもはや医者ではないような気がした。
過去はともかく、現在は医師免許を持った、がん患者会の代表者に見えてきた。
退職後は、がん患者会代表として活動されたらスッキリするのではないか。
私は彼の患者さんの無念さを想う気持ちは痛いほどよく分かるが、一方、
医師のしての誤発信は全く理解できない。
いつからか、科学と宗教と文学の区別ができなくなったのだろう・・・
そう考えると、うまく説明できる。
さて、さきほど、「コメントしない」と書いたことに関して。
理由を詳しく知りたい人は、以下のサイトを読まれるといい。
”腫瘍内科医”さんと”近藤教信者”さんたちとの、約350回にもわたる議論。
これを読むと私が「議論にならない」という意味が分かると思う。
またこうした議論がいかに不毛であるか、思い知ることができる。
ちゃんと読んだら、2時間くらいかかるんじゃないかな。
正月休みでちょうど時間がある人は、是非とも読まれたい。
ちなみに、この”腫瘍内科医”という方は、もちろんかなりの方だと思う。
かなり、というのはかなり我慢強くて、かなり頭がいい(相当なレベル)という意味。
そんな方でも、ネット上で、近藤教信者たちに「あんた医者か?」なんて聞かれている。
そんなレベルの低い人たち相手に、よくここまで頑張るってるな、という敢闘賞ものだ。
http://www.amazon.co.jp/review/R2LUF6IXASLSL9/ref=cm_cr_pr_cmt?ie=UTF8&ASIN=4776207648&linkCode=&nodeID=&tag=#wasThisHelpful
この議論だけで1冊の本になるくらい、マニアには読みh答えがある。
やはり現場の医者と、スタンドで観戦するだけの”医者もどき”では
到底議論にならないのが、良く分かるはず。(といってもこの読者は素人さん?)
不謹慎かもしれないが、昔、教祖様を弁護する「ああ言えば上祐」っていう人が
いたが、あの人を思い出す。そうそう、同じように女性信者さんもいたな。
しかし信者さんは哀れな結末だった。
あのオウムの時とよく似た構図に見えてしょうがない。
それだけグルは魅力的で頭がよくて弁がたつ人なんだが。
一時は本気で大臣、いや総理大臣、そして革命を目指していた・・・
私は、もう近藤誠現象への答えはもう見つかっている。
今月、ある医学雑誌で発表するので執筆中だ。
私の使命は、「近藤誠現象」を建設的な方向に昇華させること。
近藤氏の今後の立つ瀬を大切にすること。
彼はいいことも言っているのに、惜しいな、というところが多すぎる。
え?長尾は何を言いたいか、良く分からない?
最後に、みさままにも3つほどヒントを書いておきたい。
1)ルサンチマンから出た極論では、患者さんは幸福にならない
2)ナラテイブ
3)同じようなことを言っているように見える中村仁一氏は、正しい。
がん医療の正解は、みなさま自身で探してください。
がんは多種多様。
がん医療も多種多様。
がんは自分自身でもあり、日本人が内包する宿命。
「がんの発生とは、進化という壮大な可能性の仕組みの中の
不可逆的に内包された矛盾のようなものだ」(福岡伸一)
売れているのだ。
恥ずかしながら私の本などどこにも置いてなかった。
結構大きな本屋さんなのだが、残念ながら発見できなかった。(悲)
「がんもどきで早死にする人、本物のがんで長生きする人」
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%81%A7%E6%97%A9%E6%AD%BB%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%80%81%E3%80%8C%E6%9C%AC%E7%89%A9%E3%81%AE%E3%81%8C%E3%82%93%E3%80%8D%E3%81%A7%E9%95%B7%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA-%E8%BF%91%E8%97%A4-%E8%AA%A0/dp/4344024842/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1388755956&sr=1-1&keywords=%E8%BF%91%E8%97%A4%E8%AA%A0+%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%81%A7%E6%97%A9%E6%AD%BB%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA
タイトルが抜群にいい。
ナイスコピー!
知識人やがん医療に関係しない医療・介護関係者は必ず手に取りたくなるタイトル。
もちろん、がん医療者やもう素性を知ってる人は絶対に手に取らないし、買わない本。
私は、「近藤誠現象」の考察のために、この正月には必ず読もうと思っていた。
読んだ感想をそのまま言えば、3割正しくて、7割が間違った本。
言い方を変えれば、正しいところもあるが、間違ったところのほうが多い本。
もっと大雑把に言えば、半分は当たっているが、半分は大間違いの本。
ページを見開くたびに、論理のすり替えや飛躍が、それぞれ数ケ所ある本。
それが気になって気になって、先に進むのが辛い本。
論理のすり替えや飛躍とは、
AはBである。
CはDである。
よってAはDである、みたいな文章。
あるいは、
AはBである。
BはCである。
よって、AはDである、みたいな意味不明の文章、のオンパレード。
素人や一般市民は簡単に騙されるだろうが、少なくとも私のような頭の悪いものでも
がん医療に携わっている医者には、おそらく数ページも耐えられないのではないか。
それくらいヒドい、論理の展開が延々と続き、
特に目新しいことはなにも書かれていない本。
がん幹細胞やiPS細胞など最新の話題にも一応、触れてはいるが、意味不明。
その論旨は、私には全く理解できなかった。
以前も書いたが、大学での論理学の実習に彼の本は最高の教材として使える。
ところで、半分正しくて、半分間違った本って、世間でどのように評価されるのだろうか?
常識的には、悪書であるか価値が無いので、全く売れない本となり、無視されるはず。
しかし彼の本は100万部を突破し、ミリオンセラーになり、人気が持続している。
全部正しい本はまず売れないし、全部、間違った本もまず売れない。
大衆市場では、きっと半分正しいトンデモ本が、一番売れるの世の中ではないか。
なによりも患者の医者や医療への恨むつらみが気持ちがいいくらい書かれている。
正しい半分が、間違った半分を200%カバーしているようにも感じる。
正しいというのは、患者の想いを代弁して、終末期の過剰医療に警鐘を鳴らした点だ。
では間違っている点とは?
がん医療とそれ以外になるのだが、がん医療に限れば少なくとも以下の点。
それは、「がんもどき理論」と「がん放置療法」という極論部分である。
ここに関しては、もはやコメントしない。
というかコメントする気もおきない。
致命的ともいえる根本的な誤りがある。
おそらく彼もまだ気がついていないのだろう。
さて、もう一冊は、文藝春秋臨時増刊号
「何度でも言う、がんとは決して闘うな」
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%87%E8%97%9D%E6%98%A5%E7%A7%8B%E5%A2%97%E5%88%8A-%E4%BD%95%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%82%82%E8%A8%80%E3%81%86-%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E6%B1%BA%E3%81%97%E3%81%A6%E9%97%98%E3%81%86%E3%81%AA-2014%E5%B9%B4-01%E6%9C%88%E5%8F%B7/dp/B00GO9IM42/ref=pd_sim_b_2
「何度でも言う・・・」とのことだが、吉本漫才で言うなら、
「あんた、いったい何回おんなじこと、言いうてんねん!」という感じ。
売れるから何度でも同じような本が出て、それぞれがまた飛ぶように売れる好循環。
おまけに関係の無いタイトル便乗本まで売れている。
この本には、有名人が対談相手として出てくる。
五木寛之氏
立花隆氏
上野千鶴子氏
山崎章郎氏・・・
など、そうそうたる論客が近藤氏と対談されている。
それぞれが、近藤理論をヨイショ!するような編集になっている。
おいおい、本気かよ、誰かちゃんと言ってやれよ!みたいな感じだが、所詮素人ばかり。
正確には、山崎章郎氏は素人ではなく、元外科医だから現場をちゃんと知っているのだが。
あとは、評論家や遺族や文藝春秋の御用ジャーナリストばかり。
よく見ると、1996年や1998年など、2000年以前の対談が多い。
要はカルト化、極論化する前の彼との気を使った対談記事ばかり。
最近もものは関係者というか内輪の人の論評ばかり。
そこは舞台が文藝春秋だから、ヨイショしかできない。
御本尊さんの○○さんを持ちあげる芸能人や業界者ばかりが登場する本に似ている。
それも20年近く前の対談記事が亡霊のように登場する奇妙な増刊号なのだ。
要するに、これは単なる宗教の本のようだ。
別に宗教の本が悪いとは言わないが。
しかしこの増刊号を買って良かったのは、
冒頭に近藤誠氏の半生記が書かれている点。
私には、この記事が一番面白かった。
人間のすべての激しい行動には、必ずそのモチベーションがある。
教義そのものより、そこに至った経緯にこそ、最大の興味がある。
近藤氏のお父さんは板橋区(中板橋)の町医者だった。(私も大山に住んでいた)
彼は医者になりたくなかったが、成績が良かったのでシブシブ医者になったそうだ。
医者になるのが、イヤで仕方がなかったのに首席で卒業し、医者に。
でも内科や外科は忙しそうだから、一番暇そうな放射線科に行ったと。
彼は、1学年上の女医さんの卵と23歳でできちゃった結婚。
そして、40年間、その青春のアパートから出ていないという。
朝3時に起きて、4時に出勤するという常同行動が持続できる驚異的に勤勉な人。
また自分のことを、医者ではなく、研究者だとも言っている。
たしかに、正直で素朴で、真面目で清貧で一点の曇りもない人生を歩んでおられる。
自分で言うののなんだが、全てが私とは正反対の人生を歩んできた人。
教授や講師や慶応大学や書籍がどうしたこうしたの話は別にして、
才能と努力が結実し、実にいい人生、幸せな人生を送られていると感じた。
そして患者のためには命を賭けて闘うとまで言われて、
私も爪の垢でも飲まないといけなのかな、とも思った。
私なんかとは比べ物にならないほど優秀で純粋な人間だ。
それは彼の周囲のひとからも常常。聞いている。
しれし彼は、純朴さと引き換えに、いくつかの大きな過ちを故意に犯している。
それは、おそらく彼自身も知りながら、わざとやっているようだ。
自らも医者という肩書を名乗りながら、
自分以外の医者=金儲け目的で、製薬会社や政府と癒着、と信じ込んでいる(フリ?)点。
医者を極悪人と言うのは患者側がすること。
医者ならば自分の力で医学界を変えなければ。
そう言うならば、自分こそ、文藝春秋社はじめ大衆出版界と大いに癒着して、
捏造記事を堂々と書き続けていることにはまったく無頓着であるのが不思議。
万年講師であったルサンチマンを、大衆扇動という間違った手法で満たそうとしている。
「文藝春秋に論文を発表する」と勘違いしている。おいおい、論文は医学雑誌だろうに。
がん医療を否定しながら、「近藤誠がん研究所」を造り(放置なのにいったい何を研究?)
30分3万円という高いお金を取りながら、一部の患者さんを泣かしている事実。
http://www.drnagao.com/pdf/media/related_article/tousyo131202.pdf
藁をもつかむ気持ちで、高いお金を払って来られた患者さんに対して、
「名前を売るために極論を書いたんだ」だけでは、ちょっと可哀そうすぎないか。
そもそもこんな泣き言が私のところに届くこと自体、どこか道を間違えたと思う。
「がんは治療せず、放置に限る!」と弱い患者や大衆を煽る一方、
乳房温存手術や放射線治療だけは勧める、という自己矛盾。
要するに彼はもはや医者ではないような気がした。
過去はともかく、現在は医師免許を持った、がん患者会の代表者に見えてきた。
退職後は、がん患者会代表として活動されたらスッキリするのではないか。
私は彼の患者さんの無念さを想う気持ちは痛いほどよく分かるが、一方、
医師のしての誤発信は全く理解できない。
いつからか、科学と宗教と文学の区別ができなくなったのだろう・・・
そう考えると、うまく説明できる。
さて、さきほど、「コメントしない」と書いたことに関して。
理由を詳しく知りたい人は、以下のサイトを読まれるといい。
”腫瘍内科医”さんと”近藤教信者”さんたちとの、約350回にもわたる議論。
これを読むと私が「議論にならない」という意味が分かると思う。
またこうした議論がいかに不毛であるか、思い知ることができる。
ちゃんと読んだら、2時間くらいかかるんじゃないかな。
正月休みでちょうど時間がある人は、是非とも読まれたい。
ちなみに、この”腫瘍内科医”という方は、もちろんかなりの方だと思う。
かなり、というのはかなり我慢強くて、かなり頭がいい(相当なレベル)という意味。
そんな方でも、ネット上で、近藤教信者たちに「あんた医者か?」なんて聞かれている。
そんなレベルの低い人たち相手に、よくここまで頑張るってるな、という敢闘賞ものだ。
http://www.amazon.co.jp/review/R2LUF6IXASLSL9/ref=cm_cr_pr_cmt?ie=UTF8&ASIN=4776207648&linkCode=&nodeID=&tag=#wasThisHelpful
この議論だけで1冊の本になるくらい、マニアには読みh答えがある。
やはり現場の医者と、スタンドで観戦するだけの”医者もどき”では
到底議論にならないのが、良く分かるはず。(といってもこの読者は素人さん?)
不謹慎かもしれないが、昔、教祖様を弁護する「ああ言えば上祐」っていう人が
いたが、あの人を思い出す。そうそう、同じように女性信者さんもいたな。
しかし信者さんは哀れな結末だった。
あのオウムの時とよく似た構図に見えてしょうがない。
それだけグルは魅力的で頭がよくて弁がたつ人なんだが。
一時は本気で大臣、いや総理大臣、そして革命を目指していた・・・
私は、もう近藤誠現象への答えはもう見つかっている。
今月、ある医学雑誌で発表するので執筆中だ。
私の使命は、「近藤誠現象」を建設的な方向に昇華させること。
近藤氏の今後の立つ瀬を大切にすること。
彼はいいことも言っているのに、惜しいな、というところが多すぎる。
え?長尾は何を言いたいか、良く分からない?
最後に、みさままにも3つほどヒントを書いておきたい。
1)ルサンチマンから出た極論では、患者さんは幸福にならない
2)ナラテイブ
3)同じようなことを言っているように見える中村仁一氏は、正しい。
がん医療の正解は、みなさま自身で探してください。
がんは多種多様。
がん医療も多種多様。
がんは自分自身でもあり、日本人が内包する宿命。
「がんの発生とは、進化という壮大な可能性の仕組みの中の
不可逆的に内包された矛盾のようなものだ」(福岡伸一)
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
先輩、明けましておめでとうございます。
正しい医療知識の普及をもっと広げるためにご尽力ください。
今年も昨年以上の本の執筆ご努力ください。 影なら応援しています。
Posted by 通りすがり at 2014年01月04日 11:52 | 返信
人間総合大学の保険医療部長で、大学院教授の、柴田博先生も、「老人はもっと、動物性たんぱく質を、とらなきゃいけない」と言う主張を本にして、出版したのに、ちっとも売れなくて、「上杉ばあちゃん」とか言うおばあさんの、「牛や豚の肉は食べてはいけない」と言う本ばかり、皆が買ってると笑いながら、本心怒っていらっしゃいました。
素人の本が良く売れるんですね。こういうのが、ポピュリズムって言うのでしょうか?
でも、今頃このような質問をするのは、気が引けますけど、なんで抗がん剤って、毒ガスのイペリットとおなじ材料なんですか?
他に抗がん剤として、何か良い薬はないのでしょうか?
Posted by 匿名 at 2014年01月04日 02:13 | 返信
この感想文から様々な先生の思いが伝わってきます。現在執筆中の医学雑誌への寄稿論文でおそらく
「近藤氏の致命的な誤り、根本的な誤り」を具体的に発信されると思いますが楽しみにしています。
また、中村仁一氏は近藤氏と非常に近い「たとえばガンは治療しないのが一番と対談でもはっきり
仰られています」と思うのですがなぜ中村氏は正しいのか説明があれば近藤支持者にも客観的材料
を提示できるのではないかと思います。私は中村氏の以前からの愛読者ですのでこの点は重要だと
思います。是非5日以降のブログで発信してください。中村氏と近藤氏は似て非なるものだという
ことを期待している読者は日本中にそれこそ沢山いるはずですから。
よろしくお願いいたします。
Posted by 勅使河原承一郎 at 2014年01月04日 08:27 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: