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ヘンな特養
2014年01月07日(火)
毎日、いろんな相談メールや手紙を頂くが、返事どころか読むこともできす失礼している。
関東地方のある特養では、経鼻栄養にしないと追い出される、という相談が舞い込んだ。
拙書「平穏死10の条件」を嘱託医に読ませて、と返事をしたら、娘さんが相談に来られた。
たとえばこんなメール相談が届くのだ。
もし自分がその立場だったらどうすればいいのか。
この特養の嘱託医と家族はその後も何度も相談したそうだが、
それでも嘱託医は、絶対に「経鼻栄養」しか認めないとのこと。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●●●子と申します。初めてご連絡させていただきます。
私の64歳の若年性認知症の母のことでご相談です。
母は現在、●●市の特別養護老人ホームにおります。
10年ほど前から認知症を発症し、2008年より近所のこの施設に入所、今では私の呼びかけにも全く反応せず意識も定かでない状態です。現在、食事時、口を固く閉ざし受け付けようとしないところを介護人の方が無理やり口をこじあけノドの奥を刺激して飲み込ませている状況です。一昨日施設との面談で、これ以上は誤嚥性肺炎の危険もあるとの理由で、これからも施設にいるなら鼻からの経管栄養に同意するよう迫られました。内臓疾患がないので看取りの段階ではないとの施設の嘱託医である主治医の見解によるものです。しかし、私は、母の尊厳を考え、それはしたくありません。
私は3●歳で一人っ子、●●市在住で0歳、●歳、●歳の子持ちの主婦です。●●市在住の父は入院中で私に一存する意向です。
今回、経管栄養を断ると一刻も早く施設を出るよう言われ途方に暮れています。自然に母の寿命を見守ることを貫くために長尾先生にご相談する次第です。●●で無理なら、関西近郊(尼崎も含め)の療養型病院や自然看取りをしてくれる施設に母を移すことも考えます。また、施設等が探せない場合は私の住んでいるマンションにつれてくるしかないか、とも考えます。つきましては、長尾先生にお会いできるか、または同じお考えの施設か先生を御紹介していただくことは可能か、この点についてご連絡いただけたら幸いです。突然ですが、どうぞよろしくお願い致します。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
このメールの主が、本当に外来に来られた。
遠方からわざわざ、母親を平穏死するために
尼崎に連れてくるという。
もちろん止めたのだが、すぐにでも尼崎まで連れてくると。
本気なのだ。
救急車タクシーといのがあるらしい。
東京から大阪まで、20~30万円もするらしい。
それでも、尼崎のアパートかどこかに連れてくると。
明日、”脱出”しないと病院に入れられてしまう、とも。
それにしても、どんな特養なんだろう?
ご家族と本当によく話し合ったのかな?
つくずく自分の活動は力不足だと思う。
リビングイル協会の役員としても聞き捨てられない話。
実は、これまで同様な人が何人かおられた。
もちろん、みなさん、無事、平穏死された。
家族は大満足。
亡くなって満足なんて、医者としてはちょっと複雑だが・・・
それにしても、穏やかに死ぬだけのために
東京からわざわざ、尼崎まで移送する日本の医療って?
スイスのチューリッヒ郊外にある看取りの家(デイクニタス)に
ドイツやイギリスからやってくるひとを思い出した。
http://www.drnagao.com/pdf/media/jmedj/nihniji120728.pdf
そういえば、今、「母の身終い」というフランス映画が
公開されている。http://www.hahanomijimai.com/
興味のあるひとには見てほしい。
ヘンな特養、ですよね。
でもこれは現実、なのです。
そのための、リビングウイル、なのです。
みなさん、日本尊厳死協会に入っておきましょう。
本部 http://www.songenshi-kyokai.com/
関西支部 http://www.songen-ks.jp/
今年、公益社団法人になる予定です。
そして拙書、「平穏死・10の条件」を必ず読んでください。
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%B9%B3%E7%A9%8F%E6%AD%BB%E3%80%8D-10%E3%81%AE%E6%9D%A1%E4%BB%B6-%E9%95%B7%E5%B0%BE-%E5%92%8C%E5%AE%8F/dp/4893087770/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1341589234&sr=1-1
もし自分がその立場だったらどうすればいいのか。
この特養の嘱託医と家族はその後も何度も相談したそうだが、
それでも嘱託医は、絶対に「経鼻栄養」しか認めないとのこと。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●●●子と申します。初めてご連絡させていただきます。
私の64歳の若年性認知症の母のことでご相談です。
母は現在、●●市の特別養護老人ホームにおります。
10年ほど前から認知症を発症し、2008年より近所のこの施設に入所、今では私の呼びかけにも全く反応せず意識も定かでない状態です。現在、食事時、口を固く閉ざし受け付けようとしないところを介護人の方が無理やり口をこじあけノドの奥を刺激して飲み込ませている状況です。一昨日施設との面談で、これ以上は誤嚥性肺炎の危険もあるとの理由で、これからも施設にいるなら鼻からの経管栄養に同意するよう迫られました。内臓疾患がないので看取りの段階ではないとの施設の嘱託医である主治医の見解によるものです。しかし、私は、母の尊厳を考え、それはしたくありません。
私は3●歳で一人っ子、●●市在住で0歳、●歳、●歳の子持ちの主婦です。●●市在住の父は入院中で私に一存する意向です。
今回、経管栄養を断ると一刻も早く施設を出るよう言われ途方に暮れています。自然に母の寿命を見守ることを貫くために長尾先生にご相談する次第です。●●で無理なら、関西近郊(尼崎も含め)の療養型病院や自然看取りをしてくれる施設に母を移すことも考えます。また、施設等が探せない場合は私の住んでいるマンションにつれてくるしかないか、とも考えます。つきましては、長尾先生にお会いできるか、または同じお考えの施設か先生を御紹介していただくことは可能か、この点についてご連絡いただけたら幸いです。突然ですが、どうぞよろしくお願い致します。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
このメールの主が、本当に外来に来られた。
遠方からわざわざ、母親を平穏死するために
尼崎に連れてくるという。
もちろん止めたのだが、すぐにでも尼崎まで連れてくると。
本気なのだ。
救急車タクシーといのがあるらしい。
東京から大阪まで、20~30万円もするらしい。
それでも、尼崎のアパートかどこかに連れてくると。
明日、”脱出”しないと病院に入れられてしまう、とも。
それにしても、どんな特養なんだろう?
ご家族と本当によく話し合ったのかな?
つくずく自分の活動は力不足だと思う。
リビングイル協会の役員としても聞き捨てられない話。
実は、これまで同様な人が何人かおられた。
もちろん、みなさん、無事、平穏死された。
家族は大満足。
亡くなって満足なんて、医者としてはちょっと複雑だが・・・
それにしても、穏やかに死ぬだけのために
東京からわざわざ、尼崎まで移送する日本の医療って?
スイスのチューリッヒ郊外にある看取りの家(デイクニタス)に
ドイツやイギリスからやってくるひとを思い出した。
http://www.drnagao.com/pdf/media/jmedj/nihniji120728.pdf
そういえば、今、「母の身終い」というフランス映画が
公開されている。http://www.hahanomijimai.com/
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ヘンな特養、ですよね。
でもこれは現実、なのです。
そのための、リビングウイル、なのです。
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この記事へのコメント
女の人が、他家に嫁ぐと、実家の面倒を見るのは、遠慮してしまいますね。
私の母も、父が亡くなる前後に、母の弟に当たる(私には叔父)が本当は脳梗塞から、失語症のなっただけなのに、「アルツハイマー」と診断が出て、騙されて、老健施設に入れられてしまったのです。「姉さん、義兄さんが死んだから、姉さんの家の隅で良いから、置いてくれないか?」と叔父は頼みましたが、母は、父の実家に遠慮して、実の弟を引き取ることができませんでした。父の葬式の疲れと、実家の弟の災難と重なって、二度目のヘルペスに罹患して、その抗ヘルペス剤の副作用で、布団から起き上がれなくなって、「もう死んでも良いわ」と言っていました。
その時点で、叔父の長男が叔父を、神奈川県のケアポートTという巨大老健に転移させてしまって、一年後にノロウイルスで誤燕性肺炎になり、鎌倉の鈴木病院で死にました。
だから、母は父の実家に遠慮したのだなあと思いました。
しかし、この女性の御夫君も、妻が一人娘だと分かって、嫁に貰ったのですから、夫君の実家にも説明して、マンションに引き取るのが一番だと思います。
「未だ、看取りの時期ではない」と医師のお言葉ですが、もう食事ができない状態なのですから、そう長くは生きていらっしゃらないのではと、私は思いました。
マンションに引き取れたら良いですけど、ダメなので、苦しんでいらっしゃるのですね。
御夫君と、ちゃんと御話合いなさったら、分かって貰えるのではと思います。
私には、そういう風にしか考えられません。
Posted by 匿名 at 2014年01月07日 02:17 | 返信
私は■■市在住です。市内には特養が6件あります。もちろんすべて定員の3倍程度の待機者数です。2011年に老親の入所の件で電話で問い合わせたところ、6件のうち3件は看取りまでお世話いただけるとのことでした。
残り3件は、「何かあったら救急車」で、じわじわ食べれなくなったらどこかへ入院、あるいは医療型介護施設へ移動。そのうちの1件は「母体病院で胃瘻にすれば施設へ戻れますよ。」という回答でした。
病院が社会福祉法人を作って特養を経営し、その入所者が食べれなくなったら自分の病院で胃瘻にすることを継続入所の条件としているのです。
これは、胃瘻の強制以外の何物でもありません。
「看取りまでお世話いただける」と答えた施設も、その具体的な内容は施設によって異なるのだ、ということを、(隣の市に新設された)特養へ家族を入所させてきた現在は、理解できます。それは、施設によって異なる、というよりも、嘱託医次第でどうにでもなるということです。
特養は、嘱託医が支配している施設です。
嘱託医の指示に異を唱える人間は存在できません。
ウチも、嘱託医と嘱託医に盲従する看護師達の非人間性に耐え切れず特養を逃げ出しました。
間もなく死ぬであろう母を、全国規模で経営している有料老人ホームが引き受けてくれました。
ウチを引き受けてくれたホームの管理者は、「インフォームドコンセントができない医者とは契約していない」と明言しています。(医療者が医療行為に際してインフォームドコンセントをするのは当たり前のことなのですけど、当たり前のことをしないのが当たり前なのが特養です。)
ウチの経済ではその有料老人ホームに長期滞在させることは不可能ですが、母はまもなく死ぬことがわかっていたので、母が死ぬまでの間だけ、そこでお世話になりました。同じ特養に居た父も、母の隣室へ入れてもらって、ベッドは母の部屋に二つ入れて父も同じ部屋で寝起きして、最期は父とホームの看護師さんが看取ってくれました。
前日の夜から下顎呼吸が始まっていました。翌朝、ストンと呼吸が落ちて止まって、特には苦しまなかったとのことです。抹消点滴はお願いしましたが経管栄養も酸素マスクもつけずに逝きました。
特養に居たとしても、同様な最期だったかもしれません。しかし、私は、あの人達の居る所で、母を死なせたくなかった。あの特養の医師も看護師も経営者も、人の心を持っていない。
その特養での詳細な経過を、メモにとどめてあるので、それをどうすべきか、迷っています。
納得できない気持ちと、爭い事が嫌いだった母はきっと、もう忘れろ、と言ってるだろうな、という気持ちと。貴重な私の人生、もっと他にやるべきことがあるだろう、という気持ちも。
母を引き受けてくれた有料老人ホームには、心から感謝しています。でも、残った87歳の父はまだまだ生きそうなので、もう少し費用がかからないホームに移さなければ貯金を使い果たして95歳で生活保護、なんて、笑えません。そういえばこの前、雑魚寝状態の老人ホーム火災のニュースで、被害者の一人が「102歳」と載っていて、言葉を失いました。
費用と同時に悩みの種は、またしても医者です。その老人ホームの嘱託医がどんな医者なのか、その前に、居室のベッドで死なせてくれるホームを見つけるのが至難の業である、のが現状です。
でももう、特養へ入れたいとは思いません。特養というのは、医者がやりたい放題やれる施設です。薬の実験場にもなり得る施設です。
長尾先生、●●●子さんのお母上が入所された特養だけが「ヘン」なのではなく、「ヘン」な特養はあちこちにあります。特養とは医者に支配されている施設の代表なのです。
もう投稿はやめようと思いつつ、長尾先生に実態を少しでも知っていただきたいと思いました。
Posted by komachi at 2014年01月07日 04:50 | 返信
「平穏死サポーター」と 自称する事となった 某・場末事業所 です・・・。
「看取る」「お世話する」って言葉を 医療介護の業界で用いますが・・・何か「上から目線」ですし、何よりも 「死を待ってる・・・様な」感じがして 居心地・雰囲気等 がしっくりしないですから・・・。
これからは・・・
「平穏(死)サポーター(ズ)」 として 徒党を組みませう。 志を一にする 各々方と共に・・・。 その 一助 となれば。
Posted by 駆け込み寺 at 2014年01月07日 10:16 | 返信
恐らく、このお話に出てくるご家族の移動のお手伝いをさせて頂いた運転手です。
今回は私としても異例の長距離移動のご依頼でしたし、急なお話でしたのでギリギリ準備が間に合い、なんとか対応させて頂きました。長い道中でしたので、先生がお書きになった通りのお話もお嬢様からお聞きしました。正に究極の選択だと思いましたが、同時にこのような選択を強いる我が国の現状にも改めて大きな疑問を抱きました。このような仕事で生計を立てている私も私ですが、つい先ほどお嬢様からその後の状況についてご連絡を頂き、今回の結果にとても満足していますと仰って頂けたのが救いです。
Posted by 救急車タクシーの運転手 at 2014年01月18日 09:39 | 返信
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