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ノロウイルスと正露丸

2014年01月11日(土)

今朝の産経新聞兵庫版には今流行しているノロウイルスについてもう少し書いてみた。
ノロノロ言わなくても大丈夫、2食抜いて水分をチビチビやっていたら勝手に治るから。
もし飲むなら、正露丸が役に立つ。
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産経新聞ウイルスシリーズ第4回  しぶといノロウイルス

                 「吐き下し」への対処方法

 

 嘔吐や下痢を訴えて受診される方が増えています。感染性胃腸炎と診断します。多くはおそらくノロウイルス感染だと思いますが、私はできるだけノロウイルスという言葉を使わないようにしています。それは「ノロウイルス」と聞いただけで、パニックになる人がいるからです。学校や会社から診断書をもらって来なさいとか、何日休めばいいのかとか、同僚や家族にうつらないのかなど、まるで死に至る怖い病気のような誤ったイメージを持っている人がおられるのです。


 感染性胃腸炎はほぼ「急性胃腸炎」と同義です。似たような言葉に「お腹の風邪」や「吐き下し」という言葉も使いますが、どこかウイルス性というニュアンスを含みます。そもそも感染性胃腸炎は病名ですが、ノロウイルスは微生物名です。いずれにせよ、この季節の嘔吐や下痢は、わざわざノロノロ言わずに、昔ながらの「吐き下し」でいいではないかと私は考えています。


 そうは言っても施設や会社や家族内での集団感染を防止するのは、排便後のこまめな手洗いや吐物の消毒が大切です。石鹸や洗剤で充分です。ただノロウイルスは高温環境にも低温環境にもたいへん強いウイルス。30度C1時間くらいの軽い過熱処理では死滅しません。また4度Cの低温でも1週間位は安定です。食べ物であれば85度以上1分間の過熱でノロウイルスは死滅します。またタオルなどの共同使用はやめましょう。消毒には塩素系消毒薬を用います。もし床の上に嘔吐したらウエットテイシュ等でかき寄せて塩素系消毒薬をかけてください。ビニール手袋をしてゴミ袋に入れた後に、間違っても床や絨毯に掃除機をかけないでください。以前、ホテルの渡り廊下にあった吐物をスタッフが処理した後に掃除機をかけてしまい、そこを通ったお客さんたちがノロウイルスに集団感染したという事件がありました。掃除機でウイルスを空気中に拡散さないようにしてください。


 さて、吐き下しの症状にどう対処すればいいのか。私は2食抜いて、スポーツドリンクをチビチビ飲んで水分補給だけして胃腸を休めてください、と説明しています。いわゆる下痢止めは、腸の蠕動を止めてしまうので使わないほうがいい。昔からある有名な正露丸(これは商品名ではなく一般名)にはいろいろな商品がありますが、腸管の動きを止めないタイプであれば飲んで構いません。まさに医者要らずで役に立ちます。しかし小児や高齢者など、脱水がひどい場合は医療機関で点滴を行います。もし血便がみられたらば別の病気です。また慢性的な下痢であれば、過敏性腸症候群の可能性もあります。


 この季節の軽い吐き下しであれは自己管理だけでもよいでしょう。軽い風邪や軽い吐き下し程度では、薬局に済ませて医療機関に行かない人が増えています。こうした自己管理は、セルフメデイケーションともいいますが、今後、重要になってくる考え方です。いまだに風邪でいきなり大病院を受診される人がいますが、医療資源の使い方が間違っています。迷った時は、まず近所のかかりつけ医に相談してください。正月明けからインフルも流行ってきましたので、併せてご注意ください。

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この記事へのコメント

私は、数年前、毎年ノロウイルスで、トイレで、上げ下げして苦しかった記憶があります。

老人が誤燕性肺炎になるのは、このトイレに行くのが、おっくうで、寝床の中で、我慢しているうちに、嘔吐した時に、吐瀉物が気管に入ってしまうからではないかと、思っています。
誤燕性肺炎にならないようにさえすれば、苦しいけど安全なのではと思います。
母の担当だったお医者さんに、「シャワレットが案外ノロウイルスの伝搬に原因になっている」と言われて、気をつける様ににしました。
台所のスポンジも、熱湯消毒するようにしています。
征露丸が良いとは知りませんでした。
征露丸って、飲むとクレオソートの匂いがしますね。
お腹を消毒してくれるから、効くのかも。
ロシアを征服する薬(笑)。

Posted by 特命 at 2014年01月12日 02:53 | 返信

浜松市のノロウイルス集団感染で、世間ではかなりのパニック状態です。
 長尾先生のブログを思い出し、今読み返しました。大いに納得です。ありがとうございました。
 TVでは、その筋の専門家らしき方々が、オウム返しのように、手洗いや消毒法を述べておられますが、100%予防したり消毒したりするのは困難です。おそらく、専門家の方々も私ども素人と似たり寄ったりでしょう。
 私たちは、無菌環境では生き抜くことはできません。自己の免疫力や細胞の抵抗力を突破されたら、ひとまず白旗をかかげて、息を吹き返すまで安静または絶食するのがよいかもしれません。年がら年中、自分の体内にも周辺にも、さまざまな細菌やウイルスと共存・共生し、お世話にもなっているのですから。

Posted by 鍵山いさお at 2014年01月20日 05:47 | 返信

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