- << インフル往診
- HOME
- 見えない糸でつながっている >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
患者に寄り添う心臓カテーテル治療
2014年02月09日(日)
冠状動脈に留置するステント治療だが、昔の風船治療に回帰しようとしている。
循環器の領域でも寄り添う医療への転換の兆しがハッキリ読みとれた講演だった。
「日本におけるPCIの現状」という演題の
岐阜ハートセンター上野勝己先生の講演を拝聴。
心臓は単一の臓器としては、死因の第一位の臓器である。
心臓の表面の血管が詰まる理由には
・器質的狭窄と
・スパスムによるもの(エルゴノミン負荷)、があるが
後者は軽視されがちだ。
もちろん両者の合併もある。
心筋梗塞は、寒い朝に多い、という事実は今も不変。
この季節の朝が危ない。
発症後3時間以内に治療開始すれば死亡率が下がる。
病院到着までに平均60分として、
病院到着から90分以内に処置をしたい。
日本のPCI症例数は、1年間に24万例だという。
PCIとは心臓の冠動脈ににカテーテルを入れて治療すること。
ステント治療(ドカンを入れる)は、どんどん進化している。
ステント内に血栓ができ易いので、できにくい仕組みの
ステントがどんどん開発されてきた。(薬剤溶出性ステント)
エンデバーステントを入れた方は2つの抗凝固剤が必要だが、
3ケ月たつとバイアスピリンのみでよくなる。
しかしそもそもステントを入れないと、ステント内血栓の
悩みは無くなる。
すなわち風船治療(ステントレス)、なのだが、
風船治療の予後は決して悪くない、と見なおされている。
異物(ステント)が無いほうがいいに決まっているのだ。
新しいDrug- Elution Balloon(DEB)の予後はいい。
関西労災病院ではPCI症例は年間400例。
岐阜ハートセンターでは800例だそうだが、
バルーン(風船)だけでお終わるのは5~10%と。
長期的に見た患者の利益を考えた治療へ。
心筋のリバースモデルリングは、風船のほうがいいが、
冠動脈にもいいようだ。
心臓の血管もラジカルにやるのがいいとは限らず、
優しく寄り添う医療へと風向きが変わってきた。
在宅医療のみならず、高度急性期病院の治療も、
優しい処置、薬を少なくする医療に向かっている。
がんも循環器も同じだ。
キュアからケアという思想は、先進医療にもあてはまる。
超高齢社会に直面し、先進医療さえも大きな転換期に
来ていることを肌で感じた。
- << インフル往診
- HOME
- 見えない糸でつながっている >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
昨日の千葉のカルチャーセンターに参加させて頂き大変感動しました。医者の選び方って大変なんですね。先生のような医者巡り会うにはどうしたらいいのでしょうか。
Posted by 藤井恵子 at 2014年02月14日 08:22 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: