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便潜血陽性を放置しないで

2014年03月15日(土)

便潜血検査陽性を放置していて、あとになって泣いている人をみた。
イヤだろうが、できれば大腸内視鏡検査を受けて欲しい。
せめてS状結腸ファイバーだけでも、と今日の産経新聞に書いた。
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産経新聞検診シリーズ第4回  大腸がん検診

               便潜血陽性なら大腸内視鏡検査を

 

今日は「大腸がん検診」について考えてみましょう。大腸がんは現在、日本人のがんの第2位。大腸がんの特徴は、第一に外見からはがんがあることが分かりにくいことです。胃がんの場合は、徐々に痩せてくるなど胃がん特有の顔つきが知られています。しかし大腸がんは、少しポチャッとして血色のいい人に多いので、すっかり“騙されて”しまうことがよくあります。大腸がんの症状としては、血便、便秘、便通異常が有名ですが、かなり進行した大腸がんがあっても無症状のことがよくあります。第二に大腸がんの特徴としては他の臓器のがんより比較的おとなしく、たとえ肝臓や肺や脳に転移巣が認められてもそれらも手術で取り除けば、完治してしまうことが現実にあることです。通常は、遠隔転移があればがんを完全に治すのは難しいのですが、大腸がんだけはちょっと例外的です。言葉が適当でないかもしれませんが、“助かる範囲”が広いのが大腸がんです。それだけに、町医者にとって見つけがいがあるがんである、ともいえます。

 
 さて通常、大腸がん検診として「便潜血検査」が行われています。これは、出たばかりの便に小さな棒を接触させて微量の血液を検出する検査法です。通常、2回行い、1回でも陽性であれば「陽性」と判断します。細かい話ですがプラスかマイナスかという定性法と数字で表わされる定量法があります。いずれにせよ1回でも便潜血検査で陽性になった人は放置しないでください。なぜならそのグループの中には沢山の腸の病気が混じっているからです。もちろん便潜血陽性=大腸がん、とは限りません。大腸ポリープや痔のことの方が多いのが実際です。しかし便潜血検査で、無症状の大腸がんが発見されて命が助かった人が沢山います。便潜血検査による大腸がん検診の有効性は科学的に確認されていますので、信頼性の高い検診法であると言えるでしょう。

 
 問題は、便潜血陽性の次の検査です。それには、お尻からバリウムを入れる注腸造影検査と内視鏡内視鏡検査の2とおりがあります。実はカプセル内視鏡やCTを用いたバーチャル内視鏡という患者さんに負担が少ない新しい検査法が研究開発されていますが、まだ一般化していません。私は高齢者には注腸造影を行うことがありますが、通常は内視鏡検査を勧めます。もし注腸造影をしても異常が疑われればまた内視鏡検査をやらないといけないからです。それは患者さんに2度手間をかけることになるという気もあって、最初から専門医による内視鏡検査を勧めています。

 
 大腸内視鏡検査の弱点は、第一に前処置がやや煩わしいことです。前日から検査食を食べて当日に大量の下剤を飲むのは大変です。第二に痩せている人やお腹の手術の既往による癒着がある人は、内視鏡検査が多少の苦痛を伴う場合があります。もちろん術者の技能も左右します。内視鏡検査を嫌がる人や、前回の内視鏡検査が辛かったという人には、「S状結腸ファイバー」を勧めています。浣腸をするだけで大腸がんの一番でき易い、直腸やS状結腸を簡単に観察できるので「怖がり屋さん」には超お勧めです。放置する位なら、せめてS状結腸ファイバーだけでも受けてください。

 

キーワード 便潜血検査

食事制限の必要がなく、便中のヒト由来のヘモグロビンに特異的に反応を示す免疫学的便潜血検査(免疫法)。化学法と免疫法があるが最近は免疫法が主流で、大腸がん検診に広く用いられている。

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この記事へのコメント

私の父が、息切れがひどくて疲れて、しかも心筋梗塞の既往歴もあるので、循環器科に連れて行きました。そしたら、毎日毎日、便の潜血検査を実施して、「大谷さん、貴方は大腸に、何かあるみたいですから、胃腸外科で、精密検査して下さい」と言われました。
胃腸外科で、内視鏡検査で「上行結腸癌」と診断されました。それから、肛門から空気を入れて、MRIとCTスキャンで、正確な位置を確定して、市民病院で手術して、完治しました。でも、タバコを止めなかったので、その年の暮に、耳下腺腫瘍になって、その時は、労災病院で、手術しました。上行結腸癌と同じ種類の癌だったのかは不明です。
がん楽会での京都のお医者さんが「タバコを吸っている人は大腸がんのなり易い」と、仰っていたので、ほんとにその通りだなと思いました。

Posted by 大谷佳子 at 2014年03月16日 01:53 | 返信

父は91で独居、しぶとく生きていますが、胃弱、母方は、母がS状結腸穿孔、叔父が大腸癌で亡くなっているので、50代突入前から、年一回、胃と大腸内視鏡検査&エコーで検査できる内臓チェックに、胃腸専門クリニックに行ってます。乳癌、婦人科癌も年一回行ってます。
1日一度は通じがあるのですが、検査食を食べ、当日下剤2L飲むのは平気、下剤がある程度効いてしまうと、検査OKが出るまでにえらく時間がかかるので大変です(T-T)。
一度は朝一番に行って帰りが夕方になったことも。看護師さんとも年一回なのに、すっかり顔馴染み、「今年は早くすむと良いですね」なんて言われながら、検査OKまでがんばります。
検査は軽く麻酔状態ですが、今入っているなと感じながら、気がつけばベッドで昼寝。胃は良性ポリープがあるので経過観察、大腸もOKが出て、内臓内部は綺麗だなと感動、規則正しく生活しなくてはと反省し、直ぐ忘れてしまうのがマズイところです。
皆さん、恥ずかしいと思うのは自分だけ、ぜひ受けて下さい。自分の内臓内部はなかなか綺麗ですよ。

Posted by 匿名小畑ふみこ at 2014年03月16日 10:17 | 返信

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