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ピロリ菌退治と胃がん予防
2014年05月18日(日)
5月17日掲載の第三話は、「ピロリ菌退治と胃がん予防」について触れた。
ピロリ菌を退治すると、胃がんになる確率が3分の1になる。
若い人でピロリ菌陽性の人は、機会があれば退治しておいたほうが得だと思う。
ピロリ菌を退治すると、胃がんになる確率が3分の1になる。
若い人でピロリ菌陽性の人は、機会があれば退治しておいたほうが得だと思う。
産経新聞・胃腸シリーズ第3話 慢性胃炎のピロリ菌退治
胃がんになる確率が3分の1に
胃がんの予防が健康保険で可能になりました。胃がんはかつてはがんの第一位で、日本人に最も多いがんでした。肺がんに抜かれたとはいえ現在も胃がんはまだまだ“ありふれた”がんです。しかしピロリ菌を除菌すると胃がんになる確率が3分の1に減ります。そこで昨年からピロリ菌陽性の慢性胃炎にも除菌療法が保険適応になりました。
よく「親が胃がんだったから心配なので胃カメラを受けたい」と希望する方がおられます。たしかに明らかに遺伝性と思われる胃がんもあります。一般的に50歳以下でなるがんは、おそらくがん遺伝子の深い関与が強い。またタバコやストレスなどの影響が考えられます。胃がんの発生機序もいろいろです。しかし多くの胃がんの発生に、最も密接に関与していると認定されているのがピロリ菌。ピロリ菌感染→急性胃炎→ピロリ菌定着→萎縮性胃炎→胃がんの発生、という一連の機序が想定されています。ですからピロリ菌を退治すると胃がんになる確率が大幅に低下するのです。
20年前私は大学病院で、ヒダの太い胃袋に関する研究をしていました。胃透視で胃袋のヒダの太い人を集めて胃から出るホルモンを測定して論文を書き学位を頂きました。後にヒダが太い胃袋は、ピロリ菌に感染している胃袋であることが分かりました。そしてピロ菌を退治すると、胃のヒダが細くなり胃炎も改善することも分りました。ですから胃透視の写真にある胃のヒダの太さを見れば、ピロリ菌に感染しているかどうか大体分かります。また内視鏡で見るだけでも感染の有無が大体分かります。一見して粘膜が綺麗でヒダが正常な胃袋にはピロリ菌はいないことが多いです。もちろん正式には、内視鏡で胃粘膜を少しだけ採取して行う迅速ウレアーゼ試験(CLOテスト)や内視鏡を使わない尿素呼気試験(UBT)でピロリ菌の有無を診断します。
さて、内視鏡で早期胃がんが発見された場合、多くが内視鏡手術や腹腔鏡手術で完治する時代です。しかし残った胃袋に再び新たに胃がんができることがあります。ですから外科手術や内視鏡手術の後でも、できればピロリ菌を調べて除菌をしておくことをお勧めします。
除菌療法とは、除菌用のお薬セットを朝晩に1週間飲むだけです。副作用としては1割に下痢などが知られています。ただし、除菌の成功率は薬剤耐性のため年々下がり現在では6~7割程度です。終了後、1ケ月以上を空けてから必ず除菌が成功したを必ず検査してください。もし除菌に失敗していても大丈夫。そのような人のために、ちゃんと「二次除菌」のためのお薬セットも保険適応になっています。つまりもし一次試験で不合格でも、追試を受ければ最終的に合格する人が9割以上なのです。胃がんの予防が健康保険で可能な時代になったことは福音です。しかしそもそも日本人の半分がピロリ菌を保有。高齢者に多く若年者に少ない。従って、若い人ほど除菌の意義は大きいです。潰瘍の再発防止と胃がんの予防ができます。もし自覚症状があって内視鏡検査を受ける時には、専門医とよく相談してピロリ菌も調べてもらって下さい。
キーワード 迅速ウレアーゼ試験(CLOテスト)
ピロリ菌の有無を調べる検査法のひとつ。採取した少量の胃粘膜組織を寒天ゲルの中に置くと、もしピロリ菌がいれば酵素の働きでpHが上昇してゲルの色が黄色から赤色に変化する。
胃がんになる確率が3分の1に
胃がんの予防が健康保険で可能になりました。胃がんはかつてはがんの第一位で、日本人に最も多いがんでした。肺がんに抜かれたとはいえ現在も胃がんはまだまだ“ありふれた”がんです。しかしピロリ菌を除菌すると胃がんになる確率が3分の1に減ります。そこで昨年からピロリ菌陽性の慢性胃炎にも除菌療法が保険適応になりました。
よく「親が胃がんだったから心配なので胃カメラを受けたい」と希望する方がおられます。たしかに明らかに遺伝性と思われる胃がんもあります。一般的に50歳以下でなるがんは、おそらくがん遺伝子の深い関与が強い。またタバコやストレスなどの影響が考えられます。胃がんの発生機序もいろいろです。しかし多くの胃がんの発生に、最も密接に関与していると認定されているのがピロリ菌。ピロリ菌感染→急性胃炎→ピロリ菌定着→萎縮性胃炎→胃がんの発生、という一連の機序が想定されています。ですからピロリ菌を退治すると胃がんになる確率が大幅に低下するのです。
20年前私は大学病院で、ヒダの太い胃袋に関する研究をしていました。胃透視で胃袋のヒダの太い人を集めて胃から出るホルモンを測定して論文を書き学位を頂きました。後にヒダが太い胃袋は、ピロリ菌に感染している胃袋であることが分かりました。そしてピロ菌を退治すると、胃のヒダが細くなり胃炎も改善することも分りました。ですから胃透視の写真にある胃のヒダの太さを見れば、ピロリ菌に感染しているかどうか大体分かります。また内視鏡で見るだけでも感染の有無が大体分かります。一見して粘膜が綺麗でヒダが正常な胃袋にはピロリ菌はいないことが多いです。もちろん正式には、内視鏡で胃粘膜を少しだけ採取して行う迅速ウレアーゼ試験(CLOテスト)や内視鏡を使わない尿素呼気試験(UBT)でピロリ菌の有無を診断します。
さて、内視鏡で早期胃がんが発見された場合、多くが内視鏡手術や腹腔鏡手術で完治する時代です。しかし残った胃袋に再び新たに胃がんができることがあります。ですから外科手術や内視鏡手術の後でも、できればピロリ菌を調べて除菌をしておくことをお勧めします。
除菌療法とは、除菌用のお薬セットを朝晩に1週間飲むだけです。副作用としては1割に下痢などが知られています。ただし、除菌の成功率は薬剤耐性のため年々下がり現在では6~7割程度です。終了後、1ケ月以上を空けてから必ず除菌が成功したを必ず検査してください。もし除菌に失敗していても大丈夫。そのような人のために、ちゃんと「二次除菌」のためのお薬セットも保険適応になっています。つまりもし一次試験で不合格でも、追試を受ければ最終的に合格する人が9割以上なのです。胃がんの予防が健康保険で可能な時代になったことは福音です。しかしそもそも日本人の半分がピロリ菌を保有。高齢者に多く若年者に少ない。従って、若い人ほど除菌の意義は大きいです。潰瘍の再発防止と胃がんの予防ができます。もし自覚症状があって内視鏡検査を受ける時には、専門医とよく相談してピロリ菌も調べてもらって下さい。
キーワード 迅速ウレアーゼ試験(CLOテスト)
ピロリ菌の有無を調べる検査法のひとつ。採取した少量の胃粘膜組織を寒天ゲルの中に置くと、もしピロリ菌がいれば酵素の働きでpHが上昇してゲルの色が黄色から赤色に変化する。
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この記事へのコメント
長尾先生のブログを見てピロリ菌に検査が重要と思い、検査を受けました。
結果は、ピロリ菌はいないけど、逆流性食道炎で、食道の下部に、大きなビランがあるそうです。ピロリ菌がいたら、胃がんの素になるそうで、「来年も来て、検査したほうがいい」と言われました。超音波では「脂肪肝」と言われました。
少しダイエットしなければいけないと思いながら、父方の叔母に、似て来て、太る体質みたいです。
薬剤師さんに、「海の水を飲んだのに、ピロリ菌がいなかった」と言うと、「海の水に、ピロリ菌はいません。井戸水に、比較的多くいるのです」と仰ったので、びっくりしました。
「私の叔母がピロリ菌がいるので、抗生物質を飲んでいるのに、ピロリ菌が減らないといっているのですが、何故でしょうか」と聞くと、「過去に、抗生物質を大量に長期間服用した人は、抗生物質が、効きにくい事はあります。でも、何らかの方法で、ピロリ菌を減らすことはできると思います」との事でした。
叔母は、若い頃結核に罹患して、抗生物質を飲んだ可能性はあります。
叔母が、胃がんにならないようにと、願っています。
Posted by 大谷佳子 at 2014年05月19日 02:00 | 返信
勉強になりました。
医学の発達は、人々の健康に寄与するところが大ですね。
私はポリープが、5~6ヶありましたので、一つ検査しましたが、おかげさまで、この度は、癌ではありませんでした。
関東地区に住んでいます叔母が心配です。
なんとかピロリ菌を、減らしてくれるお薬が、合えば良いのですけど。
Posted by 大谷佳子 at 2014年05月20日 10:49 | 返信
初めまして、さっそくですがピロリ菌がいるかどうかまず検査をしてもらいたいのですがどこの病院に行けばいいか分かりません そして費用はいくら位か教えてもらいませんか
Posted by 川本一孫 at 2015年03月02日 02:25 | 返信
宝塚では、阪急南口駅の宝塚ホテルの道路を挟んで、西側の谷村胃腸外科(メディカルスクウエア)で検査して貰いました。
大腸がん検査も、麻酔をかけるので、全く痛みはありません。
電話による予約が必要です。
費用は、健康保険が、使えるので、かなり安かったです。
正確には忘れました。千円くらいだったでしょうか。
Posted by 匿名 at 2015年03月03日 03:04 | 返信
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