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ピロリ菌除菌は慢性胃炎にも保険適応
2014年05月18日(日)
5月10日の産経新聞には、ピロリ菌除菌療法が胃・十二指腸潰瘍のみならず
慢性胃炎にも保険適応になったことについて書かせて頂いた。
理由は、もちろん除菌療法は胃がん予防に寄与するからだ。
慢性胃炎にも保険適応になったことについて書かせて頂いた。
理由は、もちろん除菌療法は胃がん予防に寄与するからだ。
産経新聞胃腸シリーズ第2回 ピロリ菌を退治する理由
胃・十二指腸潰瘍のみならず慢性胃炎も
焼き肉屋さんに行くと必ずホルモンがあります。牛には胃が4つありそれぞれミノ、ハチノス、ゼンマイ、ギアラと呼ばれていますが、結構コリコリしていますね。一方、人間の胃は1つで強固な袋です。強い酸性環境にある胃袋の中に細菌など住める訳が無い、長い間そう信じられていましたが、1983年にその定説が覆されました。オーストラリアの研究者ウオレンとマ―シャルにより、胃の中に細菌が存在することが発見されました。なんと人の胃から取り出した細菌を培養してマーシャル自身が飲んでみたのです。その夜激しい胃の痛みでのたうち回ったと記載されています。急性胃炎を起こしたのです。その細菌は「ヘリコバクターピロリ菌」と命名され、発見者2人は2005年にノーベル賞を受賞しました。その後の研究で、日本人の約半分がピロリー菌を保有していること、保有率は若年層では低く、高齢者では半分を超えること、衛生状態の改善で保有率はそれぞれの年代とも年々低下していることなどが分っています。
さて、ピロリ菌が深く関係する病気として胃潰瘍と十二指腸潰瘍が知られています。大ざっぱにいうと十二指腸潰瘍の患者さんでは9割以上、胃潰瘍では7~8割がピロリ菌を保有しています。この2つの病気は、潰瘍の再発を繰り返すが最大の特徴です。一昔前は外科手術していたものが、H2ブロッカーやPPIの登場で飲み薬で潰瘍は簡単に治るようになりました。しかし再発を防ぐことは困難でした。ところがピロリ菌を除菌すると再発率が10分の1に下がるのです。すなわちお薬での治療は対症療法にすぎず、ピロリ菌の退治が根治療法であるとも言えます。多くの胃・十二指腸潰瘍は感染症なのです。ですから胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断されたら、必ずピロリ菌の有無を調べてもらい、もし陽性ならば潰瘍が治ってからでもいいので除菌療法まで受けてください。
昨年、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に加えてピロリ陽性の慢性胃炎にも除菌療法が保険適応になりました。ピロリ菌は慢性胃炎を起こし、それが胃がんの発生と関係があるからです。しかしピロリ菌があると全員が胃がんになる訳ではありません。ピロリ菌を持っている人の方が持たない人より胃がんになる確率が数倍高いという意味です。なにせ日本人の半数がピロリ菌を有しているので全員を除菌するのは現実的には難しく、若い人ほど除菌の対象になります。
さて、「胃がんになりたくないからピロリ菌の退治するお薬を処方して下さい」と言って受診される人が増えています。しかしそんな単純ではありません。まずは胃がんが無いかを内視鏡で確認する必要があります。もし胃がんがあれば、ピロリ菌のことはさておき、がんの治療が優先します。第二に本当にピロリ菌がいるかどうかを確認する必要があります。ピロリ菌が居ない人に除菌薬を飲ませる訳にはいきません。ピロリ菌の有無を調べる方法としていくつかの方法が保険適応になっています。専門施設では、胃カメラを飲んだ時に胃粘膜を少し採取して小さな培地に入れて判定するCLOテストや、特殊なお薬を飲んだ後に吐いた息を採取して調べる尿素呼気試験(UBT)が使われています。(続く)
キーワード 尿素呼気試験(UBT)
内視鏡を用いずに胃内にピロリ菌がいるかどうかを調べる検査。絶食で検査液を飲み5分間左を下にして横になったあと15分間座り、専用のバックに息を吐き出す。吐息の中に含まれる13CO2を測定し、胃内のピロリ菌の有無や量を推定する。
胃・十二指腸潰瘍のみならず慢性胃炎も
焼き肉屋さんに行くと必ずホルモンがあります。牛には胃が4つありそれぞれミノ、ハチノス、ゼンマイ、ギアラと呼ばれていますが、結構コリコリしていますね。一方、人間の胃は1つで強固な袋です。強い酸性環境にある胃袋の中に細菌など住める訳が無い、長い間そう信じられていましたが、1983年にその定説が覆されました。オーストラリアの研究者ウオレンとマ―シャルにより、胃の中に細菌が存在することが発見されました。なんと人の胃から取り出した細菌を培養してマーシャル自身が飲んでみたのです。その夜激しい胃の痛みでのたうち回ったと記載されています。急性胃炎を起こしたのです。その細菌は「ヘリコバクターピロリ菌」と命名され、発見者2人は2005年にノーベル賞を受賞しました。その後の研究で、日本人の約半分がピロリー菌を保有していること、保有率は若年層では低く、高齢者では半分を超えること、衛生状態の改善で保有率はそれぞれの年代とも年々低下していることなどが分っています。
さて、ピロリ菌が深く関係する病気として胃潰瘍と十二指腸潰瘍が知られています。大ざっぱにいうと十二指腸潰瘍の患者さんでは9割以上、胃潰瘍では7~8割がピロリ菌を保有しています。この2つの病気は、潰瘍の再発を繰り返すが最大の特徴です。一昔前は外科手術していたものが、H2ブロッカーやPPIの登場で飲み薬で潰瘍は簡単に治るようになりました。しかし再発を防ぐことは困難でした。ところがピロリ菌を除菌すると再発率が10分の1に下がるのです。すなわちお薬での治療は対症療法にすぎず、ピロリ菌の退治が根治療法であるとも言えます。多くの胃・十二指腸潰瘍は感染症なのです。ですから胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断されたら、必ずピロリ菌の有無を調べてもらい、もし陽性ならば潰瘍が治ってからでもいいので除菌療法まで受けてください。
昨年、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に加えてピロリ陽性の慢性胃炎にも除菌療法が保険適応になりました。ピロリ菌は慢性胃炎を起こし、それが胃がんの発生と関係があるからです。しかしピロリ菌があると全員が胃がんになる訳ではありません。ピロリ菌を持っている人の方が持たない人より胃がんになる確率が数倍高いという意味です。なにせ日本人の半数がピロリ菌を有しているので全員を除菌するのは現実的には難しく、若い人ほど除菌の対象になります。
さて、「胃がんになりたくないからピロリ菌の退治するお薬を処方して下さい」と言って受診される人が増えています。しかしそんな単純ではありません。まずは胃がんが無いかを内視鏡で確認する必要があります。もし胃がんがあれば、ピロリ菌のことはさておき、がんの治療が優先します。第二に本当にピロリ菌がいるかどうかを確認する必要があります。ピロリ菌が居ない人に除菌薬を飲ませる訳にはいきません。ピロリ菌の有無を調べる方法としていくつかの方法が保険適応になっています。専門施設では、胃カメラを飲んだ時に胃粘膜を少し採取して小さな培地に入れて判定するCLOテストや、特殊なお薬を飲んだ後に吐いた息を採取して調べる尿素呼気試験(UBT)が使われています。(続く)
キーワード 尿素呼気試験(UBT)
内視鏡を用いずに胃内にピロリ菌がいるかどうかを調べる検査。絶食で検査液を飲み5分間左を下にして横になったあと15分間座り、専用のバックに息を吐き出す。吐息の中に含まれる13CO2を測定し、胃内のピロリ菌の有無や量を推定する。
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