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増加する逆流性食道炎

2014年05月18日(日)

逆流性食道炎が、この20年間、急増している。
特効薬があるものの、食事療法などの生活改善も大切だ。
5月3日から産経新聞の連載は「胃腸シリーズ」になった。第1~3話を御紹介したい。
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産経新聞・胃腸シリーズ第一話   増加が著しい逆流性食道炎
                       特効薬の前に食生活の見直しを
 
 今日から8回、よくある胃腸病について私なりに解説してみます。私は“なんでも屋”を自認していますが、専門といえば実はこの領域です。

 「胸やけ」や「酸っぱいものが上がっている」という症状を訴える方が増えています。その多くは逆流性食道炎(GERD)です。そもそも私の学生時代の教科書にはこんな病気は載っていませんでした。しかし最近、食生活の欧米化に伴い増加が著明。命に関わるものではありませんが、生活の質(QOL)が損なわれる病気です。なかには、「喉がイガイガする」とか「変な咳が続く」といった症状の方もおられますので要注意。プロトンポンプ阻害薬(PPI)という特効薬を飲むと、嘘のように症状が治まるのがこの病気。しかし症状が治まっても必ず一度は内視鏡検査を受けて下さい。というのも、本当に逆流性食道炎であるのか、そしてそれはどんな程度なのか、さらには食道がんでは無いのかなどを確認する必要があるのです。とはいえ、内視鏡で食道を観察しても何の変化もない人が大半であるのもこの病気の特徴。裏を返せば、内視鏡で診て明らかに食道が荒れていれば、中等度~重症の逆流性食道炎と言えるでしょう。

 治療にはPPIという特効薬があるので困ることはほとんどありません。むしろ、逆流性食道炎という診断に辿りつくまでに相当な時間がかかる人が時におられます。たとえば「喉にエヘン虫がいる」という悩みの原因が分かるまで耳鼻科、呼吸器科、外科、内科など10軒位の医療機関を受診された方がおられました。ちなみに逆流性食道炎の専門といえば、消化器科です。
 
 PPIには投与期間が8週間までその後、半量に減じるというという縛りがある薬とずっと同じ容量を飲めるタイプの薬の両方があります。どれも1回飲めば24時間効いています。食道が敏感な方は、「飲んでから薬が効いてくる感覚が分かる」という人もいます。PPIは、胃酸が出るのを抑える最も強いお薬です。胃酸を強く押さえるので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の特効薬でもあります。

 逆流性食道炎は、歳を取れば取るほど、肥満があればあるほど、背中が曲がって円背になればなるほど起こり易い病気です。寝たきりになってもなります。あるいは、食べてすぐ寝ると逆流します。普段の姿勢や食後の体位が大切です。そして特効薬に頼るのではなく、食事療法が大切です。特に脂っこいものと甘いものは胃酸の逆流を誘発しますのでできるだけ避けてください。背筋を伸ばして歩けば骨粗しょう症予防にもなります。

 GW明けの5月10日(土)13時より尼崎のアルカイックホール・オクトで「第13回生と死を考える市民フォーラム」が開催されます。女優の木内みどりさんと私が、「いのちの終わり」について講演、対談しますので是非、お越し下さい。事前にFAXで申し込んでください。(FAX06-6412-9396)あと、近著「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」は、発売2ケ月で7刷り5万部突破と大きな支持を頂きました。この場をお借りして御礼を申し上げます。
 
キーワード PPI
胃壁にある壁細胞からの胃酸の分泌を強力に抑える薬。現在、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾールの4種類が保険適応になっている。前3者はジェネリック医薬品も発売されている。

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