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がん専門医が近藤誠氏に反論

2014年06月07日(土)

「がんもどき理論」に基づく「がん放置療法」にやっとがん専門医が反論本を書いてくれた。
勝俣範之先生という抗がん剤の教授。
m3に掲載されたインタビュー記事が流れてきたので転載させていただく。
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勝俣先生は専門医の立場から、「抗がん剤は効かない の罪」という本を出された。
私は、勝俣先生の言われるとうりだと思う。

彼の本は高く評価されている一方、案の定、近藤教の信者さんから攻撃も受けている。
もちろんそんなことは覚悟の上だろう。

「もう黙っておられない」というタイトルのとうり。
町医者の私でさえ、間違っているところは批判を受けてもちゃんと書こう、と決意した。

拙書「医療費定本に殺されないための48の真実」は、現在も広く読まれている。
台湾、中国などアジアの人にも支持され、先日インタビューを受けたばかり。

まだ拙書を読んでいないという方は、勝俣先生の本と併せて読んで欲しい。
私の本は、町医者の立場から、できるだけ分り易く書いている。

加えて、「抗がん剤が効く人、効かない人」という本も最近、出たばかり。
予想どうり、近藤教カルト信者さんたちが、見事な不買運動を展開してくれている。

信者さんたちには、「抗がん剤が効く人」が一人でもいれば、とっても不都合なのだ。
そうした「不都合な真実」は、信者さんから見れば多くの人に読まれたら困るのだろう。

あるいは、自分のアイデンテイテーが無くなることを恐れるのだろうか。
匿名社会をいいことに、ネット上での事実と異なる誹謗中傷はまさにやりたい放題の好例だ

勝俣先生も私もそうだが、逃げているわけではない。
逃げていないからこそ、こうした本を敢えてバッシングを覚悟で書いているのだ。

99。9%の医者は、近藤理論などだれも相手にしていない。
しかしそれでは市民は、医療界が近藤理論を認めた、と誤解してしまう

この際なので、ここにはっきり書いておくが、逃げているのは近藤氏側。
・週刊文春での私との往復書簡を断ったのは、近藤氏もしくは出版社側の意向
・某レテビ局のゴールデンタイムの特番での2人での討論企画を断ったのは
 近藤氏側(私は、忙しい中、テレビ局のスタッフと打ち合わせまで応じたのだが)

私も勝俣先生も自分のためにそんな本を書いているのではない。
そんな暇はないし、少しでも時間があれば臨床の場で使いたい。

ただ、間違った考えにとりつかれて、命を落とす人を見てはおられないので書いただけ。
私は「誰かが言わなければ」という一心で発信したが、これは多くの心ある医師も応援してくれている。

勝俣先生も書かれているように、年齢や状態やがんの性質によっては
放置したほうがいいがんがあるのは現実だが、そんなことは医療の常識だ。

極論本は一般大衆には売れるだろうが、まったくもって「真実」ではない。
STAP細胞騒動と同じ。

STAP細胞は、患者さん個人への直接被害はないが(長期的、世界的には大いにあるが)
近藤氏のこの2年間の主張は、直接的な被害が相当出ている。(あちこちで報告されている)

「近藤誠現象」で医療界が改善するという利益と、近藤教で命を落とすという損失の両方がある。
私はその両面を見ているが、マインドコントロールされた信者さんには理解されないのが残念だ。

最近、近藤流極論は、生活習慣病にまで波及し、週刊誌は飛ぶように売れている。
極論本の類が沢山出ているが、真実は、現実の極論の間にある。

これについてはあらためて、また書きたい。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

『「抗がん剤は効かない」の罪』を上梓 - 勝俣範之・日本医大武蔵小杉病院
腫瘍内科教授に聞く◆Vol.1
 
近藤理論の“信者”を何とか救いたい
 
2014年6月6日(金) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長) 
 
 もう黙ってはいられない――。最前線の腫瘍内科医が、魂を賭けて語る「が
んの真実」。
 
 『「抗がん剤は効かない」の罪』(毎日新聞社)の帯には、こんな文字が躍
る。サブタイトルは、「ミリオンセラー近藤本への科学的反論」。近藤誠氏の
一連の著作を明確に意識した本著を上梓したのは、腫瘍内科の日本の第一人者、
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之氏だ。「近藤医師の誤った
見解を指摘し、医学的に正したい」と語る勝俣氏に、ミリオンセラー本に対す
る反論に挑んだ思いをお聞きした(2014年5月8日にインタビュー。計4回の連
載)。
 
――この本をお書きになったきっかけをまずお教えください。
 
 毎日新聞社の方から、「本を書きませんか」と持ちかけられたのがきっかけ
です。昨年12月のことです。
 
――非常に反響が大きいテーマだけに、本を書くことに躊躇はなかったのでし
ょうか。
 
 以前から、他の出版社の方からも、(近藤氏に対する反論を)「書いてほし
い」とは言われていました。文芸春秋社の方からは、2012年の8月頃に「近藤
先生と一度、対談してほしい」と依頼され、それで改めて近藤先生の本を勉強
したら、こんな本[編集部注:『がん放置療法のすすめ』(文春新書)]を書
いていたのです。近藤先生はもう少しまともな本を書いていると思っていたの
ですが……。近藤先生は「正義の人だ」と信じていた面があります。僕は、20
年以上も前のことですが、研修医の時に近藤先生にお世話になったことがある
ので。
 
勝俣範之(かつまた のりゆき)氏。 1988年富山医科薬科大学(現富山大学)
卒業。1992年から国立がんセンター(現国立がん研究センター)中央病院内科
レジデント、2004年米ハーバード大学公衆衛生大学院、2010年同センター中央
病院乳腺科・腫瘍内科外来医長などを経て、2011年から現職。
 
――それは初期臨床研修の頃ですか。
 
 はい、研修医2年目の1989年、僕が内科研修をしていた時のことです。近藤
先生は慶應義塾大学の講師で、茅ヶ崎徳洲会病院に週1回、外勤に来ていまし
た。僕がホジキンリンパ腫の患者さんを診ていたのですが、血液内科医がいな
かったので、治療方針をいろいろな人と相談していた。
 
 当時、ホジキンリンパ腫に対しては、放射線療法と化学療法は同じくらいの
治療成績でした。それで迷っていて、近藤先生に相談したところ、「インフォー
ムド・コンセントをやるべきだ。患者さんに、放射線療法と化学療法について、
それぞれのメリットとデメリットを話して、患者さんに選んでもらうのがいい」
とアドバイスを受けた。まだインフォームド・コンセントが普及していない時
代で、こうした方法があるとその時に初めて知ったのです。
 
――実際に患者さんにインフォームド・コンセントをされてどうなりましたか。
 
 よく話し合うことができ、患者さん自身は化学療法を選びました。僕は研修
を終えた後に、近藤先生に会ってお礼をしたいと思っていたのですが、なかな
かそれもできずにいた。
 
――そうした時に対談の話が来た。
 
 近藤先生がいろいろな本を書いていたのは知っていたのですが、「正義のつ
もりで書いている」と考えていました。だから対談の話が来るのを、ある意味、
待ち遠しく思っていました。
 
 対談の準備のために、近藤先生の著書を読みましたら、最近の著書の中に、
『がん放置療法のすすめ』を書いていることを発見した。近藤先生は、以前は
放射線療法を勧めていたものの、この著書で放射線療法もやめろと言っている。
この「放置療法」を言い出す前までの近藤先生は、医学的な間違いはいくつか
あるものの、その辺りは、話せば分かってくれるのではないかと思っていまし
た。しかし、『放置療法』になったら、「がんもどき」はもちろん、進行がん、
近藤先生の言う「本物のがん」にも何も治療しない方がいい、と言っている。
結局は転移するから、治療するだけ無駄、全ての治療を否定している。
 
 ここまで行ってしまうと、対談だけで近藤先生に分かってもらうのは難しい
と思いました。対談するのには、まずはこちらの主張をはっきりと文章にする
必要があると思い、文芸春秋社には準備不足と言ってお断りしました。対談は
それからでも遅くはないと思ったからです。
 
 しかし、これまで一般向けの本は書いたことがなく、なかなか書けずにいま
した。そんな時に毎日新聞社が声をかけてくれた。編集の方には、医学的な表
現を分かりやすくするために、だいぶ手伝ってもらいました。それでもやや難
しい内容になっていますが。
 
――日常診療でも、近藤先生の本を読んだ患者さんに遭遇するのでしょうか。
 
 はい。最近では、かなり多くいらっしゃると思います。本にも書いたのです
が、僕が経験したのは肺がんIII期の40代の女性。III期は進行がんですが、手
術、化学療法、放射線治療による集学的治療を行えば、高いとは言えませが、
3割くらいは治ります。
 
――患者さんはまだ40代であり、治療に期待するところは大きい。
 
 これが80代、90代だったら、「放置療法」もあるのかもしれません。しかし、
40代の肺がんの患者さんに「放置療法」はあり得ない。「放置」したら、治る
可能性は「ゼロ」ですが、この患者さんは治療すれば、治る可能性はある。外
科医に聞いたら、「手術ができる」と言うので、まず手術をお勧めしました。
でも、その患者さんは、『がん放置療法のすすめ』を読んでいて、「治療は必
要なのですか」と聞くわけです。
 
――「ゼロ」からではなく、ある意味、「マイナス」から説明することになる。
 
 そうです。だから大変です。命にかかわるわけですから、医師としては放っ
てはおけない。でも、話してもなかなか理解してくれないので、彼女は近藤先
生のところに、セカンドオピニオンを求めに行った。
 
 彼女自身、治療に対する不安や迷いがあったのは事実。近藤先生のところに
行って、迷いを払しょくしたいと思ったのでしょう。「私はどうしたらいいで
しょう」と聞いたら、近藤先生は「もちろん、III期だから、手術は無駄だ。
抗がん剤も、放射線治療も要らない。放置でしょう。進行すれば、放射線療法
をやったらいい」などと説明したそうです。
 
 患者さんはそれでも不安だったのでしょう。「じゃあ、放っておいてもいい
のですか。がんがどんどん進んでいったら、どうなるのでしょうか。どうすれ
ばいいのですか」と聞いたら、「そういうこと言われてもね……」といった感
じで言われたそうです。ちゃんと答えてもらえなかった。
 
 患者さんは相当ショックを受けて、「近藤先生は信用できない」となって、
私のところに戻ってきて、結局は手術を受けました。
 
 ただこの方は、きちんとした治療を受けたから良かったけれど、そうでない
人もたくさんいます。本当に近藤先生の「信者」になり、治療を受けずに亡く
なられた方もいます。

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この記事へのコメント

勝俣医師の本を2冊読んで、あまりのいいかげんさにあきれたのですが、先生は本当に彼の言っていることを真実だと判断されたのでしょうか。1冊目について私の考えを纏めました。ご覧ください。2冊目は、「医療否定本の嘘」というタイトルですが、これはさらに酷い内容でした。わざと、誤読することを狙ったとしか思えません。
 
 勝俣範之医師の「抗がん剤は効かない」の罪、を読んだ。資料に基づいて、丁寧に説明しているが、次の点に疑問を感じる。
(1) 「がんもどきと本物のがんを単純に分けられなということは少し勉強すれば誰でも分かるのではないでしょうか」と述べているが、誤解をまねく書き方だ。近藤誠医師は、「転移する癌と転移しない癌に分けられる」ということをわかりやすく言っているに過ぎない。勝俣医師はこれを否定する理由として、乳がんの治療方法の進歩を例に挙げ、医師側の治療方法が手術と放射線と化学療法の中から、有効な組み合わせを選択できるようになったことと、特定の遺伝子を分析することで抗癌剤の個人的な有効性や癌の再発可能性がある程度わかるようになったことを指摘している。(関連遺伝子の分析はまだ不確かで、多額の費用がかかる。)
 論旨は当然、患者のタイプに応じて、積極的な治療方法を選択できるという意味になる。吟味して読まないと気づかないが、がんもどき理論を非難する理由は「治療方針を人によって分けることができるから、転移しない癌と転移する癌に分類することはおかしい」というばかげた理屈になる。最先端の医療を行う者には癌のタイプが細かく分類できていると誤読させる目的で書いたと考えられる。そのためか、一般書にしては、専門用語が多い。
(2)  勝俣医師は、乳がんにおいて非浸潤癌はおとなしい癌だから、近藤医師が「がんもどき」と言いたくなるのもわかるが、浸潤癌の中にも非浸潤癌になるものがわずかながらあるので、「非浸潤癌は100%がんもどき」というのはおかしいと述べている。そして「転移しない癌は最後まで転移しない」という、がんもどき理論を仮説に過ぎないと非難する。さらに、浸潤癌に変わった例として長期観察における非浸潤癌治療後、2612人中18%が乳房内再発を起こし、その半数が浸潤癌だったことを挙げている。しかし、これもおかしい。最初の非浸潤癌が浸潤癌に変わったという証拠は無い。(少し細かく言えば長期観察とはどのくらいの期間なのかわからないのも気にかかる。)また、勝俣医師自ら、「転移する癌としない癌を見分ける方法は無い」と近藤医師を攻撃する目的で、別な箇所で書いている。つまり、がんもどき理論は仮説に過ぎないと批判しながら、転移しない癌が転移する癌に変わるという理論も仮説に過ぎないことを示している。(転移した後でしか確認できないのでは、どちらの仮説が正しいか状況証拠を積み上げる以外に無い。)転移癌に変化するという仮説が権威に裏付けられた公式の見解ではあろうが、だから正しいとはならない。むしろ早期発見によって死亡数が変わらないという多くのデータは、仮説として、がんもどき理論の方が優れていることを示唆する。
近藤医師の、基幹細胞の能力を持った癌が転移する癌であるという仮説は非常に説得力があり、転移癌に関する多くの謎を説明できる。例を挙げれば、早期に原発病巣と転移癌が発見されたり、原発病巣の見当たらない転移癌が存在したりする理由は、検診にもかからないほど小さいうちに基幹細胞の能力を持った癌が転移したと考えれば良い。IPS細胞が癌化しやすいことからも、基幹細胞の能力が転移癌を生むことは容易に想像できる。また、乳幼児の癌に関しては早期発見が無意味かつ有害であることが公的に認められている。どんなに早期癌を手術して取り除いても総死亡数が変化しないからである。つまり転移しない癌をいくら取り除いても無意味なことを意味する。乳幼児の場合は何もしなくても転移しない癌はおそらくアポトーシスによって消滅するので、手術の無意味さが誰の目にも明らかになったのだろう。大人の場合は転移しない癌でも場合によっては命を落とす。(なぜなら消滅しないから。)これが誤解を生む原因の一つである。しかし、問題点はそこではない。癌の転移について、どちらが仮説として優れているかが問題だ。  
早期発見のメリットが確認できない現状では、転移しない癌が転移する癌に変化するという仮説よりも、がんもどき理論の方が仮説として明らかに優れている。  勝俣医師はネット上で、近藤理論を信じたばかりに増殖した胃がんが幽門部を塞いで大変な事態になった患者の例を挙げているが、これも論点のすり替えである。転移しない癌でも手術の必要な場合があることは近藤医師も説明している。仮にこれが近藤医師の間違った指示に基づく手術拒否だったとしても、それは別な問題である。近藤理論が間違っている例としては不適切だ。このように勝俣医師には論点のすり替えが目立つ。また免疫療法などのインチキ療法と並列させて近藤理論を論ずるなど印象操作も目立つ。そうかと思えば、近藤医師が過剰検診を批判した点は評価できるなど、自分もそんなことは理解していると言わんばかりの書き方をしている。そもそも過剰検診は早期発見理論に基づき行われている。つまり、転移する癌に変わらないうちに取り除こうというものである。もし、早期発見理論が本当ならば過剰検診であるという意味がわからない。統計的な無意味さから推し量って過剰と言っているのならば、なぜ検診が無意味になるのか、その理由を考えてほしい。早期発見理論は近藤医師の言うように仮説として破綻しているとしか思えない。
(3)  抗癌剤の臨床試験における生存曲線について、効果があったことを示しながらも最後の方で急落している理由は「人為的操作があったからだ」という近藤医師の指摘に対して勝俣医師は「このグラフは観察を打ち切った患者が多くて、最後の一人が亡くなったときグラフが急落したに過ぎない」と言い、「打ち切りが多いので最後の方は不正確になるのは当然だ、世界中の誰からも問い合わせはない」と開き直った後、近藤医師の本で、グラフの急落を見て驚いている様子を記述した部分を紹介して、こんなことに驚いていると揶揄している。しかし、よく見ると、打ち切りが多くて最後どころか途中から信頼できないグラフになっている。そして近藤医師が人為的操作として、これまで一貫して数多く指摘しているのは観察を打ち切った患者を生きていることにカウントするグラフの作成方法である。いかに法的に正しくてもグラフの正確さに問題がある以上、患者にとっては不正である。ミスとも言えないような、わずかな読み取りミスを針小棒大に取り上げ、グラフの持つ根本的な問題について自ら認めてしまったことに勝俣医師は気づかないのだろうか。さらに世界中が認めた標準治療を否定する近藤理論はトンデモ理論だという雰囲気を意図的に醸し出す。
(4) 「医者が癌になったとき抗癌剤を使わないというのは本当ですか」という質問に、纏めると「使うときもありますし、使わないときもあります。乱暴な質問です」と応えている。普通、誰も問題にしない言葉の不正確さをまるで学生に対する態度で指摘し、回答を避けている。どう考えても、質問の意味は「患者に対して、抗癌剤を使う、その同じ状況で医者は自分に対しては抗癌剤を使わないのでしょうか」となる。それ以外に質問は意味を成さない。この質問には興味があるので答えて欲しいところだ。いつ読んだのか忘れたが、別な本に、「医者は自分と家族には抗癌剤を使わないし手術もしない」と書いてあったのを読んだ記憶がある。最も全ての医者がそうだとは思っていない。またさらに別な本に東京大学の癌関係の医者に対する「どういう病気で死にたいか」というアンケートに90%以上が「治療はせずに、緩和ケアならば癌で死にたい」と応えているとあった。勝俣医師だけではなく多くの医者が確信犯のようだ。
 以上、検討してみるとこの本は虚偽に満ちている。大方は正しいことを専門的に書きながら、要所で誤解させるように書いているので、そこだけ気を付けていれば結構、勉強になるかもしれない。ネットの記事を見てもそうだが、勝俣医師は近藤医師の開発した乳房温存療法など公的に世に認められている部分や、自分にとって実害のない過剰診断への攻撃については評価し、科学的で、客観的な態度を装っている。その上で自分が世界の標準治療を行っていること、及び、自分の高い専門性を強調し、近藤医師が無知であると読者が思い込むように文を作るのがうまい。
近藤医師が、がんもどき理論などと変なネーミングをするのは一般読者にわかりやすくするためであり、彼は一般の読者に何とか理解させるために苦労している。それを単純だとか、勉強不足だとか難癖を付けたり、専門用語を多用して誤魔かす態度は感心できない。勝俣医師だけではないが反論できないため、近藤は医学界では相手にされていないとか、もはや宗教だとか、言いふらす者がある。近藤医師ががんもどき理論について論文を発表しないわけはわからないが、勝俣医師は一般紙であろうが討論に応じたら良いだろう。

Posted by SEIKEN at 2016年10月12日 03:55 | 返信

冷静に書こうとするのですが、つい怒りがこみ上げてきて攻撃的な文章になってしまうようです。私は別に近藤先生を盲信しているつもりはありませんが、最近、近藤先生の本を読んで面白いと思い、古本でまとめ買いをしました。次に、近藤先生の批判をしている勝俣先生の本を購入したら、私にはとても納得できる内容ではありませんでした。道徳的にというよりは論理的に納得できませんでした。
うちの84歳の爺さんに、いかに勝俣医師が酷いかを書いたこの間の纏めを読ませたら、「じゃあ、俺が腎臓癌の手術をしたのは無駄だというのか。それから、転移していたら何もできないのか」とか、言われて、いやそれは論点がずれているだろうと、説得したのですが納得できないようです。つくづく思いました。人間は論理だけではないと。
昨日、勝俣医師の「医療否定本の嘘」を読みました。今度の本はわかりやすく書いてありましたが、突っ込みどころは多すぎて付箋だらけになりました。「抗癌剤は効かないの罪」よりも嘘が多かったというよりも嘘だらけです。難癖をつけていると思われるのもなんですから、一つだけ素人を騙す簡単な勝俣先生の誤読誘導トリックの例を書きます。
近藤先生が、「上皮内癌は99%が、がんもどき」と言ったことを否定するために、勝俣先生は二つの例を挙げています。一つは超早期癌、二つ目は早期癌です。一つ目の癌は子宮頸がんで、放置したら3~5%が進行癌になったそうです。二つ目の癌は早期癌で、56人中36人が進行癌になったそうです。そして結論が、たとえ超早期癌でも、放置することなく治療が必要だということです。このように纏めて書くと論理がおかしいことはわかると思いますが、本文はもっとまぎらわしく書いてあります。一応、二つ目の文頭には、「まして早期癌なら」という一言はありますが、普通は気にしないで読みます。気にしたら結論が論理的に不整合なので簡単に誤読します。
くどいようですが、上皮内癌は超早期癌ですから、これを否定するためには超早期癌の例を出す必要があります。早期癌の例は不適切なのです。また、最初の論理的にある程度正しい例では3~5%というのは逆に言えば95%から97%はがんもどきということです。99%は言い過ぎだとは言えるかもしれません。しかし説得力がないので早期癌の例を誤読するように仕込んだと思われます。(蛇足ですが私なら数字をひっくり返しません)
また、第1例が、ある程度論理的に正しいと言ったのは、おそらく近藤先生はまわりに重要臓器のない乳がんを想定しているのに勝俣先生は子宮癌のデータをあげているからです。仮に近藤先生が癌全体について言っていたとしても、子宮癌だけに限定すると割合は変化するのは当たり前です。それでもたいした差になっていません。
このような誤魔かしや不適切な分類、意図的に誤読するデータが満載です。ただ、さーと読んだら気づきません。これだけ、嘘だらけだと意図的に素人を欺いているとしか思えません。
うちの爺さんにこのことを話したら、半信半疑でしたが、おそらく多くの人が同じなのだと思いました。医者の権威、医学界の権威はすごいものです。専門家がよってたかって素人を騙そうと思ったらひとたまりもありません。

Posted by SEIKEN at 2016年10月12日 09:18 | 返信

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