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下痢と便秘

2014年06月10日(火)

6月7日の産経新聞兵庫版は、「下痢と便秘」で書いた。
毎日、下痢と便秘の話を聞いているが、実にいろんな人がいる。
お医者さんにくる必要にないのに来る人、逆に来る必要があるのに来ない人。
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産経新聞・胃腸シリーズ第6話    下痢と便秘のお話
                       どんな時に医療機関に行くべきか
             
 下痢だけで受診される方がいます。「何度、下痢をしたのですか?」「2回です!」「えっ?たった2回?」。その人は普通便しか出たことが無いらしく、2回下痢しただけでも「こりゃまずい」と思って受診されました。私の診断はウイルス性胃腸炎。「2食抜いて、スポーツドリンクをチビチビ飲んでください」と説明。ウイルス性胃腸炎の多くは、絶食で胃腸を休めるだけで自然治癒します。たったそれだけなのですが、多くの人は「衰弱するので無理してでもしっかり食べておこう」と思いがち。その結果、自然に治るものも治らず下痢が長引くことになります。1食が“待てない”時代、なのです。

 さて下痢に加えて血液が混じっていたら、話は少し変わってきます。ウイルス性腸炎では通常、血便は出ません。下痢に加えて血便、ならまずは細菌性腸炎を疑います。有名なO-157かもしれません。多少の下痢だけならセルフケアだけで充分ですが、血便が加わった時点で医療機関を受診する必要が出てきます。下痢で肛門が切れたのかもしれませんが、潰瘍性大腸炎かもしれません。また高齢者が血便のみで来られたら、虚血性腸炎や大腸がんも疑われます。いずれにせよ、詳しい問診、便の細菌検査、そして少なくとも直腸~S状結腸の内視鏡検査が必要です。

 医師が一番気にすることは、下痢や血便という症状がいつからあるのかです。1日前からか、1週間前からか、1ケ月前からなのか、それ以上か。つまり急性の下痢か慢性の下痢かを一番知りたいのです。なぜなら、急性と慢性では想定する病気がまったく異なるからです。急性のものの大半はウイルス性。しかし慢性のものはがんや難病など、厄介な病気の可能性が含まれます。裏を返せば、慢性的な下痢や血便は、放置してはいけません。重大な病気の可能性があるので、診断・治療が遅れると後悔することになります。

 一方、便秘を訴えて受診される人も沢山おられます。「何日間の便秘ですか?」「3日も出ていません!」。うーん、でもこれくらいなら誰でも経験あるやけどな。「普通に食べられるんやし、あと1日待ってみましょか?」なんて言っても、これまた待てない人が多い。「せっかく病院に来たんやから浣腸ぐらいしてよ」と怒られて、慌てて「じゃあ、看護師さんお願いね」なんてことが時々あります。「3日に1回という人もいますよ」なんて言っても、通じません。「便は毎日出るもの。それ以外は異常」と思い込んでいる人もおられます。そうかと思えば、「何日位出ていませんか?」「うーん、1ケ月以上です」、「ええ?1ケ月も出ていないの??」という人もいます。頭の中で検査を考えます。ただしその方は、少し認知症でした。付き添って来られたご家族がそっと教えてくれたのです。

 「いい下剤はありませんか?」。これもよく聞かれる質問。センナ製剤が有名ですが、漢方薬もよく使います。肥満の方には防風通聖散が好まれます。しかし便秘薬の代表といえばなんといっても酸化マグネシウム製剤です。これは緩下剤、すなわち便を軟らかくする薬。しかしマグネシウムを含むので沢山飲まれる方は、高マグネシウム血症に注意が必要です。認知症と誤診されることがあります。時々、血中マグネシウム値をチェックしてください。
 
キーワード 酸化マグネシウム
腸管内で水分の吸収を高め蠕動運動を助けて排便を促す。粉末と錠剤がある。身体への負担も少なく、医薬品としての年間処方数として上位10位に入る。下剤としての使用は日本が最も多く、他国ではほとんど使用されていない。

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この記事へのコメント

私は、寝不足と、お酒の飲みすぎで、コンディションが悪いです。
わかっているのですが、なかなか改めることができません。

Posted by 大谷佳子 at 2014年06月11日 01:28 | 返信

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