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ステージⅣの大腸がん
2014年06月15日(日)
昨日の産経新聞兵庫版には「ステージⅣの大腸がん」について書いた。
抗がん剤と手術で完治した人を何人か診て驚いた話。
10年間くらい再発がなければ、がんを克服した!と言っていいだろう。
抗がん剤と手術で完治した人を何人か診て驚いた話。
10年間くらい再発がなければ、がんを克服した!と言っていいだろう。
産経新聞・胃腸シリーズ第7話 ステージⅣの大腸がん
手術と抗がん剤で完治する場合もある
今日は進行した大腸がんの話です。大腸がんが出来て腸管腔が狭くなると便秘や腹部膨満感などの自覚症状が出ます。その段階で初めて医療機関を受診して検査した結果、大きな大腸がんが発見される場合が時々あります。「便潜血反応による検診を受けていればもっと早く発見できたのに」という後悔が頭をよぎります。そして検査を進めていくと、肝臓と肺に転移巣が見つかりました。肝臓には直径5cmと3cmの2つ、肺には直径2cmがひとつの転移巣です。遠く離れた臓器に転移が見つかれば、がんのステージは自動的にⅣとなります。一番上のステージです。一般にステージⅣというと、「もう末期」というイメージがあるかもしれませんが、大腸がんの場合は全く違います。「まだまだこれから」、なのです。ああそういえば前立腺がんや乳がんも違いますね。
ステージⅣの大腸がんのこの人は、まずは大腸を外科的に切除しました。その後、肝臓の転移巣も肺の転移巣も切除しました。もしかしたら他にも転移巣があるのかもしれませんが、とりあえず画像診断で見える病巣を全部取り除きました。その人の場合、抗がん剤治療をはさみながら計3回の手術が行われました。しかしその後、10年近く経過した現在でも全く再発がありません。外来に来られてもピンピンしていて、ゴルフを楽しまれています。がんが完治したのです。全身に散らばっていたであろう目に見えない小さながん細胞は、抗がん剤治療や自身が持つ自然免疫で消失したものだと考えられます。術前に数千もあった腫瘍マーカーはずっと正常範囲なので、がん細胞は隠れているのではなく完全に消えたと考えるのが妥当でしょう。こうした臨床例を実際に見ていると「大腸がんは諦めてはいけない。ステージⅣでも完治例があるんだ!」と現代医学の進歩にただただ驚くばかりです。外科手術と抗がん剤治療の進歩は、著しいものがあります。町医者として外来診療や在宅医療の中でそんな方と出会うのが楽しみです。
昨今「がんの早期発見・早期治療は全く意味がない」「どうせ死ぬのだからがんは放置したほうが得だ」「医者の口車に乗って治療したら殺されるぞ!」と恐怖を煽る一般書がミリオンセラーになり書店の店頭に並んでいます。もしステージⅣの大腸がん患者さんが、それを読んで治療を拒否していたらどうだったでしょうか。1年、いや数ケ月以内に亡くなっていたでしょう。しかし治療した結果、完治した!数ケ月でがん死することと病気が完治して天寿を全うできることは雲泥の差です。だから、「手術も抗がん剤も無意味」という主張は完全に間違っています。もちろん高齢者や既に様々な理由で衰弱した方なら、がんは放っておいたほうが得な場合もいくらでもあります。しかしそんなことは医療の常識です。患者さんの利益が不利益を上回る場合のみに、手術や抗がん剤治療を行います。
もっと詳しく知りたい人は、拙書「医療否定本に殺されないための48の真実」(扶桑社、翻訳本が海外でも出ています)や「抗がん剤・10のやめどき」(ブックマン社)、そして近著「抗がん剤が効く人、効かない人」(PHP研究所)などを読んで頂き是非参考にしてください。患者さんもがん治療について勉強して後悔の無いがん医療を受けて下さい。
キーワード ステージⅣ
がんの進行度を表す数字。その臓器内、そして周囲のリンパ節や遠隔臓器への拡がりからそれぞれの専門学会が定めるステージが決められる。0~Ⅳまで5段階ある。大腸がんの場合、ステージ0の五年生存率は94%、ステージⅣでは19%である。
手術と抗がん剤で完治する場合もある
今日は進行した大腸がんの話です。大腸がんが出来て腸管腔が狭くなると便秘や腹部膨満感などの自覚症状が出ます。その段階で初めて医療機関を受診して検査した結果、大きな大腸がんが発見される場合が時々あります。「便潜血反応による検診を受けていればもっと早く発見できたのに」という後悔が頭をよぎります。そして検査を進めていくと、肝臓と肺に転移巣が見つかりました。肝臓には直径5cmと3cmの2つ、肺には直径2cmがひとつの転移巣です。遠く離れた臓器に転移が見つかれば、がんのステージは自動的にⅣとなります。一番上のステージです。一般にステージⅣというと、「もう末期」というイメージがあるかもしれませんが、大腸がんの場合は全く違います。「まだまだこれから」、なのです。ああそういえば前立腺がんや乳がんも違いますね。
ステージⅣの大腸がんのこの人は、まずは大腸を外科的に切除しました。その後、肝臓の転移巣も肺の転移巣も切除しました。もしかしたら他にも転移巣があるのかもしれませんが、とりあえず画像診断で見える病巣を全部取り除きました。その人の場合、抗がん剤治療をはさみながら計3回の手術が行われました。しかしその後、10年近く経過した現在でも全く再発がありません。外来に来られてもピンピンしていて、ゴルフを楽しまれています。がんが完治したのです。全身に散らばっていたであろう目に見えない小さながん細胞は、抗がん剤治療や自身が持つ自然免疫で消失したものだと考えられます。術前に数千もあった腫瘍マーカーはずっと正常範囲なので、がん細胞は隠れているのではなく完全に消えたと考えるのが妥当でしょう。こうした臨床例を実際に見ていると「大腸がんは諦めてはいけない。ステージⅣでも完治例があるんだ!」と現代医学の進歩にただただ驚くばかりです。外科手術と抗がん剤治療の進歩は、著しいものがあります。町医者として外来診療や在宅医療の中でそんな方と出会うのが楽しみです。
昨今「がんの早期発見・早期治療は全く意味がない」「どうせ死ぬのだからがんは放置したほうが得だ」「医者の口車に乗って治療したら殺されるぞ!」と恐怖を煽る一般書がミリオンセラーになり書店の店頭に並んでいます。もしステージⅣの大腸がん患者さんが、それを読んで治療を拒否していたらどうだったでしょうか。1年、いや数ケ月以内に亡くなっていたでしょう。しかし治療した結果、完治した!数ケ月でがん死することと病気が完治して天寿を全うできることは雲泥の差です。だから、「手術も抗がん剤も無意味」という主張は完全に間違っています。もちろん高齢者や既に様々な理由で衰弱した方なら、がんは放っておいたほうが得な場合もいくらでもあります。しかしそんなことは医療の常識です。患者さんの利益が不利益を上回る場合のみに、手術や抗がん剤治療を行います。
もっと詳しく知りたい人は、拙書「医療否定本に殺されないための48の真実」(扶桑社、翻訳本が海外でも出ています)や「抗がん剤・10のやめどき」(ブックマン社)、そして近著「抗がん剤が効く人、効かない人」(PHP研究所)などを読んで頂き是非参考にしてください。患者さんもがん治療について勉強して後悔の無いがん医療を受けて下さい。
キーワード ステージⅣ
がんの進行度を表す数字。その臓器内、そして周囲のリンパ節や遠隔臓器への拡がりからそれぞれの専門学会が定めるステージが決められる。0~Ⅳまで5段階ある。大腸がんの場合、ステージ0の五年生存率は94%、ステージⅣでは19%である。
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