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健康長寿は口腔ケアから
2014年07月23日(水)
産経新聞健康長寿シリーズ第4回 8020(ハチマルニイマル)運動
歯と口腔ケアから始まる健康長寿
「8020運動」を御存知でしょうか。平成元年より厚生省と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という国民運動です。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
私は診察の時に聴診器は当てなくても口の中は見るようにしています。ひとつは、舌の表面の状態を診る(舌診)ため。もうひとつは歯がどれくらい残っているのかを診るためです。歯がたくさん残っている高齢者はとてもお元気です。一方、入れ歯も歯もない高齢者はというと、寝たきりの人が多いのです。
さて、歳をとっても歯が残るか残っている人と、いない人の差は何で決まるのでしょうか。まず不規則な生活習慣があると歯が抜けます。早く歯が抜ける人は脳卒中になり易いことが分っています。歯周病は動脈硬化をひきおこします。亡くなった人を解剖して動脈硬化が強い血管壁を詳しく調べると、歯周病菌が多数見つかるのです。歯周病は糖尿病、心筋梗塞、肺炎、肥満、メタボなど、全身と大きく関係していることが明らかになっています。メタボ健診は脳卒中や心筋梗塞の予防が目的ですが、できれば歯科検診もあわせて受けてください。
抜けた歯の本数と転倒し易さが比例することも分っています。65歳以上の健常高齢者で残存歯数が19本以下で義歯を使用していない人は、20本以上の人と比べて、2.5倍転倒する危険が高いことが分っています。入れ歯が多い人、噛み合わせが悪い人ほど転倒しやすいことも分っています。転倒→骨折が、認知症への第一歩になります。先週述べた、骨粗しょう症対策が重要ですが、歯のお手入れも劣らず重要であることを知っておいてください。
現代人は、江戸時代の人に比べて咀嚼回数が格段に少ないと言われています。若い人の中には、あまり噛まずにほとんど丸飲みの人もいますが良くない習慣です。できれば30回噛んでから飲みこみたいものです。そのためには、時間をかけて食事をすることです。スローライフです。同じ食事でも時間をかけてよく噛めば、食後の血糖値の上昇もゆるやかになることが分っています。咀嚼は脳への刺激になるため、認知症予防の観点からも重要です。食物は噛めば噛むほどよく消化吸収されますが、記憶や学習能力も良くなることはあまり知られていません。
さらに、お口の中のお手入れ「口腔ケア」が、高齢者には特に大切です。口腔ケアとは、歯磨き・歯磨き介助のみならず、咀嚼や嚥下機能の回復も含みます。口腔ケアにより口の中が爽快になり、口臭が予防でき生活の質(QOL)が向上します。日本人の死因の第3位は肺炎です。口腔ケアはその肺炎を40%減少させ、死亡率を60%も減少させます。口の中は細菌の巣窟です。口腔ケアをしていない高齢者は、雑菌による誤嚥性肺炎の危険が高まります。口腔ケアはまさに命と直結しているのです。今回、寝たきりにならずに長生きするためには歯や口の中の健康がいかに大切であるかを知り、実行して頂きたいです。
生きることは食べることです。しかもおいしく食べることが長生きに大切。そのためには、歯と口腔内の健康保持です。是非、かかりつけの歯医者さんを持ってください。
キーワード 歯周病
細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で日本人の8割にみられる。歯や歯肉の清掃が行き届かないでいると多くの細菌が停滞して歯肉の辺縁が赤く腫れる。進行すると歯と歯肉の境目が深まり歯を支える骨が溶けて歯が動くようになり、最終的に抜歯が必要になる。
歯と口腔ケアから始まる健康長寿
「8020運動」を御存知でしょうか。平成元年より厚生省と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という国民運動です。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
私は診察の時に聴診器は当てなくても口の中は見るようにしています。ひとつは、舌の表面の状態を診る(舌診)ため。もうひとつは歯がどれくらい残っているのかを診るためです。歯がたくさん残っている高齢者はとてもお元気です。一方、入れ歯も歯もない高齢者はというと、寝たきりの人が多いのです。
さて、歳をとっても歯が残るか残っている人と、いない人の差は何で決まるのでしょうか。まず不規則な生活習慣があると歯が抜けます。早く歯が抜ける人は脳卒中になり易いことが分っています。歯周病は動脈硬化をひきおこします。亡くなった人を解剖して動脈硬化が強い血管壁を詳しく調べると、歯周病菌が多数見つかるのです。歯周病は糖尿病、心筋梗塞、肺炎、肥満、メタボなど、全身と大きく関係していることが明らかになっています。メタボ健診は脳卒中や心筋梗塞の予防が目的ですが、できれば歯科検診もあわせて受けてください。
抜けた歯の本数と転倒し易さが比例することも分っています。65歳以上の健常高齢者で残存歯数が19本以下で義歯を使用していない人は、20本以上の人と比べて、2.5倍転倒する危険が高いことが分っています。入れ歯が多い人、噛み合わせが悪い人ほど転倒しやすいことも分っています。転倒→骨折が、認知症への第一歩になります。先週述べた、骨粗しょう症対策が重要ですが、歯のお手入れも劣らず重要であることを知っておいてください。
現代人は、江戸時代の人に比べて咀嚼回数が格段に少ないと言われています。若い人の中には、あまり噛まずにほとんど丸飲みの人もいますが良くない習慣です。できれば30回噛んでから飲みこみたいものです。そのためには、時間をかけて食事をすることです。スローライフです。同じ食事でも時間をかけてよく噛めば、食後の血糖値の上昇もゆるやかになることが分っています。咀嚼は脳への刺激になるため、認知症予防の観点からも重要です。食物は噛めば噛むほどよく消化吸収されますが、記憶や学習能力も良くなることはあまり知られていません。
さらに、お口の中のお手入れ「口腔ケア」が、高齢者には特に大切です。口腔ケアとは、歯磨き・歯磨き介助のみならず、咀嚼や嚥下機能の回復も含みます。口腔ケアにより口の中が爽快になり、口臭が予防でき生活の質(QOL)が向上します。日本人の死因の第3位は肺炎です。口腔ケアはその肺炎を40%減少させ、死亡率を60%も減少させます。口の中は細菌の巣窟です。口腔ケアをしていない高齢者は、雑菌による誤嚥性肺炎の危険が高まります。口腔ケアはまさに命と直結しているのです。今回、寝たきりにならずに長生きするためには歯や口の中の健康がいかに大切であるかを知り、実行して頂きたいです。
生きることは食べることです。しかもおいしく食べることが長生きに大切。そのためには、歯と口腔内の健康保持です。是非、かかりつけの歯医者さんを持ってください。
キーワード 歯周病
細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で日本人の8割にみられる。歯や歯肉の清掃が行き届かないでいると多くの細菌が停滞して歯肉の辺縁が赤く腫れる。進行すると歯と歯肉の境目が深まり歯を支える骨が溶けて歯が動くようになり、最終的に抜歯が必要になる。
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この記事へのコメント
今年年末で80歳。入れ歯はなし。但し、何故か4本足りません(毛は3本不足)。
健康寿命を超えて、平均寿命も・・。但し、平均余命には、まだ数年。
これからも、せっせと歯磨きをして、もう少し生かしてください。 以上
Posted by 小澤 和夫 at 2014年07月23日 12:05 | 返信
以前受験したケアマネの試験に「8020運動とは、80歳で友人を20人残そう。という運動である。」○か×かを答えるものでしたが、思わず花丸付けたかったです。友達も歯も大切に頑張ります!
Posted by ルナース at 2014年07月23日 04:00 | 返信
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