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みんなが長く寝たら日本が変わるかも
2014年09月14日(日)
偉そうなことを書いて、自分が一番寝ていない。
本当は8時間睡眠人間なのに、最近、特に少ない。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
産経新聞・心と体のバランスシリーズ第4回 不眠症状と健康障害
100年間で日本人の睡眠は1.5時間短縮
日本では成人の30%以上が“不眠症状”を有していて、6~10%が“不眠症”です。高齢者の外来診療や在宅医療では、“不眠症状”の訴えが一番多いような気がします。不眠症とは「毎晩の実際の睡眠時間の長短にかかわらず、患者自身が睡眠に対する不足感を訴え、身体的、精神的、社会的に支障がある状態」と定義され、症状によって4つのタイプに分類されます。床についてもなかなか眠れない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚めて再び眠るまでに時間がかかる「中途覚醒」、予定の起床時刻より2時間以上早く目が覚めて、その後眠ることのできない「早朝覚醒」、睡眠時間は十分だがぐっすり眠った感覚が得られない「熟眠障害」です。よく適切な睡眠時間は8時間と言われていますが、人それぞれ異なります。エジソンやナポレオンは1日3~4時間しか眠らず、アインシュタインは1日10時間以上眠っていたと言われています。しかし適切な睡眠時間とは、時間の長短ではなく、日中元気に過ごす為に必要な時間です。つまり、日中、元気に過ごせて眠気で困ることがなければ、睡眠時間が足りていることになります。
統計を調べると日本人の1日の睡眠時間は,平日は7時間14分,土曜が7 時間37分,日曜は7 時間59 分で,平日<土曜<日曜の順に長くなっています。最近5 年間の変化をみると,国民全体では,どの曜日も減少傾向にあります。国際比較で見ればこれは先進国の中で最短です。この100年間で日本人の睡眠時間は1.5時間以上短くなっているそうです。1960年には66%の人が22時に就寝していたのに、2010年には25%に減少。それは長時間労働や長距離通勤、テレビなどのメデイア、コンビニの発達など社会全体が夜型の生活パターンになったからでしょう。実は不眠症状は大人だけの問題ではありません。現代の子供の3~4人に1人が睡眠問題を抱えています。親の夜型生活も関係するのか、床に入る時間が年々遅くなっています。起きる時間は一緒なので、子供も睡眠不足になります。子供の睡眠不足は学習障害などの原因になります。睡眠が足りると学力は上がります。大人も睡眠不足は様々な病気と関係しています。うつ病との関連はあまりにも有名。また肥満や高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクも上がります。さらにがんのリスク、特に乳がんや大腸がんのリスクが上がることが知られています。
良質な睡眠には良い睡眠パターンが必要です。まず、寝つくとすぐに深いノンレム睡眠に入り、脳を休めます。そして、徐々に眠りが浅くなりレム睡眠に変わります。このノンレム睡眠とレム睡眠は、約90分周期で繰り返されます。睡眠の後半になりますと、浅いノンレム睡眠とレム睡眠が多くなり、徐々に脳が活性化して目覚めます。なお、健康な人でも一晩に数回、短い覚醒は起こりますが、すぐに再び眠れるのなら、問題ありません。
現代日本の様々な病気の増加は、よく老化や高齢化で説明されています。しかし“睡眠”という基本的な営みにもっと注目すべきではないか。さらに経済問題、貧困、少子化などの国の重要課題も根っこをたどれば“睡眠”に行きあたるような気がします。次回は、この現代病ともいえる睡眠障害の治療法や睡眠薬について考えてみましょう。(続く)
キーワード レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠中に眼球がぴくぴく活発に動く、「急速な眼球運動Rapid Eye Movement」をレム(REM)睡眠と呼ぶ。全身の筋肉は緩むが脳は活発に活動し眠りが浅い状態であり、「体を休ませる睡眠」。一方、眼球がほとんど動かない「Non-Rapid Eye Movement」を、ノンレム(Non-REM)睡眠と呼ぶ。筋肉はある程度の緊張を保つ一方、脳の活動は低下しており、眠りが深い状態で「脳を休ませる睡眠」。
本当は8時間睡眠人間なのに、最近、特に少ない。
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産経新聞・心と体のバランスシリーズ第4回 不眠症状と健康障害
100年間で日本人の睡眠は1.5時間短縮
日本では成人の30%以上が“不眠症状”を有していて、6~10%が“不眠症”です。高齢者の外来診療や在宅医療では、“不眠症状”の訴えが一番多いような気がします。不眠症とは「毎晩の実際の睡眠時間の長短にかかわらず、患者自身が睡眠に対する不足感を訴え、身体的、精神的、社会的に支障がある状態」と定義され、症状によって4つのタイプに分類されます。床についてもなかなか眠れない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚めて再び眠るまでに時間がかかる「中途覚醒」、予定の起床時刻より2時間以上早く目が覚めて、その後眠ることのできない「早朝覚醒」、睡眠時間は十分だがぐっすり眠った感覚が得られない「熟眠障害」です。よく適切な睡眠時間は8時間と言われていますが、人それぞれ異なります。エジソンやナポレオンは1日3~4時間しか眠らず、アインシュタインは1日10時間以上眠っていたと言われています。しかし適切な睡眠時間とは、時間の長短ではなく、日中元気に過ごす為に必要な時間です。つまり、日中、元気に過ごせて眠気で困ることがなければ、睡眠時間が足りていることになります。
統計を調べると日本人の1日の睡眠時間は,平日は7時間14分,土曜が7 時間37分,日曜は7 時間59 分で,平日<土曜<日曜の順に長くなっています。最近5 年間の変化をみると,国民全体では,どの曜日も減少傾向にあります。国際比較で見ればこれは先進国の中で最短です。この100年間で日本人の睡眠時間は1.5時間以上短くなっているそうです。1960年には66%の人が22時に就寝していたのに、2010年には25%に減少。それは長時間労働や長距離通勤、テレビなどのメデイア、コンビニの発達など社会全体が夜型の生活パターンになったからでしょう。実は不眠症状は大人だけの問題ではありません。現代の子供の3~4人に1人が睡眠問題を抱えています。親の夜型生活も関係するのか、床に入る時間が年々遅くなっています。起きる時間は一緒なので、子供も睡眠不足になります。子供の睡眠不足は学習障害などの原因になります。睡眠が足りると学力は上がります。大人も睡眠不足は様々な病気と関係しています。うつ病との関連はあまりにも有名。また肥満や高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクも上がります。さらにがんのリスク、特に乳がんや大腸がんのリスクが上がることが知られています。
良質な睡眠には良い睡眠パターンが必要です。まず、寝つくとすぐに深いノンレム睡眠に入り、脳を休めます。そして、徐々に眠りが浅くなりレム睡眠に変わります。このノンレム睡眠とレム睡眠は、約90分周期で繰り返されます。睡眠の後半になりますと、浅いノンレム睡眠とレム睡眠が多くなり、徐々に脳が活性化して目覚めます。なお、健康な人でも一晩に数回、短い覚醒は起こりますが、すぐに再び眠れるのなら、問題ありません。
現代日本の様々な病気の増加は、よく老化や高齢化で説明されています。しかし“睡眠”という基本的な営みにもっと注目すべきではないか。さらに経済問題、貧困、少子化などの国の重要課題も根っこをたどれば“睡眠”に行きあたるような気がします。次回は、この現代病ともいえる睡眠障害の治療法や睡眠薬について考えてみましょう。(続く)
キーワード レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠中に眼球がぴくぴく活発に動く、「急速な眼球運動Rapid Eye Movement」をレム(REM)睡眠と呼ぶ。全身の筋肉は緩むが脳は活発に活動し眠りが浅い状態であり、「体を休ませる睡眠」。一方、眼球がほとんど動かない「Non-Rapid Eye Movement」を、ノンレム(Non-REM)睡眠と呼ぶ。筋肉はある程度の緊張を保つ一方、脳の活動は低下しており、眠りが深い状態で「脳を休ませる睡眠」。
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この記事へのコメント
在宅診療専門部と、外来診療専門部に分けて、長尾先生は徹夜の仕事をなさった時は、あくる日は午後から診療のにするとか...。
ダメですかね?
Posted by にゃんにゃん at 2014年09月15日 02:56 | 返信
睡眠は専門ではありませんが,気になったのでコメントさせて下さい。
多くの疫学的研究が睡眠不足を6時間以下の睡眠と定義しているように思います。
この100年で睡眠時間が1.5時間減少し,7−8時間になったからといって,数々の疾患のリスクが上昇したかのように記載するのは根拠に欠けるように思いますが,いかがでしょうか。
Posted by 通りがかり at 2014年09月17日 11:29 | 返信
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