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産経新聞・睡眠シリーズ
2014年09月22日(月)
無事、日本に帰ってきました。
しかしこれから深夜まで山のような仕事です。
9月20日の産経新聞兵庫版の連載に書いた睡眠シリーズです。
しかしこれから深夜まで山のような仕事です。
9月20日の産経新聞兵庫版の連載に書いた睡眠シリーズです。
産経新聞・心と体のバランスシリーズ第5回 高齢者と睡眠薬
夜間トイレ時のふらつき→転倒に注意
「先生、眠れません。睡眠薬を出して下さい」。外来でも在宅でもこう訴える高齢者が増えています。どれくらい眠れないのか詳しく聞きました。「夜10時に床に入るのですが、眠りに入れるのは午前1時頃。でも朝5時には目覚めてしまい、布団の中で2時間くらいゴソゴソしてます」。なるほど、眠っているのが4時間で、悶もんとしているのが合計5時間とそちらの方が長い訳か。たしかに辛いでしょうね。家族にそう言うと、家族は手を横に振っています。「いえいえ、ガーガーよう寝てはりますよ」と。私はいったいどちらの話を信じたらいいのか迷うことがあります。ひとつだけ確かなことは、「眠れない」話を毎回する割には、ちっとも眠そうな顔をしていないこと。私のほうがずっと眠そうな顔です。
ここで「不眠症」の定義を書きます。1)睡眠の質や維持に関する訴えがある、2)睡眠時間が確保されているのに眠れない、3)日中に問題がおきる。この3つの条件を満たしてはじめて「不眠症」と言えるのです。この方は、顔色も良く笑顔で日中の活動に特に支障が無いようなので不眠症ではありません。「じゃあもっと夜遅く眠たくなってから床に入ればどうですか?あと、日中たとえ10分でもちゃんと太陽を浴びていますか?」とアドバイスし、安易に睡眠薬を出さないようにしています。その理由は睡眠薬で転倒する可能性があるからです。高齢者が夜中にトイレに立った時に転倒して骨折する人が増えています。入院・手術したものの寝たきりになり、結局家に帰れず施設で最期を迎える人が時々おられます。もしその人が睡眠薬を飲んでいたならば、その転倒の原因の一端は私にある。そう思うと「ああ、そうですか」と安易に睡眠薬を処方するわけにはいきません。
現在日本で発売されている睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系に大別されます。それに加えて最近は、メラトニン受容体作動薬が加わりました。ハルシオンやレンドルミンやデパスに代表されるベンゾジアゼピン系の睡眠薬や安定剤はかつてよく使われましたが、現在では特に高齢者にはあまりお勧めしません。なぜなら、高齢者では筋弛緩作用のため、夜間トイレ時などに転倒しやすいからです。長年飲んでいる人は半量に減らすことや非ベンゾジアゼピン系への変更を提案しています。いずれにせよ1~2割の高齢者が睡眠薬を飲んでいるそうですが、自分が飲んでいる睡眠薬がどの系統なのかはよく知っておいてください。
年を取れば、誰でも睡眠時間は短くなります。若い時と同じように8時間ぐっすりとはいきません。たとえ4~5時間しか眠れなくても、日中の活動に支障がなければ問題ありません。よく聞くと2~3時間もの長い昼寝をしている人もいます。また、さまざまな理由で日中に太陽の光を全く浴びない人がいますが、それでは睡眠の「リズム」ができません。あと夜間頻尿のために不眠になる人もいます。もし過活動膀胱ならば頻尿改善薬が役に立つことがあります。あるいは神経痛でよく眠れないなら痛み止で眠れることも。いずれにせよ、眠たくなってから床に入ることと、必ず日中、太陽の光を浴びることが基本です。さらに寝酒はお勧めできません。眠りが浅くなります。お酒は食事の時に飲んでください。もし睡眠薬が必要そうなら、かかりつけ医とよく相談して慎重に選んで下さい。
キーワード 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
商品名でいうと、マイスリー、アモバン、ルネスタなどが発売されている。別にメラトニン受容体作動薬としてロゼレムがある。作用時間の長さにもよるが、ベンゾジアゼピン系薬剤と比べて、転倒のリスクが低いとされている。
夜間トイレ時のふらつき→転倒に注意
「先生、眠れません。睡眠薬を出して下さい」。外来でも在宅でもこう訴える高齢者が増えています。どれくらい眠れないのか詳しく聞きました。「夜10時に床に入るのですが、眠りに入れるのは午前1時頃。でも朝5時には目覚めてしまい、布団の中で2時間くらいゴソゴソしてます」。なるほど、眠っているのが4時間で、悶もんとしているのが合計5時間とそちらの方が長い訳か。たしかに辛いでしょうね。家族にそう言うと、家族は手を横に振っています。「いえいえ、ガーガーよう寝てはりますよ」と。私はいったいどちらの話を信じたらいいのか迷うことがあります。ひとつだけ確かなことは、「眠れない」話を毎回する割には、ちっとも眠そうな顔をしていないこと。私のほうがずっと眠そうな顔です。
ここで「不眠症」の定義を書きます。1)睡眠の質や維持に関する訴えがある、2)睡眠時間が確保されているのに眠れない、3)日中に問題がおきる。この3つの条件を満たしてはじめて「不眠症」と言えるのです。この方は、顔色も良く笑顔で日中の活動に特に支障が無いようなので不眠症ではありません。「じゃあもっと夜遅く眠たくなってから床に入ればどうですか?あと、日中たとえ10分でもちゃんと太陽を浴びていますか?」とアドバイスし、安易に睡眠薬を出さないようにしています。その理由は睡眠薬で転倒する可能性があるからです。高齢者が夜中にトイレに立った時に転倒して骨折する人が増えています。入院・手術したものの寝たきりになり、結局家に帰れず施設で最期を迎える人が時々おられます。もしその人が睡眠薬を飲んでいたならば、その転倒の原因の一端は私にある。そう思うと「ああ、そうですか」と安易に睡眠薬を処方するわけにはいきません。
現在日本で発売されている睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系に大別されます。それに加えて最近は、メラトニン受容体作動薬が加わりました。ハルシオンやレンドルミンやデパスに代表されるベンゾジアゼピン系の睡眠薬や安定剤はかつてよく使われましたが、現在では特に高齢者にはあまりお勧めしません。なぜなら、高齢者では筋弛緩作用のため、夜間トイレ時などに転倒しやすいからです。長年飲んでいる人は半量に減らすことや非ベンゾジアゼピン系への変更を提案しています。いずれにせよ1~2割の高齢者が睡眠薬を飲んでいるそうですが、自分が飲んでいる睡眠薬がどの系統なのかはよく知っておいてください。
年を取れば、誰でも睡眠時間は短くなります。若い時と同じように8時間ぐっすりとはいきません。たとえ4~5時間しか眠れなくても、日中の活動に支障がなければ問題ありません。よく聞くと2~3時間もの長い昼寝をしている人もいます。また、さまざまな理由で日中に太陽の光を全く浴びない人がいますが、それでは睡眠の「リズム」ができません。あと夜間頻尿のために不眠になる人もいます。もし過活動膀胱ならば頻尿改善薬が役に立つことがあります。あるいは神経痛でよく眠れないなら痛み止で眠れることも。いずれにせよ、眠たくなってから床に入ることと、必ず日中、太陽の光を浴びることが基本です。さらに寝酒はお勧めできません。眠りが浅くなります。お酒は食事の時に飲んでください。もし睡眠薬が必要そうなら、かかりつけ医とよく相談して慎重に選んで下さい。
キーワード 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
商品名でいうと、マイスリー、アモバン、ルネスタなどが発売されている。別にメラトニン受容体作動薬としてロゼレムがある。作用時間の長さにもよるが、ベンゾジアゼピン系薬剤と比べて、転倒のリスクが低いとされている。
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この記事へのコメント
私の父は、タバコを吸っていたので、不眠症になったのではないかと思います。
「もう、いつ死んでもいい」が口癖でした。これは戦中派の人に多いと思います。
不眠症なので、ハルシオンに頼り、父(次男)の長兄に当たる伯父と仲良く、アメリカ人用の大きなハルシオンを飲んでいました。それで、夜中にトイレに起きて、転倒していました。
夜中によく、「泥棒が入って来た!」と大声で、怒鳴ることがあって、「お父さん!夢ですよ」と母が、起していました。これはタバコによる、レビー型認知症の初期だったのかなあと思います。
結局、労災病院で、耳下腺腫瘍の手術の後、放射線治療を受けて、退院したその日に転倒して、圧迫骨折をして、ほゞ寝たきり状態になって、インフルエンザに罹って、入院してMRSAに感染して8年前に死にました。
父と私は、弥次喜多道中のお笑い話のバカップルみたいですが、何かの参考にして頂ければと、何度もお話してしまいます。
長尾先生無事にお帰りになって良かったです。お帰りになったら、物凄い患者さんで、喜んで良いのか、泣き笑いですね。
是非休息を、取って下さいね。
Posted by 大谷佳子 at 2014年09月23日 04:40 | 返信
戦後は眠らずにとか眠くならない薬が重宝されました 皆様 働くのが使命だと思われていましたから。いまや生活が満ち足り飽食の時代になり 予防と養生とか節制の話をしても馬耳東風です これからは厳しい社会情勢のもと 理研の自殺された先生の年代の方の うつ関係の睡眠で悩まれる方も増えてくるのでしょうか・・・・
Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2014年09月24日 08:59 | 返信
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