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後期高齢者の抗がん剤治療

2014年10月03日(金)

今夜、消化器病の勉強会の研究発表を少しだけ聴いていた。
後期高齢者の胆道系腫瘍への抗がん剤治療についいての発表だった。
なんと、後期高齢者の抗がん剤の成績は若年者と変わらなかった、というのだ。
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若き研究者だった。
後輩だ。

要は、「後期高齢者でも元気ならば、どんどん抗がん剤を投与しましょう」
という趣旨の発表だと理解した。

しかしこんな研究をしているのでは、益々医療不信が高まるのだろうと感じ、
黙っておられなくなり、静かな質問をさせていただいた。

「後期高齢者ならば認知症も考慮して治療しないといけないのでは?」と。
できれば、高齢者総合機能評価(CGA)を使って欲しいと。

すると、「認知症の有無の判定には精神科受診が必要なので
実際には、不可能」という趣旨の答えが返ってきた。

おいおい、認知症は、ある、ないの問題ではないのだが。
そして精神科に行かなくてもそれくらい判断するのが、医者ではないのかな。


もちろん彼には、答えのかけらも無い。
彼を責めているのではなく、こんな医者を作る医療界がおかしい!と心底、思った。


まさに木を見て森を見ず。
100歳を超えても抗がん剤治療をする、のだという・・・


折しも、今夜のキンスマに近藤誠医師が登場したらしい。
会場のみなさんを魅了したと。

今夜は、23時までクリニックの運営会議をしていた。
帰宅すると患者さんたちから、近藤テレビの報告が相次いだ。

「怖い!」
「絶対、おかしい!」
「マスコミはどうなっているのだ!」・・・

たしかにおかしい。
しかし百歳の胆道がんのおばあちゃんに抗がん剤をやる医者もおかしい。

この問題は、いつか改めてちゃんと書かないといけないと思った。
どうせ医者は読まないから、患者さんに向けてもう少し発信しようと改めて思った。


PS)
明日は、和歌山講演。
高野山の宿坊に泊まり、
明後日は、奈良で上野千鶴子さんの講演を主催。
1200人の方とお会いするが、私は残念ながら挨拶だけです。





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この記事へのコメント

近藤誠先生の本が飛ぶように売れ、先日ブログで紹介されたような、長い批判の手紙を送って来る方がでるのは、この研究者のような、癌しか見えず、患者の人生、今の状態なんて見ようともしない、考えもしない医師、パソコン画面を見ながら喋り、患者の疑問、恐れ、、、患者に寄り添い一緒に病に向き合おうとしない医師(患者が多くて、もあるかもですが)、医師の方針に口を挟めば、放り出される(放置療法?を選んだ手紙の方もでしたね)、そんな状態が当たり前のような現在があるからでしょう。
いくら元気とはいえ、人生ゴール近い方、猛毒?の抗がん剤を使って延命して意味があるのか?頭の隅にも浮かばないのでしょうね。
先生、どうせ医者は読まないから、と言われても、医者の意識改革は医者しか無理なんでは?
長い手紙の方のように、患者が色々勉強し、疑問投げかけ、患者自身はこうしたい、と意思表示したら、患者は黙って従え、的態度を取られるのがおち、とまでは言ってはいけない?そんな医者がまだまだ多い?
医者向けに色んな所で発信しまくって下さい。

Posted by 小畑ふみこ at 2014年10月05日 05:49 | 返信

今日先生のブログを始めて読まさせていただきました。
後期高齢者にも抗がん剤を、と主張する若き医師についての長尾先生のご意見には全く同感です。
飲み会の席とはいえ「病気には興味があるが患者に興味があるわけではない」と実際に口にする医師が私の同級生にいます。
彼は学生時代から秀才の誉れ高き人物でしたが、同窓会でのこの発言以来、彼の診療所を受診する友人は
いなくなったと聞きます。
私は長尾先生の本3冊と近藤医師の本を2冊読みました。いずれも力作で考えさせられると同時に相当のメッセージも感じ取りました。
近藤先生のTV出演に対して医療界から批判が殺到しているようですが、その近藤先生自身、ダメ医者を見分ける方法として実に正論といえる6つの基準を挙げています。近藤医師には様々な医師から人格否定に近い攻撃が浴びせられていますが、この6つの基準を見る限り先の若き医師よりははるかに評価できる医師だと私は思います。
近藤批判の殆どは近藤全否定です。その点、長尾先生はこれまで近藤氏に対して評価するべきは評価し、異論を唱えるところははっきり異論を提唱しておられます。長尾先生は抗がん剤に一定の理解を示しつつその限界と分水嶺をはっきりと示されています。
近藤氏と若干のニュアンスは違えど、末期患者さんに対するスタンス、見識は実はそれほど異なりません。
不幸なことに自分の現在の立場や社会的評価などといった雑音が入ってしまうと人間引くに引けないこともあります。自尊心や虚栄心ほど、つまり第3者の目が介入した状況ほど実のある建設的な収束を妨げるものはありません。
先生は中村仁一先生と意見を戦わせていませんし、近藤先生もまた然りです。第3者抜きで本音を語り合う機会があれば先生は必ず近藤氏と多くの点で認識を共有できるに違いありません。何故ならお二人とも真剣に希望の無い患者さんたちにこれまで誰よりも真剣に向き合ってきたからです。
やや弁証法的な方法論かもしれませんが一切メディアの餌食にならず差しで向かい合う機会「シャンパン1本あれば言うことなし」があればお二人は日本の腐敗した医療界を一気に洗浄消毒できる逸材だと私は
踏んでいます。
医療の将来を担う勇気あるそしてまだまだ若き御二人へ。ご健闘をお祈りいたします。

Posted by 風祭右京 at 2014年10月05日 09:32 | 返信

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