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マスコミ各社に抗議します

2014年11月04日(火)

ブリタニーさん死亡の報道が相次いでいる。
しかし「安楽死」と「尊厳死」を完全に間違えて報道している。
これだけ発信していても、全く勉強していない記者がこんな誤りをおかす。

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ブリタニーさんは、安楽死されました。
尊厳死ではありません。

そもそも尊厳死と安楽死は違うものです。
日本尊厳死協会は、安楽死に反対しています!

メデイアが、今度は安楽死を煽っているように見える。
はっきり言って、無茶苦茶な報道が続いている!

強く抗議したい。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


ブリタニーさんが予告どうり亡くなられました。
本当に残念でなりません。
今はご冥福をお祈り申し上げるしかできません。
 
多くのマスメデイアが彼女の死を取りあげています。
私は、昨日も深夜まで仕事をしていたので移動の合間に
断片的にしか報道を見ていませんが、3本ほど見ました。
 
気になることがありました。
 
彼女の死に、いくつかの代名詞や形容詞がついていました。
 
・安楽死
・尊厳死
・自殺、の少なくとも3種類が使われていました。
 
あれ?っと思った方も多かったかも。
いや、気がつかなかった方が多いかな?
実は、報じたメデイアもあまり気にしていないのかもしれません。
 
正しくは、「安楽死」です。
 
ブリタニーさんの死は、「尊厳死」ではありません。
 
では、なぜ一部のメデイアは、「尊厳死」として報じたのでしょうか?
 
実は、あれを欧米では「尊厳死」ともいうからです。
「Death with dignity」の直訳が、日本語では「尊厳死」となるのです。
 
日本でみなさんが言っている「尊厳死」とは、それではなく
「自然死」、「平穏死」のことです。
 
では、日本の尊厳死/自然死/平穏死は欧米ではなんと言うのか?
欧米では当たり前なので、特に言葉はありません。
敢えていうなら、やはり「自然死」でしょうか。
 
欧米で言う「Death with dignity」とは、日本語の「尊厳死」に加えて
日本語の「安楽死」をも含む言葉で、厳密には自然死より広い概念です。
あるいは日本語での「尊厳死」と「安楽死」をそんなに区別していません。
 
みなさん、ここまで大丈夫ですか?
 
では、「自殺」という表現はどうでしょうか?
 
欧米では「Death with dignity」とは、別名「Physician assisted suicide」。
「医者が介助する自殺」のことです。
医者が薬物を用いて人為的に寿命を短くして命を断つ行為。
 
2つの方法があります。
1)    医師が直接、薬剤を注射ないし点滴する場合と
2)    医師が死ぬ錠剤を処方して患者が自分で飲む場合です。
 
1)    は、100%死にますが、
2)    は、錠剤を持っているだけで実際に飲む人は少ないそうです。
ブリタニーさんの場合は2)で、実際に飲んでしまったのですが。
 
日本での自殺といえば、首を吊ったり、飛び込こみイメージです。
しかし欧米では、自殺といえば、「Physician assisted suicide」です。
日本のような、自殺/自死は、キリスト教に反する行為なのです。
 
だから医者に「殺してもらう」しかないのです。
自分で死んだら、いけないのです。
この辺の感覚は宗教的背景が全く違うので、理解が難しい点です。
 
私は、1)も2)も本質的に「自殺」だと思います。
もしくは、「安楽死」だと思います。
 
以上をまとめますと、ブリタニーさんの死を
「安楽死」ないし「自殺」と報じたメデイアは日本語として正しいです。
 
しかし「尊厳死」と報道したメデイアは、明らかに間違っています。
なぜならここは日本だから、日本語を使わないといけないからです。
 
いくら欧米の「尊厳死」がそうであっても、それは日本国内で使われている
言葉としては、「安楽死」と表現しなければ、言葉が混乱するだけです。
 
事実、「安楽死や尊厳死は・・・」と両者は本来異なるのに、まったく
混同してメデイア等で話している医者や有識者が日本に沢山います。
 
メデイア自身もそうです。
そして「だから尊厳死はけしからん!」という報道が繰り返されます。
 
ブリタニーさんの死を機に、我々は何を学ぶべきか。
彼女はそんなメッセージを残したように感じます。
 
メデイアにはこうした言葉の使い方から、
ちゃんと報道して欲しいと切に願います。

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この記事へのコメント

 そんな 間違いをしていましたか  ネットのニュースはもっとひどいです ろくに監修も編集もせずに すぐに流すのかテロップも滅茶苦茶で尊厳死も自殺も滅茶苦茶でした 

Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2014年11月04日 10:51 | 返信

尊厳死と安楽死は
違うんですね。ギリギリで活動している医療現場では
違いは明確でなければ なりませんね。医師監修または、
医療問題担当の記者が不在か 単なる勉強不足か。
マスコミは、マスコミの モラルを しっかり見つめなければ。
いつかは小さい事の 積み重ねが 大きな失敗に
繋がりそうですね。伝えて 得意になるのではなく
伝えて 情報を提供し 安心を与える。
そういうマスコミたらん事に Dr.和先生は
違和感を感じられたのかもしれませんね。
医療現場を去り20年。私には 遠いニュースだな〜と感じ
はたまた 今健康の私は 死をどう受け止めるのかな
と 現実直視させられるニュースでした。
でも 死ぬ直前まで 生きたいと 思いたい私でした。

Posted by みぼ at 2014年11月04日 12:01 | 返信

 確かに今回の「安楽死」を「尊厳死」と報道している新聞がありますが、すべての報道で、間違えている訳ではありません。

 問題は「安楽死」か「尊厳死」か?、ではなく、いずれは訪れる「死」に対して、「それを自然に受け入れるか?」、それとも「何とか長く生きようとするか?」の違いではないでしょうか?
 但し、「安楽死」の場合は、殺人の手段として乱用される恐れがありますから、当事者間の同意だけではなく、第三者機関による厳重な管理が必要にはなるとは思います。
 逆に「尊厳死」であっても、あくまでも医師の判断がその引き金になります。「医師は絶対間違えない」という前提の上に立っている「尊厳死」も完全なものではないのは自明の理です。

 死を目の前にしている本人と、周囲の家族などでも、それぞれ考えの違うものです。議論は構いませんが、追及して答えの出るものもないと思います。

Posted by 東條英機 at 2014年11月04日 07:34 | 返信

日本尊厳死協会のホームページに、協会の英訳を「JAPAN SOCIETY FOR DYING WITH DIGNITY」と載せています。
日本尊厳死協会のホームページの「協会のあゆみ」を見ると、1976年に「日本安楽死協会」を設立し、1983年に「日本尊厳死協会」へ名称を変更しています。(Wikipedia 太田典礼:協会初代理事長 参照)
協会が目指すことも、議論を経て現在の「過剰な医療を拒否する権利」確立へ変化してきたわけです。

グローバル化と英語が世界語になっている現況を鑑みるに、death あるいは DYING と DIGNITY を結びつける限りは、英語的解釈が優先することに一生懸命反発したところで無駄な労力ではないかと思います。

やはりnatural death / normal death を使用して「日本自然死協会」、あるいは造語で「日本平穏死協会」たとえばJAPAN SOCIETY FOR DYING WITH PEACE / WITH CALM などなど、どう考えても日本側が dignity を使わないように変更した方がややこしくないと思います。

そうしないといつまでたっても「日本尊厳死協会に入っている」というと「エッ!!自殺するの? 違う? そうか、病気で治らないと安楽死させてくれるんだ・・」なんて言われます。

Posted by komachi at 2014年11月04日 08:53 | 返信

本当に残念です。報道の仕方・・・
安楽死と尊厳死が別々に使われているのなら、まだマシ。
めちゃくちゃなものであれば、同じ記事の中で安楽死、尊厳死と同じように書かれている。

そしてそれに躍らされるような人々の
「日本では認められていないから、ガンになれば苦しんで死ぬしかない」という浅はかな考え・・・

先生・・・
先生がこれだけ著書や講演に精を出しても、世の中この有様ですよ。まるで冒涜にさえ感じます。

Posted by ままさん at 2014年11月04日 09:06 | 返信

テレビは見ていないので分かりませんが、日経を読んでいたら「尊厳死」とあり、ネットにも上がっていました。 朝日は、分けることを伝えているようですね。

日本経済新聞
尊厳死宣言の米女性が死亡 「死ぬ権利」めぐり論議


朝日新聞デジタル
尊厳死・安楽死、日本では 「米国のケースは自殺幇助」


マスメディアは第四の権力とされています。

けれど、私の知る限り・・・マスコミ関係で働いている人には、残念ながらそれほどの知識レベルがある方との出会いはありません。みなさん、外見だけを重視されていました。

女子アナウンサーが、ミス○○であることが就職に有利、ということが話題になったことがあったとを記憶しています。 そういう方を優先的に選んでいることで、本当の情報を伝える大事な仕事を作れるのか? と思っていましたが。

こうしたことは、今の社会に、無関係とはいえないと思います。 とても残念です。

Posted by よしみ at 2014年11月05日 12:42 | 返信

 昨日 4日 火曜日の産経新聞夕刊の記事 見出しが「米女性尊厳死」・・・脳腫瘍で余命わずかと宣告されて「尊厳死」すると予告していた米国の女性が・・・とありました。

Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2014年11月05日 06:52 | 返信

私などがコメントしていいものか迷いましたが、結局書き込むことにしました。 
家で読む紙面では「尊厳死」という表現ではありましたが、日本ではこういうケースは医師による殺人になる恐れがあり、日本では別次元のこととして捉えられている、となっており、オランダなどの安楽死についての法律などに触れている内容だったので違和感ありませんでした。テレビニュースはまったく見れていません。。
私が違和感や危機感?のようなものを感じるのは、なぜこのアメリカの女性は「自殺の予告をネットでしたのか」ということでした。ネット予告までしなかったら、もし気が変わって生きよう!と思ったときに、たとえ薬を持っていても飲まなくてもよかっただろう、思いとどまりやすかったであろうと感じるので、メディアというよりは、この女性がネットで自殺の予告をしたという倫理観に違和感を覚えるし、なにかこの出来事で安楽死を賛美する風潮などがおきないよう祈ります。

Posted by おーい at 2014年11月06日 01:06 | 返信

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