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人間社会と腸内細菌叢
2014年11月11日(火)
腸の善玉菌を増やすにはどうすればいいのか。
そもそも、腸内細菌叢と人間社会と似ている。
そんなことを、11月8日の産経新聞兵庫版の連載に書いてみた。
そもそも、腸内細菌叢と人間社会と似ている。
そんなことを、11月8日の産経新聞兵庫版の連載に書いてみた。
産経新聞・腸と心シリーズ第4話 人間社会と腸内細菌叢
善玉菌を増やすための知恵と工夫
人間の腸の中には、3万種、1000兆個という気が遠くなるような数の細菌が棲んでいます。そして腸内細菌叢は人間社会とどこか似ています。どこの町にもいい人間と悪い人間、どちらとも言えない(日和見)人間がいます。住みやすい町とは、治安のいい町、いい人間が悪い人間より多い町です。しかし100%いい人間の町など存在したいように、腸内細菌も100%善玉菌ということはあり得ません。最適な善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合は、2:1:7と言われています。一番多い日和見菌は、善玉菌が悪玉菌より多ければ、「善玉菌的」になりますが、悪玉菌のほうが優位になれば「悪玉菌的」になります。ますます人間社会と同じですね。前回「幸せホルモンは腸で造られる」ことを書いてきました。今回、良い腸内細菌叢を造るにはどうすればいいか考えてみましょう。そもそも善玉菌を含む健康食品をいっぱいとれば、本当に腸の中の善玉菌が増えるのでしょうか?
ヨーグルトやチーズのような発酵食品や発酵乳製品を沢山摂れば、善玉菌である乳酸菌が増えるのでしょうか?実は乳酸菌の9割は腸に届く前に胃酸で分解されてしまいます。しかもせっかく生きて腸に届いてもウンコとして放出されてしまいます。なんだか夢を壊すような話でスミマセン。しかし最後までよく聞いてください。実は、死滅した乳酸菌も生きた乳酸菌と同等かそれ以上の効果があることが分っています。死んだ乳酸菌にも腸管免疫を刺激する作用がちゃんとあります。死滅した乳酸菌を含む溶液が腸に届くと,腸の乳酸菌が増えるのです。さらに最近は、生きた細菌だけでなく、善玉菌の餌になる物質を腸内に取り込もうという「プロバイオテイクス」の研究が進んでいます。善玉菌の餌となるオリゴ糖は熱や酸に強く、胃酸や消化酵素によっても分解されません。オリゴ糖や水溶性食物繊維や発酵物などを使って善玉菌を増やすことができることが分ってきました。
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの腸は無菌状態です。しかしお腹から出た途端に、母乳や手指などを通じて様々な細菌が腸内に入ってきます。生まれたての赤ちゃんの腸の中は大腸菌などの悪玉菌が多いのですが、すぐに善玉菌であるビフィズス菌が9割を占めるようになります。しかし離乳期になると大人と同様なものを食べるので、悪玉菌が増えます。そして成人~壮年期になると徐々にビフィズス菌は減少して悪玉菌が増えてきます。高齢者になると悪玉菌であるウエルシュ菌が増えて善玉菌と悪玉菌の割合が逆転してきます。以上は、あくまで一般的な傾向で、食事内容によってかなりの個人差が出てきます。
ちなみに動物の世界では常に腸内細菌叢を豊かにする仕組みがあります。コアラは生まれたばかりの子供にお母さんが自分のウンチをなめさせます。ユーカリの毒を中和するためにお母さんの腸内細菌叢に近づくようにするのです。パンダも笹を消化することができるように、同様にお母さんのウンチをなめさせます。そういえば人間も昔は、お母さんの腸内細菌が赤ちゃんの口に自然に入ってきたものですが、最近は衛生観念の発達でそうしたことが少なくなりました。さてインフルエンザをはじめとするウイルスの季節です。ワクチン接種も大切ですが最後は自分の免疫力です。そして免疫とは腸内細菌叢。そのバランスを整える努力こそ本当の「予防」だと思います。
キーワード オリゴ糖
オリゴとは「少ない」という意味で単糖が数個結合したものをいう。デンプンや砂糖、乳糖などを原料に作られる。大豆、ごぼう、玉ねぎなどに多く含まれ、善玉菌の代表であるビフィズス菌の栄養素となる。
善玉菌を増やすための知恵と工夫
人間の腸の中には、3万種、1000兆個という気が遠くなるような数の細菌が棲んでいます。そして腸内細菌叢は人間社会とどこか似ています。どこの町にもいい人間と悪い人間、どちらとも言えない(日和見)人間がいます。住みやすい町とは、治安のいい町、いい人間が悪い人間より多い町です。しかし100%いい人間の町など存在したいように、腸内細菌も100%善玉菌ということはあり得ません。最適な善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合は、2:1:7と言われています。一番多い日和見菌は、善玉菌が悪玉菌より多ければ、「善玉菌的」になりますが、悪玉菌のほうが優位になれば「悪玉菌的」になります。ますます人間社会と同じですね。前回「幸せホルモンは腸で造られる」ことを書いてきました。今回、良い腸内細菌叢を造るにはどうすればいいか考えてみましょう。そもそも善玉菌を含む健康食品をいっぱいとれば、本当に腸の中の善玉菌が増えるのでしょうか?
ヨーグルトやチーズのような発酵食品や発酵乳製品を沢山摂れば、善玉菌である乳酸菌が増えるのでしょうか?実は乳酸菌の9割は腸に届く前に胃酸で分解されてしまいます。しかもせっかく生きて腸に届いてもウンコとして放出されてしまいます。なんだか夢を壊すような話でスミマセン。しかし最後までよく聞いてください。実は、死滅した乳酸菌も生きた乳酸菌と同等かそれ以上の効果があることが分っています。死んだ乳酸菌にも腸管免疫を刺激する作用がちゃんとあります。死滅した乳酸菌を含む溶液が腸に届くと,腸の乳酸菌が増えるのです。さらに最近は、生きた細菌だけでなく、善玉菌の餌になる物質を腸内に取り込もうという「プロバイオテイクス」の研究が進んでいます。善玉菌の餌となるオリゴ糖は熱や酸に強く、胃酸や消化酵素によっても分解されません。オリゴ糖や水溶性食物繊維や発酵物などを使って善玉菌を増やすことができることが分ってきました。
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの腸は無菌状態です。しかしお腹から出た途端に、母乳や手指などを通じて様々な細菌が腸内に入ってきます。生まれたての赤ちゃんの腸の中は大腸菌などの悪玉菌が多いのですが、すぐに善玉菌であるビフィズス菌が9割を占めるようになります。しかし離乳期になると大人と同様なものを食べるので、悪玉菌が増えます。そして成人~壮年期になると徐々にビフィズス菌は減少して悪玉菌が増えてきます。高齢者になると悪玉菌であるウエルシュ菌が増えて善玉菌と悪玉菌の割合が逆転してきます。以上は、あくまで一般的な傾向で、食事内容によってかなりの個人差が出てきます。
ちなみに動物の世界では常に腸内細菌叢を豊かにする仕組みがあります。コアラは生まれたばかりの子供にお母さんが自分のウンチをなめさせます。ユーカリの毒を中和するためにお母さんの腸内細菌叢に近づくようにするのです。パンダも笹を消化することができるように、同様にお母さんのウンチをなめさせます。そういえば人間も昔は、お母さんの腸内細菌が赤ちゃんの口に自然に入ってきたものですが、最近は衛生観念の発達でそうしたことが少なくなりました。さてインフルエンザをはじめとするウイルスの季節です。ワクチン接種も大切ですが最後は自分の免疫力です。そして免疫とは腸内細菌叢。そのバランスを整える努力こそ本当の「予防」だと思います。
キーワード オリゴ糖
オリゴとは「少ない」という意味で単糖が数個結合したものをいう。デンプンや砂糖、乳糖などを原料に作られる。大豆、ごぼう、玉ねぎなどに多く含まれ、善玉菌の代表であるビフィズス菌の栄養素となる。
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この記事へのコメント
噛まない食事を好む若者のウンチは臭く 焦げたような匂いがするとか ホリエモンが刑務所でトイレの世話係りだったときにみんなのウンチが同じ匂いがするのは何故かと考えたら食べ物が同じだからと気が付いたと 刑務所・・・に書かれていました。腸の長い日本人が粉食を好むようになるとどうしても つまるのでしょうな~
Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2014年11月11日 07:19 | 返信
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