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脳とミトコンドリアエンジン
2014年11月23日(日)
昨日の産経新聞兵庫版・腸と心シリーズ第6回目は
脳とミトコンドリアエンジンについて書いた。
私ももうミトコンドリアエンジンに変わってきている。
脳とミトコンドリアエンジンについて書いた。
私ももうミトコンドリアエンジンに変わってきている。
産経新聞腸と心シリーズ第6回 脳とミトコンドリアエンジン
50歳は人生と食事内容の転換期
私は現在56歳。オッサン真っ盛りです。昔は人生50年でした。男女とも平均寿命が50歳を超えたのは戦後、1974年のことです。戦後70年で日本人の平均寿命は、30年以上も伸び世界一の長寿国になりました。だから56歳が若いのか年寄りなのかサッパリ分りません。ひとつだけハッキリ言えるのは、自分が日々老化して年寄りに近づいていることを明確に感じること。女性には更年期がありますが、実は男性にもあります。50歳代は、まさに人生の転換期であると感じるこの頃です。食べ物や酒の嗜好も若い頃とかなり変わりました。洋食から和食へ、日本酒やビールから焼酎や赤ワインに変わってきました。体が欲しているエネルギー源の種類が変化していることを感じます。
実は人間は「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」という、2つのエンジンを持っています。酸素を必要とせず糖を原料とする「解糖エンジン」と、酸素を活用してエネルギーを生み出す「ミトコンドリアエンジン」の2系統のエンジンを用いて我々は生きています。20代、30代の若い人は、瞬発力がある解糖エンジンによるエネルギーが必要です。分裂が盛んな皮膚、筋肉、骨髄細胞、精子などは解糖エンジンが動かします。今流行りの炭水化物抜きのダイエットや糖質制限食を、もし若者がすると栄養不足の弊害が起こります。しかし50歳あたりから、どうやら自然にエンジンが切り替わるようです。体内にある余分なエネルギーは皮下脂肪として蓄積されます。そして50歳以降には瞬発力ではなく、効率よく長時間連続してエネルギーを作り出せるミトコンドリアがエンジンのメインになります。ミトコンドリアとは細胞の中にある小器官で、1ケの細胞内に数十から数全個(平均300個)ほど存在しています。56歳の私の細胞はエンジンを解糖からミトコンドリアにゆるやかに移行している最中のようです。それが嗜好が変わる、ということ。
さて、脳は普段はミトコンドリアエンジンに依存していますが、ストレスがかかった時には瞬発力のある解糖エンジンを利用します。つまり、むしょうに甘いものを食べたくなります。食べ過ぎると全身の血管が老化しますし、脳の機能が低下してうつ病や認知症になり易くなります。解糖エンジンを動かすには糖質が必要ですが、過剰な摂取はミトコンドリアエンジンの働きを低下させます。繰り返しますが、脳はミトコンドリアエンジンによるエネルギーを前提としている臓器なのです。
糖質制限食の是非については医学界で賛否両論です。反対派は、栄養バランスを指摘したり、肉の食べ過ぎによる別の病気を心配します。私は、年齢や病態によると考えています。人間は加齢とともに自然に糖質制限傾向になっていくものだと思います。そうならない人はエンジンバランスが壊れているので認知症になります。糖質制限中に避けたほうがいい食べ物とは、ご飯、麺類、パン、ハム、ソーセージ、サツマイモ、トウモロコシなどです。食べてよいものは、卵類、乳製品、魚類、肉類、海藻類、キノコ類、野菜類でなどです。では90歳を超えても肉を食べてもいいか?もちろんいいのです。たんぱく質が含まれているので腸内で幸せ物質がたくさん合成されます。
キーワード ミトコンドリア
細胞内にある小さな袋で1つの細胞に数十から数千個(平均数百個)ほど存在する。ここで糖や脂肪を分解してエネルギーを得ている。エネルギーを沢山使う細胞ほどミトコンドリアの数が多い。
50歳は人生と食事内容の転換期
私は現在56歳。オッサン真っ盛りです。昔は人生50年でした。男女とも平均寿命が50歳を超えたのは戦後、1974年のことです。戦後70年で日本人の平均寿命は、30年以上も伸び世界一の長寿国になりました。だから56歳が若いのか年寄りなのかサッパリ分りません。ひとつだけハッキリ言えるのは、自分が日々老化して年寄りに近づいていることを明確に感じること。女性には更年期がありますが、実は男性にもあります。50歳代は、まさに人生の転換期であると感じるこの頃です。食べ物や酒の嗜好も若い頃とかなり変わりました。洋食から和食へ、日本酒やビールから焼酎や赤ワインに変わってきました。体が欲しているエネルギー源の種類が変化していることを感じます。
実は人間は「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」という、2つのエンジンを持っています。酸素を必要とせず糖を原料とする「解糖エンジン」と、酸素を活用してエネルギーを生み出す「ミトコンドリアエンジン」の2系統のエンジンを用いて我々は生きています。20代、30代の若い人は、瞬発力がある解糖エンジンによるエネルギーが必要です。分裂が盛んな皮膚、筋肉、骨髄細胞、精子などは解糖エンジンが動かします。今流行りの炭水化物抜きのダイエットや糖質制限食を、もし若者がすると栄養不足の弊害が起こります。しかし50歳あたりから、どうやら自然にエンジンが切り替わるようです。体内にある余分なエネルギーは皮下脂肪として蓄積されます。そして50歳以降には瞬発力ではなく、効率よく長時間連続してエネルギーを作り出せるミトコンドリアがエンジンのメインになります。ミトコンドリアとは細胞の中にある小器官で、1ケの細胞内に数十から数全個(平均300個)ほど存在しています。56歳の私の細胞はエンジンを解糖からミトコンドリアにゆるやかに移行している最中のようです。それが嗜好が変わる、ということ。
さて、脳は普段はミトコンドリアエンジンに依存していますが、ストレスがかかった時には瞬発力のある解糖エンジンを利用します。つまり、むしょうに甘いものを食べたくなります。食べ過ぎると全身の血管が老化しますし、脳の機能が低下してうつ病や認知症になり易くなります。解糖エンジンを動かすには糖質が必要ですが、過剰な摂取はミトコンドリアエンジンの働きを低下させます。繰り返しますが、脳はミトコンドリアエンジンによるエネルギーを前提としている臓器なのです。
糖質制限食の是非については医学界で賛否両論です。反対派は、栄養バランスを指摘したり、肉の食べ過ぎによる別の病気を心配します。私は、年齢や病態によると考えています。人間は加齢とともに自然に糖質制限傾向になっていくものだと思います。そうならない人はエンジンバランスが壊れているので認知症になります。糖質制限中に避けたほうがいい食べ物とは、ご飯、麺類、パン、ハム、ソーセージ、サツマイモ、トウモロコシなどです。食べてよいものは、卵類、乳製品、魚類、肉類、海藻類、キノコ類、野菜類でなどです。では90歳を超えても肉を食べてもいいか?もちろんいいのです。たんぱく質が含まれているので腸内で幸せ物質がたくさん合成されます。
キーワード ミトコンドリア
細胞内にある小さな袋で1つの細胞に数十から数千個(平均数百個)ほど存在する。ここで糖や脂肪を分解してエネルギーを得ている。エネルギーを沢山使う細胞ほどミトコンドリアの数が多い。
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この記事へのコメント
初めまして、長尾先生。私は、神戸市で歯科医をしている先生と同世代のものです。先生の平穏死できる人、できない人を読ませて頂き目からうろこ状態でした。干し柿状態は加齢によるエコモードであり、循環血液量の減少で心機能を保護しているということを知って考え方が変わりました。だから過剰な栄養や水分補給は必要ないんだと。とても参考になりました。有難うございました。
ところで、脳のミトコンドリアエンジンの話ですが、歳を取るとケトン体をエネルギー源としたTCAサイクル利用が主流になるということですね。結局のところ加齢による基礎代謝低下と運動不足が血糖値上昇を維持させ、インスリンの過剰分泌によって膵臓のインスリン枯渇が生じたり、糖化による血管の老化や活性酸素を生じたり、また利用できなかった糖分が脂質に変わり肥満になるのではと理解しています。一時期テレビで脳細胞は糖が唯一のエネルギー源だと宣伝され朝ごはんを食べないとバカになると言っていましたが大嘘ではないかと感じています。話が逸れてしまいましたが、年を取ると糖分を摂り過ぎてはいけないんだと。こういった理解でよろしいでしょうか?ご教授頂ければ幸いです。
Posted by 富田 真一 at 2014年11月24日 01:28 | 返信
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