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悪代官に十手を渡すとは
2014年11月27日(木)
医療事故調の調査報告書を巡っての議論が続いている。
日本救急医学会の堤先生の話はとても分り易い。
悪代官とは行政のこと。厚労省と現場の関係性のこと。
日本救急医学会の堤先生の話はとても分り易い。
悪代官とは行政のこと。厚労省と現場の関係性のこと。
11月27日(木) 悪代官に十手を渡すようなもの
今日も、医療事故の取り扱いを巡る状況に関して紹介します。
続いて「医療事故調査制度の創設に対する日本救急医学会の意見」として
埼玉医科大学総合医療センターの堤晴彦病院長 が登壇されました。
しかし堤氏は、「今日は日本救急医学会ではなく救急医療の現場で働く
一人の医師の立場から発言する」と断ってから発言されました。
問題追及の矛先は厚労省、患者側弁護士、検察、メディアに及びました。
まず厚労省については、医療事故調査制度を創設する狙いが
「調査権と行政処分権を得る」ことであれば、
「いまだに(2008年の)大綱案の議論が繰り返されている。
これでは悪代官に十手を渡すようなもの」と問題視されました。
しかし、厚労省の「医療事故調査制度に関するQ&A」サイトには、
「WHOドラフトガイドライン」に準拠すると記載されていることから、
「大岡越前のような官僚も厚労省内にいることが分かった」と述べました。
また第三者機関である医療事故調査・支援センターへの医療事故の
報告対象として、「医療行為に起因しない管理」は外れましたが、
「これは厚労省の保身ではないか」との見方を示しました。
「高齢者の転倒が報告されると、再発防止策を検討する中で、
その原因として病棟の看護師の配置数が少ないことが指摘される。
これは行政としては、非常に困る」と言及されました。
また遺族からは「逃げない、隠さない、ごまかさない」ことが求められ、
賛同するものの「今必要なことは、素直に謝罪できる環境作りではないか」
として、対立から対話への転換が必要だと訴えました。
「ただし、対立を煽るような人たちが加わるとうまくいかない」。
こう指摘する堤氏は、一部の患者側弁護士が医療事故調査で作成された
報告書を、民事訴訟に活用する動きを次のように形容されました。
「悪代官:越後屋、そちも悪じゃのう」
「越後屋:いえいえ…、お代官さんほどでは…」
さらに検察に対しては、杏林大学割り箸事件、東京女子医大事件、
福島県立大野病院事件という、医療事故が刑事事件になっても、
担当医が無罪になった例を挙げて説明しました。
検察の仕事についても第三者機関で検証する必要性を指摘された。
杏林大学割り箸事件では、事故発生時には、担当医を問題視する
一方的な報道がなされたほか、無罪判決後もその論調が変わらない報道が
一部にあったことを挙げ、書類送検時の医師の実名報道をやめるなど、
メディアにも改めるべき点があると述べました。
そのほか、堤氏は、交通事故における訴訟の増加や
「二つの機構」が存在するという問題点も指摘した。
以上の話を聴きながら、医療事故の調査報告書を巡って
行政、弁護、メデイアそれぞれに問題があることがよく分りました。
なんとなくでも、問題が複雑であることを知って頂ければ幸いです。
今日も、医療事故の取り扱いを巡る状況に関して紹介します。
続いて「医療事故調査制度の創設に対する日本救急医学会の意見」として
埼玉医科大学総合医療センターの堤晴彦病院長 が登壇されました。
しかし堤氏は、「今日は日本救急医学会ではなく救急医療の現場で働く
一人の医師の立場から発言する」と断ってから発言されました。
問題追及の矛先は厚労省、患者側弁護士、検察、メディアに及びました。
まず厚労省については、医療事故調査制度を創設する狙いが
「調査権と行政処分権を得る」ことであれば、
「いまだに(2008年の)大綱案の議論が繰り返されている。
これでは悪代官に十手を渡すようなもの」と問題視されました。
しかし、厚労省の「医療事故調査制度に関するQ&A」サイトには、
「WHOドラフトガイドライン」に準拠すると記載されていることから、
「大岡越前のような官僚も厚労省内にいることが分かった」と述べました。
また第三者機関である医療事故調査・支援センターへの医療事故の
報告対象として、「医療行為に起因しない管理」は外れましたが、
「これは厚労省の保身ではないか」との見方を示しました。
「高齢者の転倒が報告されると、再発防止策を検討する中で、
その原因として病棟の看護師の配置数が少ないことが指摘される。
これは行政としては、非常に困る」と言及されました。
また遺族からは「逃げない、隠さない、ごまかさない」ことが求められ、
賛同するものの「今必要なことは、素直に謝罪できる環境作りではないか」
として、対立から対話への転換が必要だと訴えました。
「ただし、対立を煽るような人たちが加わるとうまくいかない」。
こう指摘する堤氏は、一部の患者側弁護士が医療事故調査で作成された
報告書を、民事訴訟に活用する動きを次のように形容されました。
「悪代官:越後屋、そちも悪じゃのう」
「越後屋:いえいえ…、お代官さんほどでは…」
さらに検察に対しては、杏林大学割り箸事件、東京女子医大事件、
福島県立大野病院事件という、医療事故が刑事事件になっても、
担当医が無罪になった例を挙げて説明しました。
検察の仕事についても第三者機関で検証する必要性を指摘された。
杏林大学割り箸事件では、事故発生時には、担当医を問題視する
一方的な報道がなされたほか、無罪判決後もその論調が変わらない報道が
一部にあったことを挙げ、書類送検時の医師の実名報道をやめるなど、
メディアにも改めるべき点があると述べました。
そのほか、堤氏は、交通事故における訴訟の増加や
「二つの機構」が存在するという問題点も指摘した。
以上の話を聴きながら、医療事故の調査報告書を巡って
行政、弁護、メデイアそれぞれに問題があることがよく分りました。
なんとなくでも、問題が複雑であることを知って頂ければ幸いです。
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この記事へのコメント
私は鍼灸師なので、いわゆる患者さんにも、いろいろな方がいるなあとは思います。
もう開業して数年経っても、おばあちゃんの言われる通りにサービスしていると、もう少しで、「C型肝炎を感染させた」として訴えられるところだったこともあります。
結果として肝炎ではなかったのですけど。
おばあちゃんは良い人なんですけど、なんだかムシロ旗を担いで税務署に陳情する仲間がいるとのことで、色々な意見が出たようです。
どのような業界にとっても、行政は苦手な世界です。それはよくわかるのですけど、行政と業界と社会的弱者である患者さんとの間で、上手く妥協して行くしかないのではと私は思います。
まだまだ経験不足で、臨床の怖さを知らないので、よくわかりませんけど。
日経新聞の禁断のスカルぺ、どうなるのでしょうね?ドキドキします。東子先生応援してます。
Posted by 大谷佳子 at 2014年11月27日 11:07 | 返信
≫問題が複雑
難解なので、文章も理解し切れていない上でのシロートコメント御容赦下さい。ただ、おぼろげな感覚では少し、思いあたるところがあったので。
このように複雑な構図があるために、医師会が政界に進出なさる事が目立ってきたのだな、と少し腑に落ちたところがあります。医師会と政治の関係を気にした、不思議に思ったのは民主党、菅直人政権の時代でした。病院の雰囲気(ドクターのスタンス?)が変わってきたように感じたのも、その頃です。(重い背景を文章で読める機会に感謝です)
けれど、こういった対行政的取り組み(お仕事)を医療業務のお仕事と二束の草鞋でなさるのは患者にとっても、お医者様にとっても、不幸な事のような気がします。おそらく二束の草鞋以上な気がしています。『一人の医師の立場から発言する』と仰った部分の苦渋を感じます。
Posted by もも at 2014年11月28日 12:25 | 返信
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