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多剤投与への処方箋は「医食同源」

2014年12月07日(日)

12月6日の産経新聞兵庫版の連載は、腸と心シリーズの最終回だった。
多剤投与と医食同源についての私見を書かせて頂いた。
偉そうに言いながら、今夜は、伊丹空港でカレーを食べていたが。
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産経新聞・腸と心シリーズ第8話    食事と水で病気が治る
                        多剤投与への処方箋は「医食同源」
 
 私が高校生時代からずっと思ってきた疑問があります。それは「医者はどうしてあんなに薬が好きなんだろう?」という素朴な問いです。この疑問は、35年経っても変わりません。私が医者になった30年前、医師免許を持った時、薬が10種類を超えた人が時々いました。現在は、20種類も稀ではなくなり、30種類近い人を見たこともあります。大病院から紹介されて在宅医療に帰って来られる患者さんも10~20種類の投薬が普通です。人生の終わりが近い人に20種類も飲ませてどうするんだろう?と、思い切って病院の大先生に聞いてみました。すると「何を言っているんだ。終わりが近いからこそ沢山飲ませるのが医療じゃないか!」と、怒られました。

 「病院の時代」が40年間続いています。時代とともに医療は縦割り、そして細分化される一方です。医者といえば専門医ばかりで、総合医はまだごく少数です。そして専門医の数だけ薬が増えるのは当然。文明国の宿命。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の増加に伴い、がんや認知症も増えて、とにかく「お薬まみれ」の患者さんからのSOSが増加の一途です。在宅医療開始や施設入所の際には、思い切り減量します。20種類を2~3種類に減量すると、家族には喜ばれるは、患者さんは元気になは、職員の手間が減るは、恐縮するくらい感謝されることばかりです。

 人間の体は、食べ物からできています。しかしコラーゲンを食べたからコラーゲンが増えるわけでもなく、魚の脳ミソを食べた人間の脳ミソがよくなるわけではありません。そんな単純な仕組みではないにせよ、無から有は生まれません。口から食べたもので私たちの体はできています。Aという元素は体内で合成されることはなく、食べ物からしか入ってきません。私は患者さんを見るとその人が何を食べているのかだいたい分ります。「貴方の好物は○○でしょう?」と言うと、「どうして分るのですか?」と言われますが、皮膚の状態を見ればわかります。病気の原因の大半は、食べ物にあることが多く、逆に言えば、食べ物を変えるだけで病気が完治することがいくらでもあります。

 そのような考えから、当院では10年前から管理栄養士さんの栄養指導がすぐに受けられる状態を作っています。しかし食事相談を勧めても「お薬だけもらえばいい」と拒否する方が沢山おられます。なかには、「食事を変えるなんて無理、それよりお薬ちょうだい」と露骨に言われる方もいます。その迫力に負けて、こう書きながらもついつい多剤投与に甘んじてしまうのも現実ですが、はっきり言って異常です。体と心の病気の治療はまずは食事です。まさに医食同源。腸内細菌叢は、脳より上位であり、もう一人の自分であると述べてきた真意を知って頂ければ幸いです。12月17日に「その症状、もしかして薬のせい?」(セブン&アイ出版)という本が出ますので、よろしければ参考にして下さい。

 ついでに言うなら、体重の6~7割は水です。体内の水は絶えず入れ替わっています。食事から1ℓ、それ以外から1.5ℓの水を入れて、汗や尿として2~2.5ℓの水を排出しているのが人体です。ですからどんな水をどれだけ飲むのかも、食べ物に負けず劣らず大切です。どうか自分に合う水を探し求めて下さい。
 
 
キーワード 医食同源
バランスの取れた美味しい食事をとることで病気予防し、治療しようとする考え方。1972年NHKの料理番組『きょうの料理』の特集「40歳からの食事」において、新居裕久医師が造語として発表したもの。
 

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この記事へのコメント

薬に頼らない医療を指針にしたクリニックで40年栄養士をしていました。
診療室の隣に「栄養相談室」があり、食事箋に書き込みカルテを医療スタッフと共有できました。
「風邪ですね~栄養士さんに風邪に効く食べ物教えてもらってくださいね~」
当時、栄養相談は保険外診療でした。
医療スタッフの理解が 患者さんの理解につながり、信頼につながります。
「NUCS栄養診療所・ケアステーション」岩手県安比高原で医療現場の方と薬に頼らない医療をすすめています。。

Posted by kayabuki110 at 2014年12月09日 05:24 | 返信

「その症状、もしかして薬のせい?」(セブン&アイ出版)
楽しみにしています。

ついでに、といってはどちら様にも失礼ですが、
いつも読ませていただいているもう一つのブログの主、「かこさん」こと嶋田和子さんの
「精神医療の現実――処方薬依存からの再生の物語」 萬書房
も、どうか皆様、ぜひご一読を。

この本は、闇ルートで手に入れたドラッグではなく、医師から処方された薬を真面目に服用してしまったがゆえに、服用しても病状は回復せずに悪化し、服用を止めると離脱症状で七転八倒の苦しみと戦わねばならない、人生を狂わされた実在の人達のお話です。
また、外資製薬会社の日本侵略作戦(私の造語です、かこさんはこんな書き方はしてませんのであしからず)についても、とてもわかりやすく書いてあります。この本は、医療関係者ではないフリーライターの嶋田和子さんが書いたものですが、ここに書かれている薬剤の知識や精神医学関係の情報の半分でさえ、当事者の患者を担当して被害を与えた医者たちは知らないと思います。それだけ、勉強していない。ヤツラは学ぶ気さえ、無い。
薬は、怖いですよ。
それを知らない医者たち、あるいは知っていて「飲むのは患者だから薬漬けにしておけばずっと患者として通ってくる金ズルだ」と電卓を叩いている医者たち、
もっと怖いですね。

製薬会社の社員は、心が痛まないのでしょうか。

映画「ハンナ・アーレント」を見損なっているのですが、
非人道的なことも残虐なことも「上司からの命令だから行う」「凡庸なる悪人」、
製薬会社の社員、医療機関の従事者、厚生省の役人・公務員、etc. 皆様、「上司からの命令だから行う」「凡庸なる悪人」でなければ安定したご立派な職を失うことになるわけで。

気付いている人、いっぱい、いるはずなのですけれど。
気付かないふりをして自分の家族には、ヤバい薬を飲ませないようにうまく立ち回る、
何も知らずに「お医者様」を信頼している善良な市民が「医療」という名のワナにかかるのを待っている。それで飯、食ってるんだもの、ね。
国民皆保険制度を利用して日本人の心身を蝕んでいるってことは、日本を滅亡させてるってことと同じじゃないかしら。

同じ12月17日リリースの「家族よ、ボケと戦うな」
近藤誠って書いてあるから一瞬うれしくなったけどやっぱり違う人でした。

長尾先生と近藤医師は、きっと親友になれると思います。かこさんとも。

Posted by komachi at 2014年12月09日 05:50 | 返信

高血圧を予防する術は複数あります。その中でも重要なのは食生活を見直すことです。そうすることで塩を必要以上に摂取せずによくなります。

細かく話すと、酢などの酸味の感じる食品を食べたり、干物などの塩を多く含む加工食品は摂取しない等です。

そもそも、冷凍食品は食塩が沢山含まれているため控えた方が吉でしょう。自炊で塩分をなるべく取らないで1日に6グラム未満の食事を取り入れるのが良いです。

一度見に来てはいかがでしょうか。

Posted by 高血圧 食事 at 2016年08月27日 10:54 | 返信

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