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「余命告知」
2015年03月15日(日)
昨日は、甲南大学で喜楽苑の市川禮子さんと丸尾さんと3人で講演した。
おそらく一生で1回限りの組み合わせになるのだろう。
その中の質問でも飛び出したが「余命告知」について産経の連載に書いた。
おそらく一生で1回限りの組み合わせになるのだろう。
その中の質問でも飛び出したが「余命告知」について産経の連載に書いた。
産経新聞生と死シリーズ第11回 「告知」という言葉
「余命予測」ほどよく外れるものはない
この連載が始まったのが平成22年3月6日。早いもので5年を超えました。言い換えれば私は、5年、死に近づきました。
今回は、「余命告知」について考えてみましょう。
まず「告知」という言葉は、「がんの告知」や「認知症の告知」や「余命告知」という形で広く使われています。しかし私の大嫌いな言葉。医師になって30年間、私は「告知」という言葉を使わなかったし、これからも使いません。なぜなのか?「告知」という言葉がどこか上から目線で、無理やり烙印を押しているように感じるからです。私は「説明」という言葉で充分だと思います。「相手の立場を思いやりながらどう伝えるか」ではないか。ついでに「インフォームド・コンセント」という横文字も大嫌い。なぜ「分り易い説明」ではいけないのか?不思議でなりません。横文字や専門用語ばかりを並べて分かりにくい説明をした上に「分かった?」と、押し付けているような気がしてなりません。
さて、「余命告知」とは何でしょうか?よく「がんの専門医から余命半年と言われたが・・・」と泣きながら相談に来られます。内心「どうして半年なんだろう。何が根拠なのか」と思います。患者さんは「医者は余命を分かる」、と思っていますが、本当でしょうか。私は現在年間80~90人の在宅看取りをして、これまで合計2000人以上の死亡診断書を書いてきました。しかし「余命予測」はよく外れると感じています。医者は自分の経験と勘で余命を口にしているだけで、確固たる根拠があるわけではないはず。
「老衰であと1時間」と説明した翌日に生き返り、その後3年生きた人がいました。一方、「末期がんで余命3ケ月」と説明した1時間後に亡くなられた人もいました。あるいは「私はがん専門医に余命2ケ月の末期がんと宣告されて8年経つけど、このとうり元気です!」と元旦のTVの生放送で明るく語る女性を観ました。余命予測がまったく外れている話など世の中にゴマンとあります。そんないい加減なものを上から目線で「告知」するなんて、なにか悪い呪いをかけるようで私には抵抗がある。「余命告知」を「インフォームド・コンセント」だと誤解している若い医師もいます。とにかく「余命」など、信じないほうがいい。だから私は「余命」を聞かれてもまずは「よく分らない」と正直に言います。少なくとも「余命半年」レベルでは全く分りません。
しかし看取りが近いと感じたら家族にだけ、「週単位」や「日単位」という言葉を使い説明します。「私の予測はよく外れますから」と必ずフォローも入れます。たまに本人から説明を迫られたら、「私のほうが先に死ぬかも。その時は、葬式に来てくれる?」と聞き返すと、患者さんはキョトンとされます。これは冗談ではなく、私の本心です。「余命告知」に落ち込んだり悩んだりする暇があるなら、今日一日をどう楽しく生きるかを考えるほうがずっと大切。まさに「今を生きる」で、「今生きているだけで丸儲け」。今日1日を楽しく笑えたらもう何も言う事はありません。オギャーと生まれたばかりの赤ちゃんは「余命80年」です。しかし20年の人も80年の人も120年の人もいます。限られた「余命」の中で命を延ばす、つまり「延命」のために医学・医療があります。
キーワード インフォームド・コンセント
医療行為や治験などの対象者が、その内容についてよく説明を受け、十分理解した上で(英: informed)、対象者が自らの自由意思に基づいて医療従事者と方針について合意する(英: consent)こと。説明を受けた上で治療を拒否することも含まれる。
「余命予測」ほどよく外れるものはない
この連載が始まったのが平成22年3月6日。早いもので5年を超えました。言い換えれば私は、5年、死に近づきました。
今回は、「余命告知」について考えてみましょう。
まず「告知」という言葉は、「がんの告知」や「認知症の告知」や「余命告知」という形で広く使われています。しかし私の大嫌いな言葉。医師になって30年間、私は「告知」という言葉を使わなかったし、これからも使いません。なぜなのか?「告知」という言葉がどこか上から目線で、無理やり烙印を押しているように感じるからです。私は「説明」という言葉で充分だと思います。「相手の立場を思いやりながらどう伝えるか」ではないか。ついでに「インフォームド・コンセント」という横文字も大嫌い。なぜ「分り易い説明」ではいけないのか?不思議でなりません。横文字や専門用語ばかりを並べて分かりにくい説明をした上に「分かった?」と、押し付けているような気がしてなりません。
さて、「余命告知」とは何でしょうか?よく「がんの専門医から余命半年と言われたが・・・」と泣きながら相談に来られます。内心「どうして半年なんだろう。何が根拠なのか」と思います。患者さんは「医者は余命を分かる」、と思っていますが、本当でしょうか。私は現在年間80~90人の在宅看取りをして、これまで合計2000人以上の死亡診断書を書いてきました。しかし「余命予測」はよく外れると感じています。医者は自分の経験と勘で余命を口にしているだけで、確固たる根拠があるわけではないはず。
「老衰であと1時間」と説明した翌日に生き返り、その後3年生きた人がいました。一方、「末期がんで余命3ケ月」と説明した1時間後に亡くなられた人もいました。あるいは「私はがん専門医に余命2ケ月の末期がんと宣告されて8年経つけど、このとうり元気です!」と元旦のTVの生放送で明るく語る女性を観ました。余命予測がまったく外れている話など世の中にゴマンとあります。そんないい加減なものを上から目線で「告知」するなんて、なにか悪い呪いをかけるようで私には抵抗がある。「余命告知」を「インフォームド・コンセント」だと誤解している若い医師もいます。とにかく「余命」など、信じないほうがいい。だから私は「余命」を聞かれてもまずは「よく分らない」と正直に言います。少なくとも「余命半年」レベルでは全く分りません。
しかし看取りが近いと感じたら家族にだけ、「週単位」や「日単位」という言葉を使い説明します。「私の予測はよく外れますから」と必ずフォローも入れます。たまに本人から説明を迫られたら、「私のほうが先に死ぬかも。その時は、葬式に来てくれる?」と聞き返すと、患者さんはキョトンとされます。これは冗談ではなく、私の本心です。「余命告知」に落ち込んだり悩んだりする暇があるなら、今日一日をどう楽しく生きるかを考えるほうがずっと大切。まさに「今を生きる」で、「今生きているだけで丸儲け」。今日1日を楽しく笑えたらもう何も言う事はありません。オギャーと生まれたばかりの赤ちゃんは「余命80年」です。しかし20年の人も80年の人も120年の人もいます。限られた「余命」の中で命を延ばす、つまり「延命」のために医学・医療があります。
キーワード インフォームド・コンセント
医療行為や治験などの対象者が、その内容についてよく説明を受け、十分理解した上で(英: informed)、対象者が自らの自由意思に基づいて医療従事者と方針について合意する(英: consent)こと。説明を受けた上で治療を拒否することも含まれる。
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この記事へのコメント
昨日ご講演頂きました、想像文化研究組織の岡島貞雄と申します。
「余命告知」を熟読いたしました。私の友達で3ヶ月と言われ5年楽しく生きた女性がいます。
高齢者施設は1997年に初めて訪問しました。それ以来高齢者施設へ入りびたりです。丸尾先生の言葉も
良く判りますが、高齢者が不安がないようにと活動しているグループもいます。もし、施設が極悪であっても超高齢社会の時代を迎えて介護保険に対応の施設を拒否できません。それであればどうすればいいか
何をすれば高齢者が安心して「生きる」ことができるかの提言をして欲しいものです。
私が、「えんがわ くらぶ」と言う会を行っていますが、その一人が不安で夢が亡くなったと話していました。そのために楽しく自分を生きることを皆で考えましょうと言って別れました。
私は、79歳となりました。先日「がん」の疑いがあると診断されましたが、精密検査もしません。
余命など判らない、5年か10年か1年かその大切な時間を大切に生きてゆきたいと考えています。
相談メールや電話は、胃瘻・施設・成年後見制度などなどです。法律はそれを扱う者のこころで大きく変わると思います。介護保険制度も同じことだと考えています。
先生のブログ著書を今後とも指導書として高齢者の生きるを皆様と一緒に考えてゆきたいものです。
今後ともよろしくご指導下されば幸いです。
Posted by 岡島貞雄 at 2015年03月15日 11:52 | 返信
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