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救急車を呼んだばっかりに・・・

2015年04月01日(水)

ある90歳代の男性の在宅医療が終了した。
亡くなられたのではなく、元気になって外来通院に戻られたのだ。
昨年夏に発熱で救急車を呼んだところから物語が始まっていた。
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昨年夏までは、超元気で毎日、散歩をされていた。
ある日から咳が続き、元気がなくなり、近くの医者を受診すると”風邪”と診断。

風邪薬を飲み始めた翌日、38度の発熱があった。
悪寒戦慄を、”けいれん”と解釈した家族は深夜に救急車を呼んだ。

運ばれた先は、かなり遠くにある小さな老人病院。
肺炎の診断で入院して、抗生剤の点滴が始まった。

しかし入院翌日から、”不穏”が始まった。
手足が縛られて、食事もできなくなった。

1ケ月後に、肺炎が治った時には、完全な寝たきり老人になっていた。
壁に人や動物が見えるという”幻視”が目立つので、”レビー小体型認知症”と診断された。

ただの拘禁症状(ICU症候群)なのに、認知症と誤診されて、抗認知症薬を処方・・・
ここから先は書くまでもなく、みなさんの想像のとうり。

その2週間後に、胃ろうが提案された。
悩んだ家族が相談に来られたので、私は二者択一だね、と答えた。

そのままそこに残るか、”脱北”するか。
家族は、ほぼ即決で、”脱北”を選択された。

慌ただしく在宅療養の準備をした。
要介護4の判定を頂き、訪問看護師やリハビリも始まった。

退院されたその日から、みるみる食欲がアップして、食べることは解決した。
1週間ほどで、幻視もまったく消えた。

問題は寝たきり状態と気力の低下。
これを治すのに、半年もかかってしまった。

そして見事に、以前とおなじ、”自立”まで回復したので、在宅医療は卒業となった。

良くなったというより、”原状復帰”をしただけなのだが。


振り返れば、9ケ月前の夜に救急車を呼んだことが、ストーリーの始まりだった・・・
家族は、感慨深げに振り返った。

救急車を呼ぶな!と言いたいわけではない。
高齢者の場合、呼ぶ時に、以上のような可能性も考えていて欲しい。

できれば24時間電話電話対応してくれる”かかりつけ医”に相談したほうがいい。
あるいは、寝たきりさせないことに必死な、日慢協に所属する慢性期病院もある。

いずれにせよ、外来通院に戻られて良かった、良かった。
4月4日の当院のお花見大会にも歩いて来られ予定である。




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