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アニマルセラピーの可能性
2015年04月21日(火)
医療タイムス4月号 アニマルセラピーの可能性 長尾和宏
在宅医療に従事しているが、家に帰ると患者さんがあんなに元気になるのは何故だろう。
食欲が出て元気になり笑顔が出ることを「自宅効果」と呼んでいるが、その効果の大きさに驚く毎日だ。よく観察するとペットを飼われている患者さんが多い。そうした患者さんは、ペットと触れ合う環境も大きく作用しているようだ。犬とネコが多いが、鳥や魚もある。訪問した我々も動物たちに癒される。患者さんとの時間より、動物との時間のほうが長いこともある(笑)。
近くにセラピードックを派遣してくれる団体があったのである認知症の方に依頼してみた。毎週、決まった時間に犬が来てくれるようになって半年後、その人は見違えるように元気になった。嬉しいことにデイサービス先にもセラピードックがいるところもある。動物や子供が、弱った人に与える元気効果は想像以上に大きい。高齢男性は若い女性スタッフが行くだけで喜ぶが、動物はそれ以上の力を持っている。淡路島には、ホースセラピーをやっているところがあり、認知症の人が毎週乗馬すると認知機能が改善するという。全国にはおそらく凄い数のアニマルセラピーが存在するのだろう。がん患者さんは、アニマルセラピーで痛みが和らぐという。おそらく精神的痛みや魂の痛みが和らぐのだろう。もしかしたら肉体的痛みにも効果があるのかもしれない。
アニマルセラピーは、在宅医療の専売特許とは限らない。中医協の委員であられた邊見先生がおられた赤穂市民病院では、待合室でセタピードック達が活躍する映像を見たことがある。外来が引いた昼休みの外来ロビースペースを利用していたが素晴らしいアイデアと実践だと感心した。幸せそうな患者さんの笑顔が忘れられない。
名古屋掖済会病院の緩和ケア病棟には、セラピードックが定期的に来ている。NPO法人が、大型犬や小型犬を何匹か引き連れて、ロビーで入院患者さんたちを癒していた。そのなかにひときわ大きい、ゴールデンレトリバーがいた。彼女は「シャネル」という名前のセラピー犬。といってももとは捨て犬だったという。高齢になったシャネルは、臀部に腫瘍ができて下半身が動かなくなり装具をつけるようになった。そんな身になっても患者さんを癒す仕事を続けるシャネルは、病院だけでなく地域でも有名になった。
私自身もシャネルを見に行った。昼休みの緩和ケ病棟のロビーで、数匹のセタピードックはそれぞれとてもいい仕事をしていた。がん患者さんだけでなく、一般病棟に入院中の認知症患者さんも癒していた。大きな点滴や酸素吸入や人工呼吸器や鼻から管の入った患者さんも笑顔になっていた。これは本物だ!とあらためて思った。当院所属のカメラマンの国見祐治が撮影した写真集「下半身動かぬセラピー犬、シャネル」(ブックマン社)が、先日、世に出た。不肖、私も解説文を書かせて頂いた。写真を見てまた涙がこぼれたのだ。
シャネルのビデオ動画がネットに乗り、現在、世界中で約5万人がありし日のシャネルの映像に癒されている。アニマルセラピーの可能性は大きいと思う。緩和ケアの重要性が叫ばれて30年になるがまだ課題が多い。アニマルセラピーがその突破口になって欲しい。
在宅医療に従事しているが、家に帰ると患者さんがあんなに元気になるのは何故だろう。
食欲が出て元気になり笑顔が出ることを「自宅効果」と呼んでいるが、その効果の大きさに驚く毎日だ。よく観察するとペットを飼われている患者さんが多い。そうした患者さんは、ペットと触れ合う環境も大きく作用しているようだ。犬とネコが多いが、鳥や魚もある。訪問した我々も動物たちに癒される。患者さんとの時間より、動物との時間のほうが長いこともある(笑)。
近くにセラピードックを派遣してくれる団体があったのである認知症の方に依頼してみた。毎週、決まった時間に犬が来てくれるようになって半年後、その人は見違えるように元気になった。嬉しいことにデイサービス先にもセラピードックがいるところもある。動物や子供が、弱った人に与える元気効果は想像以上に大きい。高齢男性は若い女性スタッフが行くだけで喜ぶが、動物はそれ以上の力を持っている。淡路島には、ホースセラピーをやっているところがあり、認知症の人が毎週乗馬すると認知機能が改善するという。全国にはおそらく凄い数のアニマルセラピーが存在するのだろう。がん患者さんは、アニマルセラピーで痛みが和らぐという。おそらく精神的痛みや魂の痛みが和らぐのだろう。もしかしたら肉体的痛みにも効果があるのかもしれない。
アニマルセラピーは、在宅医療の専売特許とは限らない。中医協の委員であられた邊見先生がおられた赤穂市民病院では、待合室でセタピードック達が活躍する映像を見たことがある。外来が引いた昼休みの外来ロビースペースを利用していたが素晴らしいアイデアと実践だと感心した。幸せそうな患者さんの笑顔が忘れられない。
名古屋掖済会病院の緩和ケア病棟には、セラピードックが定期的に来ている。NPO法人が、大型犬や小型犬を何匹か引き連れて、ロビーで入院患者さんたちを癒していた。そのなかにひときわ大きい、ゴールデンレトリバーがいた。彼女は「シャネル」という名前のセラピー犬。といってももとは捨て犬だったという。高齢になったシャネルは、臀部に腫瘍ができて下半身が動かなくなり装具をつけるようになった。そんな身になっても患者さんを癒す仕事を続けるシャネルは、病院だけでなく地域でも有名になった。
私自身もシャネルを見に行った。昼休みの緩和ケ病棟のロビーで、数匹のセタピードックはそれぞれとてもいい仕事をしていた。がん患者さんだけでなく、一般病棟に入院中の認知症患者さんも癒していた。大きな点滴や酸素吸入や人工呼吸器や鼻から管の入った患者さんも笑顔になっていた。これは本物だ!とあらためて思った。当院所属のカメラマンの国見祐治が撮影した写真集「下半身動かぬセラピー犬、シャネル」(ブックマン社)が、先日、世に出た。不肖、私も解説文を書かせて頂いた。写真を見てまた涙がこぼれたのだ。
シャネルのビデオ動画がネットに乗り、現在、世界中で約5万人がありし日のシャネルの映像に癒されている。アニマルセラピーの可能性は大きいと思う。緩和ケアの重要性が叫ばれて30年になるがまだ課題が多い。アニマルセラピーがその突破口になって欲しい。
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この記事へのコメント
ウチの家族も含めて、犬や猫を飼っていた(いる)人って、「飼っている」のではなく「居てもらっている」のです。彼らに家族関係の緩衝材になってもらっている。
彼らが居てくれるから、なんとか「家族」を続けていられるのです。というと、言い過ぎかな?
少なくともウチは、犬や猫のおかげでなんとか「家族」でした。
最期の犬は2年前、母より5ヵ月早く逝きました。私は同じ家屋には住んでいないので、医者に連れて行かねば、と母屋へ行くと、オシッコ場で倒れていました。医者に連れて行くと入院になるだろうけど、今度入院したら戻ってこれないかも、と、迷っていたところでした。12歳10ヶ月、最後の3年半、主のいない家で暮らしました。たまに介護タクシーで帰って来る父や母に会えるのが楽しみだったのでしょうか。
Posted by komachi at 2015年04月21日 03:03 | 返信
赤穂市民病院で子どもを三人産みました。
東田太郎先生に、三回とも帝王切開で。
母乳育児を奨励されていて、私はすばらしいことだなぁと感じていましたが、
なかなか受け入れてもらえず苦労されていました。
いいことや、正しいことがなかなか分かってもらえないんですね。
諦めずにがんばってください!!!!
Posted by 岡村典子 at 2015年04月21日 07:05 | 返信
ワタシたちはセラピードッグです(小型スピッツ2匹)
1代目に見習い、引き継いだ2代目と3代目で、もう17年やってます。
ワタシたちを見たり抱っこした瞬間、素晴らしい笑顔になるみなさんを見ていると、ワタシたちも飼い主もとても幸せな気持ちになるからです♪
先天性重度身障者の施設では「この人のこんなすてきな笑顔見たことない~!」と職員さん感動。
食事も人も拒否してベッドで頭まで布団を被っているうつ状態の人も、ワタシたちにはニッコリ♪
そして精神的痛み、魂の痛みを持っている(と思われる)人には、飼い主より先にそれを察知! そういう人には特に優しく寄り添い、長時間抱き合っています(緩和ケア病棟)
Posted by ゆり&らら at 2015年04月21日 09:06 | 返信
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