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わらじ医者の往生際
2015年04月27日(月)
先日、TVを観ていたら、91歳の医者の往生際をやっていた。
自分ががんになって初めてがん患者さんの辛さが分かったという。
きっと私も死ぬ間際になれば「死にとうない」って言うのだろう。
自分ががんになって初めてがん患者さんの辛さが分かったという。
きっと私も死ぬ間際になれば「死にとうない」って言うのだろう。
わらじ医者、がんと闘う 死の怖さ、最期まで聞いて →こちら
京都新聞 4月26日(日)18時34分配信
グレーの長袖シャツの下の胸はやせこけていた。深いしわが刻まれた肌に聴診器が触れる。「調子はどうですか」。永原診療会千本診療所(京都市上京区)の根津幸彦医師(59)は、訪問診療でベッドの患者に尋ねた。「先生、夜がこわい」。早川一光さん(91)がしゃがれ声で訴えた。
早川さんは、戦後間もない時期から堀川病院(上京区)の前身となる診療所の設立に関わり、西陣地域の医療の充実に力を注いだ。「わらじ医者」と慕われ、テレビドラマのモデルになった。老いや認知症を取り上げた著書も数多い。KBS京都のラジオ番組に28年にわたり出演し、講演も精力的にこなしてきた。
そんな早川さんが医師から患者になった。昨年10月に腰の圧迫骨折で入院し、思ってもみない病名を告げられた。血液がんの多発性骨髄腫。抗がん剤治療を続けながら、右京区の自宅で闘病生活を送っている。
多くの人をみとり、老いや死について語ってきたはずだった。しかし、病に向き合うと一変、心が千々に乱れた。布団の中では最期の迎え方をあれこれ考えてしまい、眠れない。食欲が落ち、化学療法を続けるかで気持ちが揺れた。「僕がこんなに弱い人間とは思わなかった」。長年の友人である根津医師に嘆いた。
2人は一時期、堀川病院で働いた仲だ。根津医師は今も西陣地域で診療に携わる傍ら高齢者の孤独死を防ぐために交流会を開き、市民運動にも関わる。早川さんは、そんな姿に自らの来し方を重ね合わせ、親しみを感じてきた。在宅医療を受けると決めた時、思い浮かんだのは彼の顔だった。
根津医師には時に患者としてのつらさを、時に医師の視点から治療への疑問を率直にぶつける。ある日、こう投げかけた。「治らないのに鎮痛剤で痛みを分からなくするのが今の医療か。本当の医療とは何や」。根津医師が迷いのない口調で切り返す。「在宅医療では痛みや苦しみを取ることしかできない。でも、それは生活を守ること。患者のつらさを少しでも和らげる。早川先生自身もやってきた医療ではないのですか」
診察のたびに繰り返される問答。いつしか早川さんはそこに、主治医のあるべき姿を見いだした。「10分でいいから患者の悩みを聞いてほしい。患者の最期までともに歩んでほしい」。患者になったからこそ、たどり着いた答えだった。
3月19日。診察が終わった後の客間で、早川さんは吹っ切れたようにつぶやいた。「どうせ避けられないさんずの川や。上手な渡り方を勉強し、みんなに評価を問う。それが僕のこれからの道やないか」
2日後の早朝、上京区のKBS京都のスタジオに早川さんの姿があった。久しぶりのラジオ出演。「初めて病む人の気持ちが分かった。死ぬ怖さを知りました」。今の心境を包み隠さず語った。放送が終わると、来場したリスナーが次々に歩み寄ってきた。かつて自分の患者にしたように、早川さんは一人一人の手をしっかり握った。
■はやかわ・かずてる 1924年生まれ。愛知県出身。京都府立医科大卒。50年、西陣地域の住民の出資で設立された白峯診療所の医師になる。診療所が発展して開設された堀川病院で院長を務め、往診や訪問看護など在宅医療に力を入れた。「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会(現認知症の人と家族の会)」の立ち上げにも尽力。医学や哲学、宗教などの枠を超えて人間を考える「総合人間学」を唱えた。「わらじ医者京日記」など著書多数。
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この記事へのコメント
早川先生は、わらじ医者日記を拝読致しまして、尊敬しています。
でも、4~5年前、宝塚市のSORIOに、来て頂いてお話を伺った時は、何か焦っていらっしゃるような感じがしました。
早川先生は、ご自分の在宅医療の真髄を、もっと広く世に、知らしめたいと思われて、DVDに何巻か、セットで販売なさっていらっしゃいました。
そのDVDは、拝見すれば、それはとても勉強になるのですけど、ケアマネジャーの全員が気軽に購入できる値段だったのか、分かりません。
もしかしたら、早川先生の熱意を利用してDVDの売り込みをしようとした会社があるのかも知れないとおもいました。
この度、このブログで、早川先生が病と闘っていらっしゃるとお伺いして、驚いています。
でも、早川先生が恐れていらっしゃるのは、ご病気のこともそうなのでしょうけど、早川先生を利用しようとする勢力を、恐れていらっしゃるのかもしれないと思いました。
私の思い間違いである事を、願っています。
Posted by にゃんにゃん at 2015年04月27日 04:02 | 返信
広く啓蒙しようと思う時、手段は多い方が多くの人に元に情報が届きます。医療機関に限らず、勉強会に映像は不可欠です。また高齢者にとって、活字は読みたくとも難儀な場合が多いです。また、情報を必要としているのは健常者だけではありません。視覚障がい者には音を、聴覚障がい者には字幕を、と万人に届け!と思いを寄せるメディアもあります。有名な先生でいらっしゃれば、お姿を拝見できる事で強く励まされる人も多いと思います。
Posted by もも at 2015年04月27日 11:03 | 返信
私も見ていました。人間らしくていいなと思いました。
このブログでも、医師がご自身やご家族の死に直面してお感じになったことが紹介されていましたね。
私も80歳を超えて、ボランティア活動の整理(その時に迷惑をかけないように)、身辺の整理、を始めています。(本当は、まだ大丈夫かなと思いながらです)
最期は、痛みがないように、延命治療をしないで穏やかにと思っていますが、自信はありません。
5月に、ある緩和ケア研修会(PEACE)に招かれて、20分「市民から医療者に望むこと」を、お話しする機会をいただきました。どこまでお話しできるか自信はありませんが、良い機会を頂けたと思い、目下考え中です。 以上
Posted by 小澤 和夫 at 2015年04月27日 11:43 | 返信
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