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誤嚥性肺炎への対策
2015年05月03日(日)
死因の第三位に増加しているのが「肺炎」だ。
その大半は高齢者の誤嚥性肺炎なのだが、半分は実は予防が可能なのである。
そのあたりの話題を、昨日の産経新聞兵庫版の連載に書かせて頂いた。→こちら
その大半は高齢者の誤嚥性肺炎なのだが、半分は実は予防が可能なのである。
そのあたりの話題を、昨日の産経新聞兵庫版の連載に書かせて頂いた。→こちら
産経新聞・生と死シリーズ第14回 死因第三位の肺炎への対策 長尾和宏
誤嚥性肺炎は夜につくられる
現在の日本人の死因を御存知ですか?第一位ががん、第二位は心筋梗塞、そして第三位は肺炎です。従来まで脳卒中が第三位でしたが肺炎に座を奪われました。では肺炎が三位に上昇した理由を御存知ですか?それは高齢化に伴い誤嚥性肺炎が増加したからです。
後期高齢者の肺炎の9割は誤嚥性肺炎です。通常の肺炎は、病原体が外部から侵入してきますが、誤嚥性肺炎は口腔内にいる雑菌が気管に垂れ落ちて起こります。歳をとると気道と食道の切り替えが上手くできなくなり誤嚥します。誤嚥というと食事中に話をしてムセる姿を連想するかもしれません。たしかに若者でもムセますが、肺炎になったという話は聞いたことがありません。ひとつには咳をしっかりして食べ物を痰として出すからです。あと食塊はそもそも細菌の塊ではありません。食事中にムセ易くなった高齢者が誤嚥性肺炎で入院すると「もう一生食事をしたらダメ。胃ろうを入れなさい」とよく言われます。しかし胃ろうを造設しても誤嚥性肺炎を防げないことをご存知ですか?それどころか反対に胃ろうのほうが誤嚥性肺炎のリスクが高くなるのです。一体どういうことでしょうか?
実は高齢者の誤嚥性肺炎は、夜寝ている間に口腔内の唾液や胃から口に逆流したものが気管内に垂れこんで起きるのです。昼間ならばムセて咳をするので痰として排出できますが、睡眠中はそうした喉の反射が低下しているのです。
では、誤嚥性肺炎を予防するにはどうすればいいか。第一に、口腔内を綺麗な状態に保つことです。歯垢1mg中になんと10億個もの雑菌が生息しています。食後は口腔内の雑菌が増えるので、歯医者さんや歯科衛生士さんの指導による食後の歯磨き、口腔ケアと嚥下リハビリが大切です。また胃ろうを造設して口から食べられない人こそ、口の中を綺麗にしておいて下さい。口から食べないほど口腔内に悪い雑菌が増えるのです。第二に最近急増している逆流性食道炎に注意することも大切です。胃の内容物が食道~口腔内へと逆流して誤嚥します。内臓肥満(メタボ)も逆流性食道炎の危険因子ですし胃切除後の方も要注意です。脂ものと甘いものは避けてください。食後の体位を平らにするほど逆流が起きます。第三に睡眠薬をなるべく飲まないこと。睡眠薬を飲んで寝ると夜間の不顕性誤嚥が確実に増えます。第四に定期予防接種を受けることです。毎年のインフルワクチンと5年毎の肺炎球菌ワクチンを必ず打ってください。「本当に効くのか?」という声もあるでしょう。インフルウイルスで肺炎になるのではなくインフル後に二次的に入ってくる細菌によって肺炎になります。公費助成があるのでインフルは1000円で肺炎球菌ワクチンも年当たり1000円程度で打てます。年間たった2000円の自己負担で肺炎死を半減できるのならば、超お得でだと思います。
私たちはがんや心筋梗塞に関してはいろいろと知っています。しかし第三位の肺炎に関しては、意外に知らないことだらけ。どうかこの機会に死亡率第三位に上がった肺炎についてよく知ってください。肺炎死は日々の習慣である程度予防できます。今日のキワードは、夜間睡眠中の不顕性誤嚥です。
キーワード 肺炎球菌ワクチン
平成26年10月から高齢者への定期接種が定められた。平成27年度から平成30年度までは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方などが定期接種の対象になる。但しすでにを接種したことがある方は対象とはならない。
誤嚥性肺炎は夜につくられる
現在の日本人の死因を御存知ですか?第一位ががん、第二位は心筋梗塞、そして第三位は肺炎です。従来まで脳卒中が第三位でしたが肺炎に座を奪われました。では肺炎が三位に上昇した理由を御存知ですか?それは高齢化に伴い誤嚥性肺炎が増加したからです。
後期高齢者の肺炎の9割は誤嚥性肺炎です。通常の肺炎は、病原体が外部から侵入してきますが、誤嚥性肺炎は口腔内にいる雑菌が気管に垂れ落ちて起こります。歳をとると気道と食道の切り替えが上手くできなくなり誤嚥します。誤嚥というと食事中に話をしてムセる姿を連想するかもしれません。たしかに若者でもムセますが、肺炎になったという話は聞いたことがありません。ひとつには咳をしっかりして食べ物を痰として出すからです。あと食塊はそもそも細菌の塊ではありません。食事中にムセ易くなった高齢者が誤嚥性肺炎で入院すると「もう一生食事をしたらダメ。胃ろうを入れなさい」とよく言われます。しかし胃ろうを造設しても誤嚥性肺炎を防げないことをご存知ですか?それどころか反対に胃ろうのほうが誤嚥性肺炎のリスクが高くなるのです。一体どういうことでしょうか?
実は高齢者の誤嚥性肺炎は、夜寝ている間に口腔内の唾液や胃から口に逆流したものが気管内に垂れこんで起きるのです。昼間ならばムセて咳をするので痰として排出できますが、睡眠中はそうした喉の反射が低下しているのです。
では、誤嚥性肺炎を予防するにはどうすればいいか。第一に、口腔内を綺麗な状態に保つことです。歯垢1mg中になんと10億個もの雑菌が生息しています。食後は口腔内の雑菌が増えるので、歯医者さんや歯科衛生士さんの指導による食後の歯磨き、口腔ケアと嚥下リハビリが大切です。また胃ろうを造設して口から食べられない人こそ、口の中を綺麗にしておいて下さい。口から食べないほど口腔内に悪い雑菌が増えるのです。第二に最近急増している逆流性食道炎に注意することも大切です。胃の内容物が食道~口腔内へと逆流して誤嚥します。内臓肥満(メタボ)も逆流性食道炎の危険因子ですし胃切除後の方も要注意です。脂ものと甘いものは避けてください。食後の体位を平らにするほど逆流が起きます。第三に睡眠薬をなるべく飲まないこと。睡眠薬を飲んで寝ると夜間の不顕性誤嚥が確実に増えます。第四に定期予防接種を受けることです。毎年のインフルワクチンと5年毎の肺炎球菌ワクチンを必ず打ってください。「本当に効くのか?」という声もあるでしょう。インフルウイルスで肺炎になるのではなくインフル後に二次的に入ってくる細菌によって肺炎になります。公費助成があるのでインフルは1000円で肺炎球菌ワクチンも年当たり1000円程度で打てます。年間たった2000円の自己負担で肺炎死を半減できるのならば、超お得でだと思います。
私たちはがんや心筋梗塞に関してはいろいろと知っています。しかし第三位の肺炎に関しては、意外に知らないことだらけ。どうかこの機会に死亡率第三位に上がった肺炎についてよく知ってください。肺炎死は日々の習慣である程度予防できます。今日のキワードは、夜間睡眠中の不顕性誤嚥です。
キーワード 肺炎球菌ワクチン
平成26年10月から高齢者への定期接種が定められた。平成27年度から平成30年度までは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方などが定期接種の対象になる。但しすでにを接種したことがある方は対象とはならない。
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